第11話 発明
「これはこれは、親愛なるレオルド様、ようこそいらっしゃいました。おや?今日はお客さんがいるんですね。」
家を出る前に、ここに来る事は伝えたが、どうやら2人もいる事は伝え忘れていたようだ。
「あぁ、例の実験を行うためにな。用意はしてあるんだろ?」
「はい、今日か明日のどちらかに来られるとの事でしたので、朝からずっと準備しておりました。」
俺が訪れた事を喜んだこの男はアインといって、ハーンブルク家直轄の科学研究所のリーダーである。年齢は俺より10歳ほど上だ。
子供兵舎の中で、1番数学が得意であった彼を中心にハーンブルク領の各地からおよそ200名ほどの研究員たちが集められ、ここで日々研究を行っている。
少し頭のねじが何本か抜けている気がするが、彼の実力は本物だ。
「せっかくだから2人に発明品を紹介したい、まずは電信の試作器の所に案内してくれ。」
「かしこまりました。」
彼の案内で、俺達は第一実験室へと向かった。
部屋に入るとすぐにそれが目に入った。
「これは何でしょうか・・・・・・」
「何だと思う?」
「さぁ、私にはさっぱりわかりません。イレーナはわかる?」
「私にもさっぱりだわ・・・・・・」
2人は、目の前に置かれた謎の器械を不思議そうに見つめた。おそらく彼女らには馴染みの無いものだろう。そのため、これが何なのか分かるはずがない。
「まぁこれはちょっと地味な奴だけど、面白い発明品だよ。ヘレナ様、そこの赤いボタン押してみて。」
「わ、わかりました、押しますっ!」
「えいっ!」という可愛い掛け声と共に、ボタンが押された。ボタンが押された事によって回路が繋がり、電流が流れる。そして・・・・・・
「動きましたっ!」
装置の隣につけられていた羽ペンが下の方に曲がった。
ほんの数センチほど下がった、ただそれだけであるが、これはこの世界における革命であった。
「これはどのような目的で作られた物なのでしょうか。」
「これは通信機器です。これを使えば、離れた位置にいる相手と通信する事が可能になります。」
「「???」」
「アイン、専門用語を使っても理解できるわけないだろ。」
案の定、意味が伝わっていないらしく、2人とも首を傾げていた。
「これはこれは、大変失礼しました。凡人にもわかるように説明するとですね、シュヴェリーンにいる人とテラトスタにいる人で会話ができるという発明です。」
「何ですってっ!」
「そんな事が可能なのですか?」
彼の説明に2人は驚きの声をあげた。
これは、地球でいう所のモールス電信で、シュヴェリーン、テラトスタ間の距離はおよそ60km、今までは馬や船などを使って連絡を行なっていた事を一瞬で解決する装置だ。
ちなみに、何回か増幅器を経由してなんとか繋げている。
また、携帯が可能なタイプの方はもう少し時間がかかるとの事だ。おそらく数年以内に完成するだろう。
すると、2人に褒められた事が嬉しかったのか、ついにこの男が発作を起こした。
「えぇ、もちろん私の説明に嘘偽りはございません。何故なら、ここにおられます、科学の神であるレオルド様が考案した世界の常識を変える発明品なのですっ!凡人には到達できないような領域にいらっしゃるお方で、天才的な発想力と、超人的な計算力、あ〜なんて素晴らしいのでしょうか。」
この男、何故か俺の事を崇拝しており、研究に人生を捧げると豪語している。
だが、この人格を考慮しても、彼は優秀であった。
「ちなみにもうシュヴェリーン、ミドール、テラトスタにこの装置が取り付けられていて実際に使われている。使って見れば分かると思うけど、これのおかげで色々とスムーズになったんだ。」
そして俺は、イレーナにも見せる事ができる生活を便利にする道具や、優秀な装置を2人に紹介した。
流石に武器や最先端の研究成果などを見せるわけにはいかないが、今回見せたのはどれも実用化が可能な物ばかりだ。
今日もたくさんの研究員達が一生懸命研究に励んでおり、彼らの邪魔をしない程度に解説をしてもらったり、逆に彼らを激励したりしながら回った。
中には、俺やヘレナ様から激励を受けて、涙を流しながら喜ぶ者もいた。
若干・・・いやかなり引いた。
また、新型の印刷装置やタイプライターなんかの作成をした。
俺は密かに新聞を作ろうかと考えていて、毎日は無理だと思うが週に2回程度発行なら十分可能だろう。
新聞を使えば、領民を良い意味でさらに洗脳する事ができる。
来月あたりには、最新号ができているだろう。
他にも、空気入りタイヤと、自転車の製作に成功した。
しかし、自転車を作った所まではよかったのだが、作るのがとても面倒かつ高価になってしまうので、今のところ軍用しかない。
現在のハーンブルク陸軍の主力部隊である、自転車歩兵部隊である。
「んじゃ、最後にメインディッシュと行こうか。アイン、あそこに向かって。」
「承知致しましたっ!」
俺が、そろそろ今日ここに来た目的であるメインディッシュへ案内してとアインに頼むと、彼は嬉しそうに頷いた。
それが、彼の研究内容であり、今日ここを訪れた目的だからだ。
俺たちは、離れにある巨大な倉庫へと移動した。
「最後の奴は2人とも特に驚くと思うよ。」
「楽しみです。」
「そこまで言うなら今度のも期待できそうね。」
今まで見せた物達も十分凄かったが、今回の奴はひと味違う。
余裕にしていられるのも今のうちだぞ、と頭の中で考えながら、重い扉を開けた。
すると、俺のパートナーであり相棒である少女が、会釈しながら紹介した。
【ようこそ、我がハーンブルク家の技術が詰まった夢の列車、Steam Locomotive Trainへ】
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どうでもいい話
書きたかったキャラその1
マッドサイエンティスト
ですが、実際書いてみるとだいぶ頭がおかしい人が出来上がってしまい、セリフのほとんどをカットしましたw
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