第9話 姉弟
主催者の俺たちを含め、子供の参加者が多かったため、夜の9時頃に披露宴は一旦お開きとなった。
まだ楽しみたい方は、予め用意してあったバビロン宮殿の近くにあるホテルで各々二次会をする事となった。
普段なら電車はもう動いていないが、今日は特別に23時まで運行する事になっているので、中にはラスベスタやサンセバスに行った人もいるらしい。まぁそこは人それぞれだろう。
ホテルへは家臣に行ってもらい、結婚式場の片付けを使用人たちに任せた俺たちは、やっとの事で家族だけの団欒の時間を作る事ができた。
俺、ユリウス、ファリアの3人で、ソファーでくつろいだ。お父様は親友の王太子殿下と飲みに行き、お母様、ヘレナ、イレーナ、ユリア、クレアの5人は、少し話し合いたい事があるらしく別の所にいる。
という事で、久しぶりに姉弟の時間を楽しんだ。
「改めて、結婚おめでとうございます、兄さん」
「おめでと、レオルド」
「ありがと、ユリウス、姉さん」
天使であるユリウスはハーンブルク鉄道を使えば1時間程度で行けるジア連邦共和国首都リアドリアにいるが、姉のファリアの方は普段はサーマルにいるので、少し久しぶりだった。
彼女は、4歳年上なので今年で19歳になる。
「それにしてもまさか私よりも先に結婚式をする事になるとはね。」
「家督の継承もしなきゃいけなかったからね、ちょうど良かったみたいだよ。」
「えぇ、話は聞いたわ。たしか、宝剣なのよね、見た事ないけど。」
「うん、詳しくは調べてないけど、普通の剣だったよ。」
別に見せちゃいけないなどの決まりは無いらしいが、一応自分の部屋で大事に保管してある。
「僕は、あの宝石の方が気になります。いつの間に拾ったんですか?兄さん」
「そうそう、私も気になった。あんなの王都にも無いわよ?」
「あ〜あれね、作ったんだよ。結構時間かかったけど、何とか納得のいくものができた。」
「「作った?!」」
まさか俺が作ったとは思っていなかった2人は、驚きの声をあげていた。おそらく、俺が作ったとは思わなかったのだろう。
「あぁ、ガラシオル帝国からダイヤモンドの原石を取り寄せて、加工した感じかな〜」
「え?アレってダイヤモンドだったの?それにしてはちょっと綺麗過ぎじゃない?」
「まぁね、多分俺にしか出来ない特殊な方法を使ったからね〜多分他の人には真似出来ないと思うよ。」
俺も詳しくは知らないが、かなりシビアなはずだ。
【光の屈折を上手く計算した上で、かなりの精度で削らないと綺麗に輝きません。いずれ腕の良い宝石商が発見するかもしれませんが、現在の技術では難しいですね。】
だ、そうです。
餅は餅屋、説明はアイ任せが俺の基本スタイルだ。
この2人には聞こえてないけど・・・・・・
【・・・・・・】
「へ〜で?私にはいつ作ってくれるの?」
「え?欲しいの?」
「え?くれないの?」
「う〜む、あと2個分ぐらいは何とかなるかもしれないけど・・・・・・」
あげてもいいが、正直作るのがめんどい。アイに任せてもいいが、なんかちょっと申し訳ない気もする。
【マスター・・・・・・】
すると、優秀な天使、ユリウスが助け舟を出した。
「姉さん、諦めた方がいいです。もうすぐ結婚式やるんですよね。その時に兄さんの渡したやつと比べられちゃったらちょっと可哀想ですよ。」
「確かに・・・・・・」
ナイスユリウスっ!
って思ったら、我が天使には別に考えがあったようで・・・・・・
「代わりに、僕の分を作ってくれませんか?兄さん」
「わかった、任せろっ!ユリウスっ!」
天使からの頼みに、俺は即答した。断れる奴はいない。
「ちょっとっ!私と対応違い過ぎじゃない?」
「まぁユリウスの頼みだし?断れないかなって。」
「まぁ良いわ。また今度、何かの時にもらう事にする。」
元となる原石が無いという事で、ファリアは大人しく引いてくれた。
✳︎
その後、ファリアにも聞かせて良い程度の情報交換をユリウスと行った。
ファリアは置いといて、ユリウスには今回の結婚式で色々と情報を集めるようにお願いしといたのだ。
新たな体制が始動してからまだあまり時間が経っておらず、色々なところで問題が発生している可能性があったからだ。
機密情報に関しては、後日という事にしているが、交換できるものは早めにしておくに限る。
「あ、そういえば、鉄道の方はかなり順調らしいですよ。」
「まじか、意外だな。こっちは覚えさせるのにだいぶ苦労したらしいぞ。」
「おそらくですが、ハーンブルク鉄道のおかげで、鉄道がどういうものか知っている人が多かったのだと思います。」
【思ったよりも、上手く機能しているようですね。少しずつですが、物流の圧迫も軽減されつつあるという報告が上がっています。】
そんな感じに会話をしていると、背後にあった扉が突然開いた。
別室で話し合いをしていたらしい5人が、中に入ってくる。
お母様はいつも通りの落ち着いた様子であったが、残りの4人ーつまり俺のお嫁さん達の様子が少しおかしい。いつも以上に、どこか恥ずかしそうな様子だった。
ちょっと嫌な予感がした。いや良い予感なのかもしれない。
「さぁ、もう夜も遅いわ。レオルドお風呂に入ってきなさい。」
「あ、はい。」
普段と変わらない会話、でも今日だけは少し違う意味に感じる。
「あなたたちもしっかりとね。」
「「「「はいっ!お義母様っ!」」」」
うん、良い予感は当たったっぽい。
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どうでもいい話
最近気づいた、考察できるって事はそれだけ作品がしっかりしているという事。
私のは・・・・・・無理かなぁ〜
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