第7話 sideクレア11
「皆さーん、こっちですよー」
「「「はーい!」」」
子供の成長というのは早いもので、あんなに小さかった子供達は簡単な言葉ならば話せるようになっていた。長男であるレンくんなんかは既に歩けるようになっており、私は子供達の成長を誰よりも実感していた。
「今日は積み木で遊びましょうねぇ〜。」
「「「はーい!!!」」」
レオルド様、イレーナ、ユリア、リーシャの4人は日々政務で忙しく、ヘレナとフィーナはレオルド様のサポートで忙しいため、必然的に私が子供達の面倒を見る時間が増えた。
その結果、小学校に通い始めるまでの間は私が子供達の教師となって勉強を教える事となった。
まぁ、勉強といっても科学や数学のような勉強ではなく、発想力や兄弟姉妹間の仲を深める事の方が主目的であり、半分遊びのようなものであった。
今は積み木で遊ぶ時間であり、子供たちはそれぞれグループになって積み木を楽しんだ。ちなみに、この積み木という玩具はレオルドが考案して、エリナ様が経営する企業が製造販売を行っている商品だ。積み木は子供達にかなり人気で、よくみんなで協力してバビロン宮殿なんかを作ったりしている。先日は、レオルド様も混じってシュヴェリーン駅を作っていたが、素直に凄いと思った。
「クレアママーあそぼー」
「いいですよ。今日は何を作りましょうか?」
「シュヴェリーンタワーをつくりたーい!」
「シュヴェリーンタワーですか?!」
今回のようなレオルド様達がいない時は、私が子供達に混ざって遊ぶのだが、たまに軽い気持ちではできない遊びを提案される事がある。
「うん!この前パパが連れてってくれたやつをつくりたーい!」
「僕も〜!」
「私も〜!」
「わかりました。ではみんなで協力して作りましょうね〜」
ふと、不器用な私なんかより、子供達の方がよっぽど頭の回転が早いと感じる事が多々ある。もちろん、知識や経験といった今までの人類に求められていた能力も凄まじいが、発想力や応用力といった能力が突出していた。私が親バカなだけかもしれないが、彼ら彼女らは様々な場面で才能の一端をみせていた。
「レンお兄様〜どうですか?」
「凄いね、サクラの良さが出ていると思うよ。」
「えへへ〜ありがとうございます、お兄様」
ここで一緒に遊んでいるメンバーは11人と、ちょうどサッカーチームが作れる人数で、その内の7人がレオルド様の実の子供だ。ちなみに内訳は、ヘレナの子供が1人、私、イレーナ、ユリアの子供が2人ずつ、レオルド様の姉であるファリア様の子供が2人、カレンさんの子供が2人だ。
もちろん、今後も増える事が予想されており、もしかしたらこの中からカップルが誕生するかもしれない。
お遊戯が終わったら、次は昼食だ。
ハーンブルク家お抱えの一流の料理人達が数人おり、彼らが子供達の年齢に合わせて栄養バランスの取れた食事を提供してくれている。
「わー美味しそうー」
「いただきますしていい〜?」
「いいですよ、食べましょうか。」
「「「いただきます!」」」
実はこの言葉も、レオルド様が広めた言葉の一つだ。今ではハーンブルク連邦内の家庭で当たり前のように言われているセリフだか、それまではそれぞれの所属する宗教によってバラバラであった。
しかし、レオルド様が全ての食材に感謝するという意味を込めて「いただきます」という言葉を使っているという噂が流れた直後からそれで統一されるようになった。
レオルド様は天才だ。文化という力で国民をコントロールして、全体的な底上げを行っている。これが、ハーンブルク連邦とそれ以外の国々の差だ。
昼食をとり終えたら、今度は外遊びの時間だ。各々好きな事をして遊ぶ時間になっており、今日はアオイが提案したサッカーをみんなで楽しんでいた。今やサッカーは国民的なスポーツとなっており、レンぐらいの年になるとみんな近所にある公園などでサッカーを楽しんでいた。
私は密かに、サッカーの存在もハーンブルク連邦の発展の要因の一つだと考えている。サッカーは今もなお、国民の娯楽として定着しており、国民達の人生に楽しみを与えた。ハーンブルク連邦の国民ならば老若男女問わずサッカーは大好きだろうし、全員が1度はスタジアムに足を運んだ事があるはずだ。仮にスタジアムに行かなくても、ラジオがあれば国内であれば何処からでも実況を聞く事ができるし、新聞を買えばサッカーについての情報がたくさん手に入る。
サッカーがもたらす恩恵は、それだけではない。サッカーに注目が集まれば集まるほど、サッカーにお金が絡む。収入は、サッカーのチケット代だけじゃない。広告収入だったり、応援グッズなどでも儲けている。実際ハーンブルク家が直接経営しているRSWは年間で中小企業ならいくつか買収できるぐらいの利益を出しており、まさに金のなる木のような状態であった。
ちなみに、RSW以外のサッカーチームは既に全て格安で売り払っており、民間企業や州なんかが経営している。そうする事によって競争を発生させ、サッカーをドンドンと盛り上げているというわけだ。
全ては計算されている。改めて私の夫は、私が想像する何倍もすごい人だという事が、よくわかった。
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どうでもいい話
ヒロインズで一番しっかりしているのは間違いなくクレアだと思う。
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