ss 脱出ゲーム①

閲覧注意


特定の人物を過度に不快にする内容が含まれています。


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「はぁぁ・・・・・・今日も疲れたな~」


ネット小説作家の世界は厳しい。

カクヨムは1話あたり1500文字~3500文字ぐらいがちょうど良いとされているが、その1話を作るためにかかる時間は人によって長かったり短かったりする。

私は個人的に、自分は早い方なのかな~って感じているが、比べる友人がいないので、実際のところはどうかわからない。それでも毎日、3000文字弱の物語を世に送り出している。

今日の分は既に投稿されており、現在は明日の分を書いているという状況だ。風景や登場人物の心情を想像しながら舞台の上で踊らせる。過去に散りばめた伏線や隠された小ネタを上手く利用しながら、世界を組み立てる。


「このくらいで一旦休憩するかな〜」


私は、先程まで没頭していたpcから手を離した。『どらごん』たる私も、休憩は必要であり、その休憩にはワッフルが必要である。

私は、用意したワッフルに生クリームをトッピングさせて食べる。


美味しい。この上なく美味しい。


これだけで、今日の疲れが取れた気がする。

ワッフルの素晴らしさを味わいながら、再びpcの画面を見つめる。すると、通知欄に公式から変なモノが届いていたのを見つけた。


「何コレ、新機能のベータテスト?そんな告知とか無かったよな。へ〜書いた作品の世界を体験できるのか〜凄いなぁ〜」


そう思いながら、下へとスクロールする。

流石天下のKADOKAWAだな〜と、他人事だと思っていたが、スクロールしていて気がついた。


「ってちょっとまって、ベータテスターに選ばれたっぽい。」


てっきり、こんな事しま〜すっていうアップデート予告だと思っていたが、違うらしい。

というか、1番最初のところにベータテストって書いてあるじゃん。


「ん〜今日は金曜日で明日は休みだし、やってみるかな〜」


てっきり、メタバース空間でもできるのだと思っていた。ベータテスターなんてなった事無かったし、どーせならやってみようかな〜と、そんな感覚だった。


こんな事になるとは知らず・・・・・・


「ま、ものは試しだな。」



✳︎



「ここは?」


気づいた時には、私は何処かもわからない原っぱで寝転んでいた。


「何処だぁ?」


とりあえず起き上がって、辺りを見回す。

ん〜何もな・・・・・・いや、ある。

私の目の前には、大きな街が広がっていた。もちろん、私が住んでいた街、というわけではない。そこは、何処かで見たことが街だった。


「嘘でしょ?もしかして・・・・・・」


私が、記憶の中にあるこの都市の名前を口にしようとすると、それを遮るかのように、後ろから声をかけられた。


「おい、そこのお前、大丈夫か?」


「あ、はい。大丈夫です。」


この私が背後を取られるとは・・・・・・なかなかやるな・・・・・・

とはならず、私は普通に返答してしまった。

『どらごん』は、別に強いわけではないのだ。


「そうか、お前もレオルド様の結婚式を見に来た口だろ?なら急いだ方がいいと思うぞ、もうすぐ始まってしまう。」


「結婚式?」


「何だ、知らないのか?今日の3時から、レオルド様の結婚式が行われる。パレードなら誰でも見られるからそれを見に来たのかと思ったぜ。」


「パレード・・・・・・せっかくなので、行ってみます、ありがとうございました。」


「おうよ。お前も楽しめよ。」


「はい。」


私がそう答えると、彼は満足したようで、街に向かって行ってしまった。

そして、気付く。

いや、気付かされた。


ここは、私の作品の中であり、ハーンブルク領の首都シュヴェリーンの中心にある大きな公園の中である事に。ちょうどここは、レオルドが告白をした場所だ。

そして、先ほどの男の話では、今日は結婚式当日らしい。


「わけわかないけど、カクヨムの新機能ってのは作品の中に潜り込める機能なのかな。」


私は1人、そんな事を呟いた。

そんな事はあり得ないと思ったが、ここが現実である事を私の脳が告げていた。


そして、それと同時にとんでもない事に気づいた。

急いで、ポケットの中などを確認する。

・・・・・・もちろん所持金はゼロ。それどころか、何も持ってない。

というか、説明すら聞いていないから、この世界から出る方法も聞いていない。つまり、どうやら私は、この世界に取り残されてしまったようだ。


「ちょっと待って、これ色々と不味いんじゃない?」


私は、頭の中で考える。

そんな時、私はある名案を思いついた。


「そうだっ!佐々木サイというキャラを登場させればいいんだっ!」


思いついた直後は、名案だと思った。しかし、大事な事を忘れていた。


「そうじゃん、今の私書くためのツール無いじゃん。」


自分のアホさに恥ずかしくなったが、再び思考を巡らせる。

外部と連絡を取る手段は一切ない。

シュヴェリーンの街並みは頭に入っているが、無一文なので公共交通機関は使えないし、かといってできそうな事はない。


ならば、登場人物の誰かに助けてもらうしか方法はない。では一旦誰に相談するべきなのか。

この世界が前作の世界ならば話は早い、結人か咲夜に出会えれば勝ちは確定する。だが、この世界にはこの問題を解決できそうな人はいない。


いや、1人いた。


「あの人物だ、あの人物ならここから脱出できるかも・・・・・・」


これからすべき行動を整理した私は、すぐに実行に移した。



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どうでもいい話


軽い気持ちで行った事が、人を傷つけてしまういい例だと思います。。



終わらなかったので、明日後編を投稿します。

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