第4話 sideスピカ2

少し前




「見えましたっ!アレが・・・・・・」


ギャルドラン王国を出発したスピカが艦長代理を務める『マウントシリーズ』の1つ『穂高』は、ユトラ半島を出港してすぐにレオルドの艦隊とは別の方向に向かって進んでいった。

彼女らが乗る『荒川』には最新式の射程20km級の大砲は装備していないものの、1世代前の8000m級の大砲と自慢の船速を誇っていた。

また、200名の乗組員全員が『M-3』ライフルを装備しており、1隻ではあるが世界最高クラスの戦力を有していた。


「まさか亜人である我々に、旧型の黒船や帆船ではなく、最新型の『マウントシリーズ』を貸してもらえるとは、我々エルフとハーンブルク人の絆の深さを感じますな。」


「そうですね。私も最近は、長年あの島で閉じこもっていた事がバカバカしく感じます。」


第二艦隊所属『荒川』は、ハーンブルク海軍の中で唯一、乗組員全員がエルフであった。

エルフ達は、エルフ側の代表である私を先頭に、ハーンブルク家やハーンブルク領で暮らす人々との交流を深めていた。

同時に、今まで一度もハワフ島から出た事が無かったエルフ達も、よくハーンブルク領に遊びに行くようになった。その結果、今ではエルフ達の人間に対する捉え方に大きな変化が現れた。


「最近では、故郷の子供の中にハーンブルク領の学校で学びたいと言っている子が増えているとも聞いています。」

「私のところも、ハーンブルク家と取引を初めてから美味しいものがたくさん入ってくると、皆大喜びであったな。」

「ハーンブルク家のおかげで、街が豊かになった。」


また、この『荒川』は、ハーンブルク海軍所属でありながら、エルフ共和国の旗を両方同時に掲げていた。この船は、ハワフ島ーテラトスタ間の護衛を務めており、エルフ達にとっては『友好の架け橋』となるような船であった。


「全員、そろそろ目的地に着きます。共通語ではなく、亜人語に切り替えましょう。」


「「「了解っ!(亜人語)」」」


そんな彼らが目指すのは、海の向こう側の亜人の国、つまりパラス王国だった。

ガラシオル帝国との交流によって得た情報から、パラス王国の貿易都市の位置は割り出せていた。


何故レオルドではなく、私達エルフだけでパラス王国を目指したのかというと、それには理由があった。

亜人は人間を憎み、人間は亜人を嫌う。それがこの世界の鉄則であった。ハーンブルク領のように、亜人(エルフ)と人間が共に生活をするなど、夢のまた夢の世界であった。

もちろん、人間と亜人が共に暮らしている例が全く無いわけではない。頑張って探せば、もしかしたら亜人と人間が結婚している例だってあるかもしれない。しかしそのような例は、限りなくゼロに近い。

亜人に寛容なレオルド様と、人間に寛容なエルフだったからこそ実現できたものだと思っている。


そして今回、亜人の国であるパラス王国と国交を結びたいわけだが、レオルド様はハーンブルク家として外交するのは現段階では難しいと判断し、私達エルフがその大役を任される形となった。

私達は、ハーンブルク家ではなくエルフ共和国の代表として、パラス王国に来たという事にするのだ。


「は、初めまして、エルフ共和国から来ました、スピカですっ!(亜人語)」


「エルフかっ!この辺じゃ見ない種族だなっ!だが、同胞ならいつでも歓迎するぜっ!(亜人語)」


「あ、ありがとうございます。あの、まずはこの街の領主様に挨拶がしたいと思います。案内していただけませんか?(亜人語)」


「おう、いいぜっ!ついてきなっ!(亜人語)」


アポなし訪問であったが、警備兵だと思われる獣人の男は、私達を快く迎えてくれた。

念のため、艦内に140名を待機させつつ、私を中心とした上陸班10名は彼の案内に従って領主さんの下へと案内してくれた。


「俺はエルフを初めて見たが、どっちから来たんだ?(亜人語)」


「海の向こう側の、小さな島です。そこに、エルフだけが暮らす島があるんです。(亜人語)」


「へ〜そんなところに住んでいるんだ。知らなかったぜ。(亜人語)」


この辺じゃエルフは珍しいらしく、道中よくガン見されていたが、昔のハーンブルク領を歩いていた頃を思い出して、少し笑ってしまった。

ひとまずは潜入に成功、あとはエルフ共和国との国交の樹立、もしくは貿易ができれば任務完了だ。


「さっ!着いたぞっ!ここが、領主様の屋敷だ。(亜人語)」


「ここが・・・・・・(亜人語)」


大きさとしては、ハーンブルク家の旧領主館よりも少し小さいぐらい。どちらかというと、ハワフ島にあるエルフの長の屋敷に似ている。

屋敷の中に入ると、すぐに客間に案内された。ちなみに、武器などは一応没収された。

だが、隠し持っていたハンドガンに関しては、どうやらこれが武器であると認識できなかったようで、スルーされた。


私は、とても緊張しながら、この街の領主との対談を始めた。


「話は聞いているぜ、エルフの嬢ちゃん。俺たちと話がしたいそうだな、さぁ用件を言ってくれ。(亜人語)」


「はい、私達はパラス王国と貿易がしたいと考えております。(亜人語)」



______________________________


どうでもいい話


昨日、何故か日間PV数が5000下がった泣


原因ずっと考えていて、

スプラトゥーンやっている最中に、あ、これだって気づいた。

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