第11話 路線


「兄さんっ!義姉さんっ!」


「おぉユリウス、元気だったか?」

「こんにちは、ユリウス。」


「はいっ!兄さんも義姉さんもお元気そうで何よりですっ!」


俺たちは、シュヴェリーンから北西方向に50kmほどのところにあるジア連邦共和国の首都リアドリアへと到着した。

整備された道を一直線、いつも通り馬車でやってきた。


久しぶりに会った俺の天使こと、ユリウスとの再会を喜びつつ、俺たちはここに来た目的を告げる。


「早速だが、例の物を見せてくれ。」


「は、はい、兄さんっ。」


「ここに来るまでの間、何度か様子を確認したが、もう完成しているようだな。」


「はい、ハーンブルク領からも優秀な技術者を呼んで、急ピッチで工事しました。既に港までの方も完成しています。」


「そいつは何よりだ。」


【想像よりもずっと早く完成しましたね。それだけ労働者数が多かったという事でしょうか。】


ジア連邦も、ハーンブルク領と同じように人が都市に集まって来ているって聞いたからそれのおかげじゃない?


【おそらくそうでしょうね。】


俺は、既に完成した鉄道の駅を眺める。その大きさは首都にふさわしく、華やかなものとなっていた。何というか、俺がデザインしたハーンブルク領の駅よりもかっこいい・・・・・・


今から1年以上前、ギャルドラン王国とサーマルディア王国の間の緊張が高まっているという報告をSHSから受けた俺はすぐさまユリウスの下を訪ねると今後の動きについて会議を行った。

そしてその際、俺はユリウスを含めたジア連邦共和国とある取引を行なっていた。

それは、今回の戦争でジア連邦共和国がハーンブルク軍の傘下に入り、戦後は連邦軍を統一軍に編入させる代わりに、シュヴェリーン、リアドリア、ジア連邦共和国の湾岸都市『サラ』の3つの都市を繋ぐ鉄道をハーンブルク家のお金で建設するというものであった。

いずれ戦争が勃発する事はわかっていたので、工事は前払いとしてすぐに始まった。

シュヴェリーンーテラトスタ間の60kmよりも長い100kmほどの距離を線路で繋ぐ。

距離は伸びたものの、同じ作業を以前にもやった事があったので、ハーンブルク領の経験者達を中心に、工事が行われた。

また、この鉄道は『サラ』に加えて選挙を実施している10の地区のうちの4つの都市を通過する事になっており、それぞれの都市には駅が建設された。

もちろんシュヴェリーン駅にも、ハーンブルク鉄道の横に新たに4本の線路が追加された。シュヴェリーン駅を建設する段階から、こうなる事は想定されていたので、しっかりとホームは用意されていたのだ。


「『サラ』の方も大丈夫なのか?」


「はい、以前実証実験を行いましたが、特に問題なく完走できました。」


「そうか、それは良かった。」


「やはり、ハーンブルク鉄道で実際に走っている姿を見たことがあるものが多いようで、思ったよりもスムーズに事が進みました。これも全て、兄さんのおかげですっ!」


「お、おう。」


ハーンブルク鉄道を電動化するにあたって、今まで使っていた蒸気機関車をどうするか問題になったが、改良を加えた上でジア連邦共和国内を走らせる事となった。

まぁ捨てるのはもったいないし、最新ではないもののかなり高度な技術が使われており、まだまだ現役として走らせる事ができる。

また、連邦国内で採れた石炭を上手に活用する事もできるのだ。これを活用しない手はなかった。

ちなみに、利益に関してはハーンブルク領とジア連邦共和国で50-50で分ける事となった。『サラ』からリアドリアまでを連邦国、リアドリアからシュヴェリーンまでをハーンブルク家が運営するという案もあったが、それだと色々とややこしくなるので、共同で運営する事になった。

ただ、ハーンブルク領の学校を卒業していないと運転手や車掌になる試験は受からないので、その辺は少しアドバンテージがある。


【これで、ハーンブルク領内の物流問題はかなり解決されますね。】


あぁ、これであとは『サラ』を経済特区にしてハーンブルク領に属する商会や企業を参入させて一気に発展させれば、完璧だ。


【シュヴェリーン、テラトスタ、リアドリア、サラの4都市に分散させる事によって、地価の高騰も上手くまとまるはずです。ハーンブルク領内の人口が少し減少するかもしれませんが、全体的に見ればかなりのプラスとなります。】


そうだな。あとは、テラトスタと『サラ』を繋げてみても面白いかもしれないな。


【そうですね、今のところは必要ありませんが、いずれはありあるかもしれません。】


「よし、これで解決だ。」


上手くまとまった事を喜び、思わずそんな言葉が漏れる。

すると、俺のこの台詞を待っていたかのようにヘレナが口を挟んだ。


「ではレオルド様、お話もまとまったようですし、この後はリアドリアで久しぶりのデートと行きませんか?」


「あ、うん。」


「ふふふ、実は私、このタイミングをずっと狙っていたんですよっ!ではいきましょ。」


「まぁ、久しぶりだし、楽しむかっ!」


たまにはこういうのもいいだろうと、ヘレナと一緒に久しぶりの夜のリアドリア街を楽しんだ。




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どうでもいい話


次話から人気投票で上位をとったキャラ達のssが始まりますっ!

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