第8話 交換

「我、レオルド・フォン・ハーンブルクは、ハーンブルク連邦王国の建国をここに宣言する!」


俺の21歳の誕生日、この日を西暦元年として、念願であったハーンブルク連邦王国の建国を宣言した。同時に、サーマルディア王国を脱退し、世界一の超大国が誕生した。

領土として俺たちが主張したのは、旧ハーンブルク領と旧ジア連邦共和国全土であり、同時にサーマルディア王国のデュークス島とハーンブルク領のリバスタを交換して、ハーンブルク連邦王国の領土とした。

ハーンブルク連邦王国は、6つの州に分かれており、人口が多い順にシュヴェリーン州(テラトスタ、リアドリアを含む)、ファルティオン州、ジア州、ジオルターン州、ハーンブルク州、トモタカ州(デュークス島を含む)の6つの州から成り立っており、人口は2500万に上った。

何故デュークス島とリバスタを交換したのかと言うと、地政学的にこの世界で最も重要なチョークポイントと言っても過言じゃないあの島を押さえる事はハーンブルク連邦王国を建国する上で必須だったからだ。

リバスタには多くの企業の本社や支社が集まっており、サーマルディア王国と何らかの取引をする際の玄関口として利用されてきたが、ハーンブルク領の独立を色々とサポートしてくれたサーマルディア王国へのお礼もかねて交換する事にした。

ただし、港の一部と飛行場はハーンブルク領のままという事で合意した。ちなみに、リバスタに本社を構える企業のほとんどは、この機会にテラトスタなどに移転を行った。リバスタに本社を残したままだと、その企業はハーンブルク連邦王国ではなくサーマルディア王国に所属しているとみなされるという決まりが作られたからだ。もちろん、本社の移転を希望する企業には最大限のサポートを行う事を約束した。


「同時に、ハーンブルク連邦王国憲法を制定する事をここに宣言する。」


俺が求めるのはもちろん法治国家であり、人の上に法律を置く体制をとった。また、ジア連邦共和国の主に東側を治めていた貴族達の貴族権は、現当主と次期当主の2代限りで消滅するという事で合意した。本当は、今にすぐでも全部潰しておきたかったが、交渉してくれたユリウスに免じてそれで許してあげた。もちろん、憲法には従ってもらうし、税金もしっかりと納めてもらう予定だ。

ちなみに、反対派の貴族は1人も出なかったが、一部の貴族が脱税で貴族権を剥奪された上で、拘束された。

不思議な事もあるものだ。


国家安全の面では、ジア連邦共和国軍とハーンブルク軍は統合されて、ハーンブルク連邦軍となった。既に、元ジア連邦共和国軍の兵士達には最新の兵器を用いた訓練が行われており、部隊の均一化が行われていた。同時に、部隊の再編と新設が行われ、新たな指揮系統が確立した。

また、各地域の警察機関は分裂と統合を行い、州警察を各州に組織した。そして、それと同時に連邦警察も組織され、それまでハーンブルク領を支え続けていたSHSとTKSETは連邦警察に組み込まれた。

それ以外の部分はほぼハーンブルク領の頃と変わらない形で、国王ライフが始まった。


「一般地球人でしかなかった俺が、異世界で国王になるとはな〜」


【酔ってしまったんですか、マスター?まだ昼ですよ?】


「酔っていないし、飲んでもいないわ。」


【ではどうしてそのようなお顔を?】


「結局、俺という存在は何なのか、この際だから整理しようと思ってな。」


この世界に転生してから今日でちょうど21年の月日が経過した。この21年で、俺は前世の知識をフル活用してここハーンブルクを世界一の国へと作り変えた。だが、何故この世界に転生したのかは、未だに判明していなかった。小さい頃から様々な手段を試してみたが、転生の真実には一切辿り着けていなかった。

かつて住んでいた国が何処で、どのような所であったかは覚えているが、肝心な所は何一つ覚えていない。


「アイ、お前は俺に嘘をついているだろ。」


【どういう事ですか?】


「最初俺は、神様と何かしらの契約を交わして、自分に関する記憶と神様に関する記憶を消去する代わりに転生したんだと思っていた。アイは転生の特典といったところだな。だが、それは違った。」


【何故違うと思ったのですか?】


「この話には、どうして俺だけがアイを与えられたまま転生したのかの説明が付かないんだ。」


俺の記憶が確かならば、俺はただの一般人であったはずだ。多少他の人々よりも頭が良かったかもしれないが、それだけで異世界転生という稀有な出来事が起きたとは考えにくい。

となるとやはり、転生の原因は俺ではなくアイの方にあると考えるのが妥当だ。

そして今考えてみれば、俺はアイについて肝心な事は何も知らなかった。

アイがついたたった一つの嘘によって、俺は錯覚していた。


俺とアイは、感情と触覚を除いてあらゆる情報が共有されている。俺が見ている景色はアイも見えるし、アイが聞いた出来事は俺も聞こえる。


「つまり、特別なのは俺ではなくアイの方だったんじゃないかって思ったんだ。」


【・・・・・・】


「言いたくないなら別にいい。だが、言いたくなったら教えてくれ。」


【・・・・・・】


アイは何も答えずに、静かに黙っていた。

____________________________

どうでもいい話


ブルーロック面白すぎる。

スピンオフも含めて全巻買っちゃった。

ちなみに私は紙派

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