第17話 民事

ボタン押し忘れました。


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戦勝記念パーティーを開催してから1週間後、久しぶりにシュヴェリーンに戻ってくると、2つの出来事が起きていた。


1つ目は、アルバス河へ遠征中であった『春雨』と『秋雨』がテラトスタに帰港し、『春雨』の艦長を務めていたクレアが鉄道を使いシュヴェリーンへと戻って来ていた。


「ただいま戻りました、レオルド様」


いつものメイド姿で俺の部屋に入って来たクレアは、俺の前で頭を下げた。

隣にはリヒトさんが立っており、たくさんの資料を抱えていた。


「ご苦労様、クレア。さっそく報告を聴かせてくれ・・・・・・」


「はい、陽動作戦は成功し、サーマルディア王国軍本隊の渡河を成功させました。」


クレアが頭を少し下げるのと同時に、リヒトさんが資料を俺に手渡した。

俺はその資料を読み込む。


「残弾数、不発弾、命中弾、撃沈の数はそれぞれ数えてあるよね。」


「はい、『レインシリーズ』2隻合わせて残弾数210、不発弾103、命中弾249、撃沈数395という報告です。」


「思ったより命中しているな・・・・・・」


「はい、敵は密集陣形による行動を行なっていたので、少し弾丸がそれても直撃しました。結果として大量の撃沈数を出しました。また、敵木造船に対して、ハーンブルク家のナパーム弾は圧倒的な破壊力を発揮しました。」


【おそらく、水面及び河底に砲弾が着弾した事によって発生した衝撃によって敵の船を転覆させたのだと思います。】


あーなるほど、そーゆー事ね。


【敵に砲弾を避ける能力が無かったのだと思います。船速が遅い教国の木造船には、至近距離で発射された我が軍の砲撃を避ける手立てが無かったのでしょう。】


なら俺が浪漫を求めて、『アウトレンジ戦法』やろーとか言ったのあまり意味なかった感じ?


【はい、むしろ接近戦の方が、砲撃がほぼ100発100中になるので優位に進めたかもしれません。】


まぁ資料やデータがあまりなかったからなー

俺は悪くない悪くない。


【・・・・・・】


「わかった、報告ありがとう。」


「いかがいたしますか?レオルド様」


「とりあえず乗組員の諸君にはご苦労だったと伝えてくれ。悪いが俺は、今忙しくてテラトスタに行けそうにない。」


今すぐテラトスタか、ミドールに行って、色々と『レインシリーズ』を改良したかったが、少し厄介な問題が発生しているので残念ながら相手にできない。


「はい、わかりました。どのような用事なんですか?」


「お、興味あるなら一緒来るか?楽しくはないかもしれないが、勉強になると思うぞ。」


「はい、ご一緒させて頂きます。」


「じゃあ早速行くか、多分もう用意はできているはずだ。」


そして俺は、クレアとリヒトさんを連れてある場所へと向かう事にした。



✳︎



「ではこれより、第1回ハーンブルク領、民事裁判を行います。」


「「「よろしくお願いします。」」」


4大都市にそれぞれ作られた裁判所、刑事裁判については1週間に2、3回ほど行われていたが、今回初めて民事裁判が行われる事となった。


訴えたのはテラトスタに本拠地を置く小さな商会の内の1つである『デララント商会』、そして訴えられたのはシュヴェリーンに本拠地がある比較的大きな商会である『バルト商会』だった。


ちなみに『デララント商会』というのは、数年前商人に対するガイドラインを作った際に、どの商会よりも先に俺に質問をした男だ。

何となくだが、記憶に残っている。


また、初の民事裁判の公判という事で、多くの商会が傍聴しに来ていた。

もちろん、ただ暇だったからではなく、民事裁判を見てみたいからだろう。


訴えた内容つまり裁判の内容は、随分と単純な話であった。


「今から8日前、ハーンブルク領から王都に物資を輸送する途中であった馬車がハーンブルク領の外で盗賊に襲われ、物資をすべて略奪された。輸送を行っていた『バルト商会』の商人4名は死亡、雇っていた傭兵4名は逃亡し行方不明になった。また、この馬車には『バルト商会』と『デララント商会』を含む複数の小さな商会の物資が運ばれていた。俺の今の認識はそんな所だ、じゃあまずは『デララント商会』の意見から聞こうか。」


俺が声をかけると、『デララント商会』の支配人である例のお爺さんが立ち上がり、話し始めた。


「レオルド様の考えで間違いございません。そして、当商会は『バルト商会』に対して損害賠償と慰謝料として1000万マルクを請求します。」


「なるほど、まぁ当然だよな。では次、『バルト商会』側の意見を述べてくれ。」


俺がそう言うと、今度は『バルト商会』側の代表の男が立ち上がった。


「はい、我々『バルト商会』は、今回の襲撃によって多数の被害を出しております。ですので、賠償金と慰謝料は無しにしてほしいと考えております。」


「それぞれの言い分はわかった。これがもし、ハーンブルク領内で起こった出来事であればハーンブルク家から手当が出たが、ハーンブルク領の外だからハーンブルク家からの支援は難しい、よってこの案件は2つの商会間で行われる事となる、そこはいいか。」


「「はい。」」


俺はとりあえず、両方の商会が合意している部分から潰して行く事にした。


「では次、双方の商会の間で結ばれた契約についてだ。SHSが証拠資料として押収したこの契約書には、馬車がハーンブルク領外で襲われた場合の対処法として、護衛目的で傭兵を4名雇うと書いてある。これについては間違いないな。」


「はい、我々『バルト商会』が『クオンズ商会』から傭兵を雇いました。」


「だが、その傭兵は戦わずに逃げ出したんだろ?」


「は、はい・・・・・・その通りでございます。」


ふむ、どうしたものかね・・・・・・


俺は、誰にどのような形で責任を取らせるかを考えた。

今回の裁判は初回という事もあり、多くの商会の支配人や会員が傍聴していた。当然、下手な判決は下せない。

俺は、全員が納得するような答えの模索を始めた。


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どうでもいい話


作者は朝に弱く、誤字脱字がないかチェックをした結果、誤字が増える事がよくあります。

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