第13話 包囲

「クレア〜〜後どんぐらい?」


「現在のペースで行軍を続ければ明後日には到着すると思います。」


「マジかよ、遠すぎじゃん。」


美しく燃える焚き火を眺めながら、俺は呟いた。

ジオルターンを出発してから、結構な時間が経過した気がしたが、まだまだ長い道のりである事を知って少し落ち込む。


「一応敵国内なので気を引き締めて下さい。」


「はいはい。」


エラリア国王との対談で、ラトシア王国領の放棄をする代わりに大都市圏構想に参加してもらう、という約束をした俺たちは、5000の兵士を連れてジオルターンから南下を開始した。

そして連邦共和国領を突っ切り、リトア王国領に侵入していた。

というのも、撤退の準備がほぼ終わり、最低限の連邦兵士を残してシュヴェリーンに戻って、ヘレナとイチャイチャ新婚生活をしたいな〜って思っていた俺の下に、興味深い報告が飛んで来たのだ。


「エリナ様が、ポラド王国とリトア王国の連合軍を打ち破り、リトア王国の王都を包囲する事に成功しました。」


「はいっ?」


俺は思わず言葉を失った。王都の包囲に成功した?

というかいつの間にポラド王国とリトア王国の連合軍に勝ったんだよ。


「それ本当なの?」


「はい、エレナ様は推定兵力8万の敵連合軍を我が軍の新兵器を用いて撃破に成功しました。そしてさらに追撃を行い、リトア王国の王都を完全に包囲しました。」


「俺が知らない間に・・・・・・」


「それが、エレナ様の命令でレオルド様がラトシア王国戦に集中できるようギリギリまで秘密にするように、と言われておりまして・・・・・・」


お母様との連絡役を任されていた部下は申し訳無さそうに下を向きながら答えた。まぁ確かに、俺よりもお母様の方が階級は上だし、立場も上だからこの男に悪いところは一切無い。


だが、リトア王国領をどうするかはキチンとした対応をしないと後々面倒になる事は目に見えていたのでそれの為の作戦もいくつか用意していた。

お母様なら良い選択をしてくれると信じているが、俺にはいくつか懸念点があるので一応向かう事にした。

ちなみに、イレーナもついて行きたいと言っていたが、ヘレナから寂しいです、という手紙が届いたため、イレーナを先に帰らせる事にした。

まぁここは仕方ない。それに、やってもらいたい事もあるし。


俺たちは現在リトア王国内にキャンプ地を作り、そこで一晩休憩する事にした。


【マスターは行く必要無いのでは?】


いや、あのままジオルターンで待っててもしょうがないし、一応応援に行こうと思ってね。


【親子愛というやつですか?】


まぁそうな感じかな。

特に俺は、お母様に色々と助けられた存在だからね、その分愛情も濃いんだと思う。


【なるほど、何となくですが、私にも理解できたかも知れません。】


アイは最近、人間味が増している気がするな。


【そうでしょうか。】


あぁ、そうだと思うぞ。実際最初の方は事務的な事ばっかり言っていたけど、最近は色々と話し相手になってくれる事が多い気がする。

あと色々な料理を美味しそうに食べる姿は正直人間にしか見えない。


【・・・・・・そうかもしれませんね。ですが安心して下さい、これからもいつまでも私はマスターの相棒ですから】


おう、頼むぞ。


そんな変な会話をしながら、俺はお母様の下へと向かった。



✳︎



同じ頃、サーマルディア王国とギャルドラン王国の戦争は、予想通り戦争の長期化への道を突っ走っていた。

侵略を企むギャルドラン王国に対して、サーマルディア王国軍は前回同様王太子を総大将とした軍を派遣して応戦した。


最初に攻撃を行ったのはギャルドラン王国側であった。

ギャルドラン王国の目的は大きく分けて2つ、それは領土の拡大と布教だ。

そのためか、軍をサーマルディア王国の王都方面に本隊、トリアス地区方面に別働隊と2つに分けて侵略を行った。

戦力の分散は一見悪手にも見えるが、現在サーマルディア王国には元トリアス教国首都プロスにも国防軍を配備しており、2方向からの攻撃が予想されたのでこのように分散させる事となった。


それに対して、サーマルディア王国の宰相であり、軍師でもある男ギュスターはこの動きを予想していた。

そして、王都方面に国防軍と傭兵を、トリアス地区方面に国防軍と貴族の私兵を展開させた。


トリアス教国方面は、サーマルディア王国側が6万、ギャルドラン王国側が5万とほぼ拮抗し、膠着状態となった。

また、両軍とも戦闘には消極的になっており、一進一退が続いていた。


一方の王都方面は激戦となった。サーマルディア王国軍12万とギャルドラン王国軍15万が何度も激突した。


ギャルドラン王国の予想兵力は合計で15万とされていたが、同盟国(ほぼ属国)となっていたポラド王国とリトア王国から傭兵を大量に雇い入れ戦力を増強していた。

特に、遊牧民族が過半数を占めるポラド王国から派遣された優秀な戦士達何人も前線に出てきたため、サーマルディア王国は苦戦を強いられた。



______________________________


どうでもいい話


またもや微妙な終わり方・・・・・・

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