第11話 sideリーシャ

「見て下さいお姉様。獣王国で見た船と同型の船があんなにたくさんありますよ。」


「もしかして、この全てが軍艦なのでしょうか・・・・・・?」


「そのようですね。どのような兵器が搭載されているかまではわかりませんが、私たちの国の海軍よりも強力な事は確実ですね。」


「そのようですね・・・・・・」


ハワフ島での補給を挟み、やっとの事でハーンブルク領の玄関口であるテラトスタに到着した。早速船を降りると、そこには噂以上の湾岸都市が広がっていた。地面が見えなくなるほどたくさんの建物が並び立っており、その中には見た事も無い建物も多くあった。

私は、ここが異国の地である事を再認識させられた。ここは、ファルティオン王国ではなくハーンブルク領なのだ。


ハーンブルク領の代表の案内に従って、私たちはテラトスタの街中を進んだ。馬車での移動を薦められたが、せっかくなら街の中を自分の足で歩いてみたいと言ったところ、馬車が通る予定だった道のみという条件で許可を貰えた。

湾岸都市テラトスタ、本当に凄い所だ。ほんの少しだけしかまだ見れていないが、それだけでも圧倒された。


そして少し歩くと、私は再び驚かされる事になった。


「これが、以前あなたが言っていた鉄道という乗り物ですか?」


「そうです、お姉様。こちらがハーンブルク領の大動脈であり、シュヴェリーンとテラトスタを含むハーンブルク領の主要都市を結ぶ鉄道という乗り物です。」


「これが・・・・・・」


何も知らない人が見ても、これを鉄の塊としか認識できないだろう。私も、フィーナから鉄道の話を聞いていなかったら、同じような感想しか出てこなかっただろう。

私は、案内に従って車両に乗った。


「ハーンブルク領の急激な発展を支えているのがこの鉄道です。これによって、人や物の移動が活発になり、あの爆発的な発展をもたらしたと聞いております。」


「一体どのような思考回路を持っていれば、このような物を発明できるのでしょうか・・・・・・」


「さぁ・・・・・・私にもレオルド様の考え方は分かりません。」


「本当に、とんでもないお方ですね・・・・・・」


私たちを乗せた鉄道は、計画通りに街中を走った。馬車の数倍の速さで走る鉄道は、休憩を一切挟まずにシュヴェリーンに直行した。

なるほど、確かにこれは驚異的な発明だ。通常馬車は、一度にそれほど多くの荷物を運ばない上、速度は遅いし、馬を休ませる為に適度な休息も必要だ。それらを全てすっ飛ばして人や物を運ぶ事ができるこの鉄道はまさに革命だ。

一体どのような作りになっているのだろうか、私には想像もできない。


鉄道は無事、終点のシュヴェリーンに到着した。鉄道から降りると、巨大な駅と建物群が私たちを出迎えた。そして、駅から見える位置に、私たちがこれから向かう事になる白き神殿、バビロン宮殿が見えた。まさに、世界の中心シュヴェリーンを象徴するかのような美しさであった。


「何これ・・・・・・」


私達の街であるフォルテとは比べ物にならないぐらい活気に溢れており、私たちはその景色に圧倒された。本当に別世界だ・・・・・・

以前聞いた噂、一度この街に住んだ人間は二度と別の都市で住みたいと思わなくなるというのは本当の事なのかも知れない。少なくとも、私はその考えに共感できた。


「では案内をお願い致します。」


「了解致しました。では、どうぞこちらへ。」


「分かりました。って、階段を下るんですか?上るのではなく・・・・・・」


「はい、ここからバビロン宮殿まではおよそ1500mほどでございます。今までならば馬車を使用していましたが、最近ではこちらを使っております。」


1500m、確かに歩くには微妙に遠い距離だ。ここから見える距離といっても、少し距離があるようだ。

次は一体、どのような乗り物に乗るのだろうか。私は少しワクワクしながら案内役に付いていく事にした。


「これは、何でしょうか・・・・・・」

「これはもしかして、地下鉄ですか?!」


「正解でございます。こちらは先日開通したばかりの新たな公共交通機関、地下鉄でございます。」


「ですがあれは、まだ計画段階だったはずでは?」


「いえ、実はレオルド様の命令により、フィーナ様に秘密で工事が行われていました。何でも、今回の訪問の際に驚かせたかったようです。」


「レオルド様が・・・・・・」

「・・・・・・」


私達は少し呆れながら、バビロン宮殿へと到着した。





レオルド様に出迎えられた私たちは軽く顔合わせを済ませた後、バビロン宮殿の一角にあるレオルド様の居住スペースへと案内された。

案内された部屋には、中央に巨大なソファが置かれていて、そこに私たちとレオルド様、レオルド様のお嫁さん達4人の合計7人が座った。

そして、反対側にある小さめの1人用ソファにレオルド様の母君であるエリナ様が座った。


緊迫した雰囲気の中、遂に私たちの嫁入りに関する話し合いが始まった。


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どうでもいい話


時間という概念は、私には通用しません。


訳:更新が遅れてすみません。

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