ss 人気投票1位アイ
ランキング1位おめでとうございますっ!
そして、投票していただいた方、ありがとうございますっ!
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私のマスターが8歳になった時、私の世界はガラリと変わった。
今までは、マスターが感じた視覚、聴覚を共有するという形で世界に触れていたが、マスターの覚醒によって、私は実体化が可能になった。
実体化を獲得した事による進化は大きい。
私はマスターのサポートをしつつ、自分の身体を操作する事ができるようになった。
これは大きな事だ。今までの人生で経験した事が無かった事を、自分でできるようになったからだ。
特に味覚を得た事、これは私にとって最も嬉しい事であった。
初めてワッフルを食べた時の感動は、今でも忘れられない。
この世界に、これほど素晴らしいものがあっていいのか、と素直に思った。
アレから4年の月日が経過し、マスターの成長とともに私の活動可能限界時間は3時間から12時間に伸びた。これは、単純に魔力量が増えただけでなく、効率的に魔力を扱えるようになったからだ。
朝8時、いつも通りマスターにお願いし、実体化した私はマスターやマスターの家族と共に朝食を食べる。
実体化された私の体内に入った食べ物は、私の活動エネルギー、つまり魔力へと変換される。これを利用して永久的に活動、とはならないが、+2、3時間ぐらいは活動できるようになる。
さて、本日の朝食は私の好きなワッフルであった。チョコレートやイチゴジャム、ホイップクリームなどをつけてトッピングしつつ、ワッフルを楽しむ。
実は甘いもの好きのヘレナ様が羨ましそうに見ていたが、これはどれだけ食べてもいっさい体重が増えないし、体型も変わらない私の特権だ。
甘いもの×甘いもの=神、という私が発見した神理論に基づいて、皿の上に積まれたワッフルを味わう。
もう最高ですっ!
そしてデザートの、プリン・ア・ラ・モードだ。マスターがハーンブルク家の料理人達にレシピを伝え、彼らが独自にオリジナルを生み出したものだ。
ちなみに、マスターは領民も食べられるように、とレシピを一般公開したため、食後にプリンを出すレストランやプリン専門店が誕生した。
私はこれも好きなので、朝食後は毎日食べるようにしている。
食後、私はいつもの場所に行く事をマスターに伝えた。
【では、行って参ります、マスター】
「わかった。あんまり遅くならないようにしろよ〜」
マスターの許可も得たことですし、いざ参りましょうっ!
いざ、美食の街『サンセバス』へっ!
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いつも通り、シュヴェリーンからハーンブルク鉄道を使って『センサバス』を訪れる。
ちなみに私は、戸籍上はSHSメンバーの1人という事になってあるので1号車に乗れるが、色々と面倒なので普通車に乗った。
7つの駅のうちの6つ目の駅で下車する。
そして私は早速いつもの店に行き、食べ歩きグッズを買った。
「お、いつもの嬢ちゃんじゃねーか、今日もいつもの食べたくかい?」
【はい、10個ほどお願いします。】
「はいよっ。イチゴ大福が10個で1650ベルだ、1つおまけしとくよ。」
【ありがとうございます♪】
いつものイチゴ大福専門店で、1番シンプルなやつをいつも通り10個注文する。私は基本的、シンプル is the bestの精神を持っている。限定には弱いが、店側が1番売り出したい商品を堪能する。
そして、ワッフルと並んでハーンブルク領で覇権を握っている、このイチゴ大福を片手に美食の街を散策した。
少し歩くと、今回の目的であったラーメン屋が見えた。前回ここを訪れた際、次に来た時はここへ行こうと誓った店だ。
少し早い時間帯だったため行列は無く、スムーズに店に入る事ができた。
私は迷わず、空いてるカウンター席に座る。
店主は、40代ぐらいの女性だった。
「おや?もしかして君、美食家の青ちゃんかい?」
【はい、そうですけど・・・・・・】
「いや〜うちに来てくれてありがとうっ。じゃあおすすめのヤツでいいかい?」
【はい、お願いします。】
「了解っ!ラーメン一丁っ!」
余談だが、何故か私はこの街で、『美食家の青』と呼ばれている。
一体誰がこう呼び始めたのかは知らないが、青ちゃんが認めた店は繁盛するという噂が立ち、何故か私が来店すると喜ばれるようになった。
最初に訪れたイチゴ大福専門店も、始めのうちはただの一店舗でしか無かったが、私が通うようになってから、この街1番のイチゴ大福専門店となった。
毎日、すぐに売り切れになってしまうが、店長のご厚意で、私の分(10個)だけは毎日確保してくれている。
「はい、お待ちどぉー」
そんな掛け声とともに、私の目の前に美味しそうなラーメンが置かれた。
手を拭いて私は、右手に割り箸、左手にレンゲを持ち、準備万全の状況で用意されたラーメンを眺める。
まずは香り、良し。
次はレンゲを使って、スープを味わう。
店主おすすめのとてもコクがあるしょうゆ豚骨スープは、確かに絶品だった。
続いて麺、細麺派の私もにっこりの細麺を割り箸を使って一気に味わう。
【美味しい・・・・・・】
「そいつぁ良かったよっ!」
【凄く美味しいです、これなら人気になるのも頷けますっ!】
「ありがとう、これからもよろしく頼むよ、青ちゃんっ!」
【はいっ!】
私は、最後まで食べ切ると、次なる美食を探すために、料金を支払って店を後にした。
さぁ次は、どんなお菓子や料理が私を待っているだろうか。
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どうでもいい話
アイは食いしん坊キャラに進化させました。
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