第7話 宰相
悲報、本日投稿予定だったエピソードを、ボタンの押し間違いによって昨日のわけわかん時間に投稿してしまい、ストックが切れた。
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天のぅ・・・『テンペストカップ』は、無事RSWの優勝で幕を閉じた。
決勝のFCT戦では、なんと後半が終わった時点で2-2の同点で、今大会から試行されたPK戦で勝敗が決まった。
その日は皆、飲んだり歌ったりのどんちゃら騒ぎになり、翌日起きたら道端だったという人が続出した。
一応SHSを総動員させて、犯罪が起きないように努めたが、案の定色々とトラブルは起きた。
お母様やヘレナ様、ユリウスも大満足だったようで、スタジアムから自宅までの10分ほどの馬車の中で全員寝てしまった。なんとかお母様を起こし、リヒトさんたちとベッドに運んだが、色々と大変であった。
決勝戦が行われた翌日の水曜日、ファン感謝祭が行われる事となり、多くのファンが集まった。
もちろん、ただサッカー観戦をして遊んでいたわけではない。ハーンブルク家の家臣の1人をハワフ島に送ったり、テラトスタとハワフ島を行き来するための定期便を設けるとともに、天然ゴムを使用した製品の開発、新たな蒸気式輸送船の製造、新たな陸路による人員輸送機の開発、新兵器の開発など、色々な事に手をつけておいた。
俺が5歳の時に始めた革命からおよそ2年、今までは俺が細かい所まで設計し時代を大きく先取りした物を開発してきたが、最近では優秀な技術者も育ってきている。
これからも、ハーンブルク領は急速に発展していくだろう。
そしてその週の日曜日、『第二期
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リーグ戦開幕から、2週間ほどが経過したある日、王都から意外な人物が訪ねて来た。
ハーンブルク領リバスタから蒸気船でやってきたらしく、突然の来訪であったので驚いたが、とりあえず領主館へと案内し会談を行う事となった。
机を挟んで向こう側に、サーマルディア王国宰相ギュスターが座り、こちら側に俺、お母様、イレーナの順に座る。
両者の間に緊張が走る。だが、俺とお母様は既に彼が何故ここに来たのかを知っていた。
SHSによる情報収集は、国内外のあらゆる対象を目標としている。
当然、近隣国の情報なども手に入るわけで・・・・・・
「王国の北にあるサラージア王国と、東にあるトリアス教国が戦争の準備を始めました。そして、侵攻先はどちらも我が国になるおそれがあります。」
今日からおよそ1ヶ月前、俺が遠征中でいない時にSHSからお母様の下へある情報がもたらされた。
ハーンブルク領と国境で接している国、サラージア王国が、近々戦争を引き起こすかもしれないという話だ。
農民への税が増加し、兵糧と兵隊を王都へ集め始めたそうだ。これだけで戦争の準備をしていると決めつけるのは時期尚早かもしれないが、備えあれば憂いなしである。
「敵の兵力はどれぐらいなのですか?」
「サラージア王国は8万、トリアス教国は30万ほどだと思われます。」
お母様は、自分達が得た情報と宰相さんが得た情報の照合を行った。結果として信憑性が大きく上がった。
サラージア王国は、国土はサーマルディア王国と同じぐらいであるものの、お世辞にも国力があるとは言えない。
毎月千人以上の移民や難民がハーンブルク領に流れ混んできていることから分かるように、国力は大きく落ち込んでいた。
普段は邪魔だと決めつけ蔑んできた農民達が減った瞬間、国内の自給率も大きく低下し、今現在進行形になるで食料危機に陥っているらしい。
その打開を目論み、トリアス教国ととも挟撃しようという作戦のようだ。また、サラージア王国内にトリアス教の信者が多い事も理由の1つだろう。
「では、王国からのハーンブルク方面への援軍はどれぐらい見込めるのでしょうか。」
「できるだけ少なくしたいのが本音です。トリアス教国軍30万に対して同数かそれ以上の兵力を割きたいので、ハーンブルク方面へ兵力を回す余裕があまりありません・・・・・・」
「わかりました、ではハーンブルク方面への援軍は1万人のみでお願いします。」
「1万人っ!たったそれだけですか?」
「はい、我がハーンブルク家は、少ない兵力で殲滅できる自信があります。ですので、ハーンブルク方面への援軍は1万人のみでけっこうです。代わりにサラージア王国との交渉権を下さい。」
こうなった時に備えて、既に俺とお母様は意見の擦り合わせを終えていた。
大量の新兵器を使った新戦術を使えば、兵力差が10倍あっても負ける事はおそらくないだろう。
そして、交渉権を得るのはこの上なく大きい。実質、サラージア王国を好きなように色塗りしていいという事だ。
「わかりました、ハーンブルク家当主ジルバート殿を中心とした王国軍1万を送ろうとおもいます。交渉権についても大丈夫です。」
「ありがとうございます。これで、心配ごとは解決しました。」
「最低限の支援しか出来ずにすみません、御武運を。」
「はい、そちらも頑張って下さい。あ、そうそう、せっかくなので今日のサッカーの試合を観戦していきませんか?」
交渉が思ったより早く終わったためか、お母様はサッカー観戦の提案をした。
「噂の観戦と呼ばれるやつですか?是非お願いします。」
「ふふふ、ではスタジアムへと参りましょう。本日はRSW対FCTだったはずです。」
「楽しみです。」
その後、サーマルディア王国の宰相であるギュスターは、娘のイレーナが監督を務めるFCTを応援しながら、とても楽しそうにしていた。
敵国が戦争の準備をしているというの、ずいぶんと余裕な感じであった。
後日、俺はSHSにサラージア王国の情報を集めるように命じた。
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どうでもいい話
欧州でサッカーの話は本当にしてはいけないらしいです。
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