第11話 sideエリナ8

レオルド達が裏で様々な作戦を実行している間、表側では軍事面に関しての知識があまり無い人達を中心に、サッカー世界大会の計画が進められていた。

サッカー世界大会の開催を発表すると、様々な企業や商会からの賛同を受け、予定よりも大規模で世界大会が開催される事となった。

各地域の代表が選出、発表され、同時に大会日程や組み合わせ抽選会なども行われた。

ちなみに、我らがシュヴェリーン代表からは、アンとミライを中心とした攻撃的なチームが参加を予定しており、下馬票では1位を獲得している。まぁ正直、RSWのツートップを張るこの2人が同じチームというのはチートだと思う。


そして今日、テラトスタにあるスタジアムにて、シュヴェリーン代表とテラトスタ代表による練習試合が行われていた。


「今日はスターティングメンバーの変更は無しですが、色々な組み合わせをみたいのでどんどん交代していきます。練習試合ではありますが、全員気を抜かず、全力で行きましょう。」


「「「はいっ!監督っ!」」」


私の指示に対して、選手達は勢いよく頷いた。

選手達はシュヴェリーン代表を表す真っ白いユニホームを身につけながら、それぞれ気合いを入れると、ピッチの中へと走っていく。

これが、初めてのシュヴェリーン代表としての試合であるからか、選手達に少し緊張が見られる。隣に座っていたスピカさんも、その事に気がついたようですぐに私に言ってきた。


「エリナ様、今日の選手達少し緊張し過ぎている気がしませんか?」


「ふふふ、練習試合とはいえ彼女達にとっては初めての代表戦、シーズン中は毎週数万人の観客を前にサッカーをプレーする彼女達ですが、今日はいつも以上に緊張しているはずです。だからこそ、このような大舞台でも結果を残せる選手が光るのです。」


「確かにおっしゃる通りですね。」


「それと、私達シュヴェリーン代表は4-3-3のシステムを採用しています。普段のシーズン戦とは違った動きが求められる事もあるので、そこも注目です。」


「なるほど・・・・・・」


私は、シュヴェリーン代表の監督として、見なきゃいけないところを再確認した。サッカー世界大会本番では、1試合につき交代カードは5枚まで使う事ができる。

監督として、交代カードを使うタイミングはかなり重要だ。

選手達がそれぞれフォーメーションを組むと、テラトスタ代表の先行でキックオフした。


私達シュヴェリーン代表は、中央のラインにFWミライ、MFアンと強力かつ突破力のある選手をおいて中央を制圧する狙いの布陣で挑んだ。

対するテラトスタ代表は、3-5-2の少し守備よりかつサイドの攻撃を活かしたチームで挑んで来た。


「敵は、3-5-2ですか。エリナ様の予想通りですね。」


「シュヴェリーン代表の高い攻撃力を正面から受け止めるのではなく、サイドに流すような方針を選択したようですね。これならば、同時にボールを持つ時間が長くなるので、予定通りに中央からのショートパスによる突破が狙えそうですね。」


「はい・・・・・・」


試合は、私の予想通りに進んだ。破壊力のあるアン&ミライのコンビによる連続攻撃によって、中盤を制圧惜しいシーンが続く。

流石はイレーナが選抜したテラトスタ代表という事もあり、そう簡単には崩せない守備力であった。また、サイドからのカウンター攻撃も非常に強力で、シュヴェリーン同様危ないシーンが何度かあった。

ちなみに、メンバーを選んだのはイレーナだが、彼女はテラトスタ代表監督ではない。レオルドは、やってもいいよと言ったが大陸南西部の戦争が激化する可能性があるという事で彼女は辞退した。


「あそこを見て下さいエリナ様、あちらも盛り上がっているみたいですよ。」


「ふふふ、あそこだけ切り取れば、ただのサッカー好きな夫婦みたいですね。」


「そうですね。」


辞退はしたが、応援に来ないとは言っていない。今日も夫婦で、VIP席から試合を楽しんでいるのが見えた。


試合はそのまま、両者無得点のまま前半を終えた。全体的に、あと一歩歯車が噛み合わない感じがする。

ベンチへと戻ってきた選手達に、私は1人ずつ声をかける。それぞれのダメだったところ、良かったところを伝えた。

同時に組み立て方の再確認も行った。


「さぁ後半も頑張っていきましょう。」


「「「はいっ!」」」


私達シュヴェリーン代表は選手を2人交代しつつフォーメーションを3-4-3へと変更し、テラトスタ代表は4-4-2へとフォーメーションを変更、両者ともより攻撃的なサッカーを行った。


私達は、中央の破壊力からサイドからの個の突破へと変えた。右サイドに左利きのアン、左サイドに右足のミライを置いて、前半よりもより攻撃的な戦い方で試合に望んだ。


「ふふふ、流石のイレーナさんも、あそこからでは指示を出さないようですね。」


「なるほど、イレーナさんがいないからこそ打てる作戦だったのですね。」


正直、中央でチームの中心としてチーム全体の士気を上がるアンをサイドで使うのはもったいない。

だが、だからこそ、テラトスタ代表が事前に対策をしていないてあろう戦い方で攻撃を加える。相手チームの監督がイレーナであれば、画期的な対抗策を打ち出してくるかもしれないが、彼女は現在夫婦で観客席にいる。


「行ける。」


私がそう呟いた直後であった。

ミライによる、自慢のドリブル突破からスペースを作り出すと、出された絶妙的なパスに逆サイドから走ってきたアンが反応、豪快に叩き込んだ左足は、ゴールのネットを揺らした。


会場は、凄まじい熱気に包まれた。



_________________________________

どうでもいい話


長くなり過ぎてしまった。

このままもう1話サッカー回が続くかなー

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