第4話 計画
「はぁ〜生き返る〜」
【たまには1人でゆったりするのも良いですよね〜】
「いやいや、アイもしれっと入っているから1人じゃないじゃん。」
【私とマスターは一心同体、実質1人じゃないですか。】
「心が休まらないじゃねーか。」
【私は人間ではなく、ただのスキルですよ?こんな作り物の私に緊張しているんですか?】
「美少女との混浴で緊張しないわけないだろ?」
「そうですか・・・・・・」
俺が素直にそう答えると、アイは視線を逸らしつつ押し黙った。
我が家にお風呂が設置されてからというもの、ほぼ毎日アイと一緒に入る事になっているわけだが、いつまで経っても緊張は抜けない。
きっとそれが、俺の性分なのだろう。
いつまで経っても慣れそうにない。
【ところでマスター、民衆への発表はいつぐらいにするのですか?】
「風呂を楽しんでいる間は、仕事の話はしないでくれっていつも言っているだろ、アイ。」
【先ほどの発言が気に食わなかったのでそのお返しです。】
俺がアイを軽く睨むと、アイは目線を逸らしながら答えた。全く罪悪感は無かったが、アイと喧嘩してもしょうがないので、俺は自分の考えを伝える事にした。
「はぁ〜、まぁ来週辺りかな。今日のうちに家族には伝えておいたから、今週のうちに各部門のメンバーに通達して、来週になったら領外と国外に通達する方針で行こうと考えている。」
【となると、実際に独立するのは2ヶ月後ぐらいが適切ですね。それまでは移行期間という事にしましょう。】
「そうなるな。あー入国出国の管理とかだるそー。」
ハーンブルク領が地続きで接している国は多くあるが、大抵の国は何とかなると考えている。国境は基本的に、河川や山脈に沿って引かれており、何とかなるプランを思い描く事ができたが、唯一ジア連邦共和国との間の国境だけは、規制が難しい。
というのも、ハーンブルク領とジア連邦共和国を繋ぐ鉄道は多数存在し、出入国を管理するのはほぼ不可能と言えた。これまでは、サーマルディア王国の方針で人の出入りをしっかりとチェックしない状態が続いていたが、俺としては、人の出入りをしっかりとチェックする状態を取りたいと考えている。
戦争や紛争する可能性は、以前に比べてかなり減ったが、テロやパンデミックが発生する可能性は十分にあり、今後のハーンブルク領が最も警戒すべき事だと考えている。
【私もマスターに賛成で、人や物の出入りの管理は妥協しない方がいいと判断します。今回の出来事は、規制を作る絶好の機会ですから有効活用しない手はありませんね。】
「だよなー・・・・・・、待てよ?ならいっそのこと合併しちゃえば良くないか?」
【メリットはかなり大きいですね。】
「アレを実行に移すか・・・・・・」
【それがよろしいかと。】
*
「それで、どうしたの兄さん。いきなり尋ねてきてさ。」
「ハーンブルク領の噂は聞いたか?」
「聞いたよ、サーマルディア王国から独立するんでしょ?もしかして、前に言っていた計画を実行するってこと?」
「あぁ、話が早くて助かるな。」
翌日、急ぎの用事という事で無理やり予定を開けてもらった俺は、鉄道を使いジア連邦共和国の首都リアドリアへとやってきた。そしてそのまま、まっすぐユリウスのいる総督府へと向かった。総督府は、ジア連邦共和国の政治の中心であり、ランドマークにもなっている建物だ。
顔パスで正面玄関から堂々と中に入った俺は、会議室へと案内された。部屋の中には、俺の天使であるユリウスとその妻カレンが俺たちを待っていた。
軽く挨拶を済ませた俺は、早速今日ここに来たわけを話した。
「今のハーンブルク領とジア連邦共和国の状態や世界情勢を踏まえて、多少は計画を修正しなければならないだろうが、俺は計画を実行に移す時が来たと考えている。」
「もちろん僕も協力させてもらうよ、兄さん。僕の方でも、この日のために色々な方面で準備してきたし。」
「あぁ、期待している。」
ハーンブルク領とジア連邦共和国の合併計画。
俺はこの計画を実行するために、ジア連邦共和国が誕生し、ハーンブルク領代表としてユリウスがこの国に派遣された時から様々な布石を打っていた。
当時、お父様と国王陛下が旧知の仲であることを知っていた俺だが、近い将来何らかの形でハーンブルク領はサーマルディア王国から除外されるだろうと予想した俺は、そのような状況になった場合の対策を立てていた。それが、ハーンブルク領とジア連邦共和国の合併計画だ。
資源が豊富で平野部が広く、海岸の長いこの国は地政学的にも優位な点が多く、俺はかなり早い段階からこのジア連邦共和国と合併する未来を予想していた。
実際、もう少しで除外される局面に陥ったり、自分たちの方から脱退することも考えた。
そして、今がその時だと判断した。
具体的なことの決定や、反対派の排除など、処理しなければならない課題は多いが、俺はこの計画を成功させてみせる。
まだ先のことはわからないが、きっといい国になるだろう。
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どうでもいい話
誰とは言いませんが、保存し忘れて一度全消ししたアホがいました。
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