第18話 内面

前半はイレーナ視点、後半は別の人の視点になります。お楽しみにっ!


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さて、まずは状況を整理しよう。

現状、ハーンブルク海軍の軍人は誰も見当たらず、唯一の頼みの綱であった無線も繋がらない。

何かメモや痕跡が無いか探したが、何もない。色々な場所を周り、誰かがいた痕跡を探したが、見つからなかった。


ここで考えられる可能性は3つ、


1つ目は、ここが夢の中である可能性。まぁおそらく無い。何故なら先程、謎の人影を追いかけている時、誤って壁に身体をぶつけたが、しっかりと痛みを感じたからだ。

夢の中なら痛みは感じないはず、よってここは夢ではない。


2つ目は、これがレオルドによる悪戯の可能性。実際あり得そうだが、ここが現実世界なら先程の人影の説明がつかない。


最後は、ここが物語の中である可能性。実をいうと、これが一番可能性が高いのではないか、と考えている。

これならば全部に説明がつく。

だけど、そんなものが存在するはずがないと考えている自分もいる。


「はぁ・・・・・・全部ダメね。何か決定的な証拠が有ればいいのだけど・・・・・・」


後何か私にできる事はないか、と辺りを見回す。私は魔力が無いので、魔法は使えない。

水と食料は食堂に残っていたから多分大丈夫。

寝床もある。


とりあえず生きられる状態は確保できているが、ひとりぼっちなのは変わらない。

さて、どうしようか改めて考える。試せる手は全部試したい。

まずは今がいつなのかを知りたい。レオルドがいれば、太陽の位置からおおよその季節と時刻を計算できるが、私には無理。

今は朝なので、もちろん星は見えない。

他に何か、使えそうなものは・・・・・・


「そうだわ航海日誌よっ!ここが神の世界だとしても、レオルドの日誌は残っているはずっ!それが見つかれば、一歩前進できるわっ!」


先程食堂に、水と食料が残っていた。という事は、人はいなくても、物は残っているはずだ。


そう思った私は、すぐさまレオルドの部屋へと戻った。

レオルドは、実は結構几帳面な人間で、毎週何かしらの日誌を書いていた事を思い出す。確か昨日も、夜寝る前に日誌を書いていた。


「確かここに・・・・・・」


レオルドがいつも保管している場所を探すと、予想通りいつもよく見る日誌を発見した。他人の日誌を見るのは、マナー違反かもしれないが、今回だけはしょうがない。

私は早速、分厚い日誌を開いた。

レオルドと出会ってからおよそ8年、思えば私は、初めてこの日誌の中身を覗いたかもしれない。

恐る恐る中を開く。


たまたま開いたページを見て、私は手が止まった。



✳︎



話は、2日ほど前に遡る。


お母様からの返事が来るまで、とりあえず待機をするしかない俺たちは、デュークス島にしかない、人の手が入っていないそのままの自然を楽しみつつ、片方のお嫁さんとイチャイチャしていた。

もう一度言おう、片方の。


なんか最近、イレーナが冷たい気がするのだ。

というわけで、おそらくこの世界で最もイレーナに詳しい人物に聞いてみたところ。


「イレーナは少し、素直になれないところがありますからね。イレーナが驚く事をしてあげるといいと思いますよ。」


「なるほど・・・・・・」


さらに、アイにどうすればいいか聞いてみたところ・・・・・・


【とりあえず、サプライズプレゼントをあげてみては?】


あーなるほど。

相手は14歳だもんな。

よし、ちょうどいいし、アレをやろっと。


考え始めて2秒後、ある名案が思い浮かんだ俺は、早速実行に移す事にした。早急に海軍の将校達を呼び出すと、とある計画を伝えた。最初のうちは、何故こんな事をするのか、と疑問に思っていた俺が目的と理由を伝えると、納得してくれた。

ちなみに計画を伝えた時の2人の反応は・・・・・・


「・・・・・・しっかりとケアをしてあげて下さいね。」

【マスターに考えさせた私が馬鹿でした・・・・・・】


うーんあまり良い反応では無かった。

まぁ喜ぶかどうかはイレーナ次第、サプライズ要素は大、何とかなるだろう。


さて、現在の時刻は深夜2時、まだ日が登っていないというのに俺やハーンブルク海軍の軍人のほぼ全員が目を覚ましていた。

さぁ、行動開始だ。




✳︎




【・・・・・・人間として最低ですね。】


大丈夫大丈夫、ドッキリ大成功のプラカードは持ったから。


【はぁ・・・・・・】


計画は成功した。前々から夜間での戦闘訓練をしたいな〜って思っていたところ、俺はとても素晴らしい事を思いついたのだ。

本番では、音を立てずに迅速な行動が求められる事がある。そこで、イレーナには内緒でサキナ軍港から全員で出港するという訓練を行うことにした。


上手くいった事に満足した俺は、アイを使ってちょっとした演出も行った。結果はもちろん大成功、イレーナは俺の予想通り慌てふためき、涙まで流していた。

人間は、極限状態では正常に判断を下さないことがある。ちなみに、イレーナが変な事をしようとしたらすぐに止めに入れるように、至る所にSHSメンバーが隠れている。

俺はというと、屋根の上に隠れながらイレーナを観察しつつ、いつネタバラシしようか考えていた。


【レオルド様、どうやらイレーナ様は最初の部屋へと戻ったようです。そろそろ可愛そうなのでネタバラシしてあげては?】


しゃーない。

楽しかった時間もそろそろ終わるか。


【おそらく、説教1時間では済まないかと・・・・・・】


まぁそのぐらいは覚悟していたさ。


【説教だけで終わるといいですね。もしかしたら、アレが上手くいく可能性もありますし。】


アレって何?


【いえ、気にしないでください。】


はいはい。

そんじゃ、行きますか。


屋根の上から降り、イレーナが入っていった部屋の前に立つ。

そして、勢いよく扉を開けた。


「テッテレー、ドッキリ大成功ーっ!!!」


「レオルドっ・・・・・・あなた・・・・・・」


「って、アレ?」


期待していた反応が得られず、意味が分からず、困惑する。

見ると、彼女は俺の日誌を片手に持ちながら、涙を流していた。



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どうでもいい話


今日はカクヨムからの給料日ですっ!カクヨムさんありがとうっ!これで今日は、ちょっと高級な所に行けますっ!




え?

内容の話は無いのかって?

大丈夫、私も良く分からん。

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