第7話 sideユリア3

「・・・・・・味方だとこんなに頼もしいんですね。」


「まぁそうだな、レオルドが先頭に立って全ての部隊に構成や戦術、ちょっとした工夫なんかを叩き込んでいるからハーンブルク軍は全体的に損耗率がすごく少ないんだ。その上で、機動力や単純な攻撃力は他国の軍隊や騎士団を圧倒している。正直私は、このハーンブルク軍に有効な対抗手段が思い浮かばない。」


「ただ武器が強いだけじゃ無いんですね。見たところ、防具なんかもヘルメットだけのようですし・・・・・・」


「いや、そんな事は無い。装備が比較的軽そうに見えて、全体的に機動力が高いのは、武器が強力だからだ。多種多様な武器があるからこそ、レオルドの作戦が成立するのだ。」


ポラド王国の抵抗を簡単に粉砕したハーンブルク軍を中心とした連合軍は、ついにポラド王国を降伏させた。


国境を越えてからわずか3ヶ月であった。

事前に決められていた通り、4方向から同時に侵略を開始し、敵の要所を各個撃破した。本隊となったハーンブルク軍とジア連邦共和国軍の一部は、最短距離で敵の首都を包囲、既に戦えるだけの抵抗力が無かったポラド王国は無血開城した。


「ところでジルバートさんは、サーマルディア王国の国防軍に所属していると聞いたのですが、どうしてハーンブルク軍を率いているのですか?」


「あぁ、もう辞めたんだ。」


「えっ!お辞めになったんですか?」


「あぁ。本当はもう少し続けるつもりだったんだがな。最近妻が忙しいらしく、軍を辞めて政務の手伝いをするようにしたのだ。」


「なるほど・・・・・・」


・・・・・・そういえば聞いた事がある。

レオルド様のお父様は、あまり政務が得意でないため、政務から逃げて王都で訓練ばかりしていたらしい。


ユリアは考える。

果たして、長い間政務から離れていた人間が、私の知る限り最も激務なハーンブルク家の政務ができるだろうか。

レオルド様のような化け物級に回転が早ければ可能かもしれないが、政務が嫌で軍務に逃げた人間に可能なのだろうか。


「それで今回、エリナの指示通りにこうしてハーンブルク軍を率いてポラド王国、そしてギャルドラン王国をもうすぐ攻略するであろうレオルドの手助けをするように言われたのだ。」


「な、なるほど・・・・・・」


ユリアは、察してしまった事を口に出すのは辞めた方がいいと考え、口をつぐむ事にした。


「では、後は頼むぞ、ユリア。」


「は、はい。」


さて、次は私の番だ。

私には、崩壊した国を建て直し、最低限の自由と反抗しないような国をつくる事が求められる。

それと、旧貴族や旧王族の処遇も決めなければならない。1番簡単なのは、自殺してもらう事だが、そうなると新たなリーダー探しをしなければならなくなる。

というわけで、1番手っ取り早く国をまとめるなら・・・・・・


「やはり、議会制共和国でしょうか・・・・・・」


「確か・・・・・・レオルドがジア連邦作った時のやつか?」


「はい。手っ取り早く、この国をまとめるならそれが一番かと。」


「わかった、ならそれでいい。どうせギャルドラン王国が片付いたらレオルドとエリナが色々と調整してくれるさ。」


「わかりました、ではその方向で動きます。」


そして、私はリトア王国に続いてポラド王国の大改造を始めた。リトア王国の王位とジルバートさんから貰ったハーンブルク家を中心とした連合軍の総指揮権を行使して、出来るだけ穏便にそして大胆に政策を構築していく。

従わない貴族を全て排除、統合した上で、元々の爵位に関係なく有能な貴族たちだけで8つのグループを作った。

8つに切り分けた地区をそれぞれのグループが担当し、議会によって政策を進める体制を作った。

そして、その8つのグループからさらに代表を2名選出し、国の最終意思決定機関を作った。


「まさか、わずか1ヶ月で片付くとはな。」


「いえ、本当に最低限だけでしたので・・・・・・」


本当は、学校や産業なんかも作りたかったが、私には時間が無かったので、本当に最低限の体制だけ整えて再び進軍を開始した。


ちなみに、ここでエラリア王国軍とグルニタ公国軍、リトア王国に駐屯していたハーンブルク軍とはお別れで、ハーンブルク軍本隊とジア連邦軍の2つを率いてギャルドラン王国の国境へとやってきた。


「だとしてもだ。俺は政務の事なんて全くわからないが、国を治めるというのは相当難しいはずだ。あのレオルドですら、独立を断ったほどだからな。」


「えっ!レオルド様は独立を断ったのですか?」


「あぁ。先ほど入った情報なんだが、ついにレオルドがギャルドラン王国への攻撃を決定したそうだ。その際、国王陛下から報酬として、ハーンブルク家の独立を提案されたのだが、それを断ったそうだ。」


「そ、そうなんですか・・・・・・」


えっ!

私には国家の運営をさせたのに、レオルド様はご自分は拒否したのですかっ!

と、本人がここにいたら言ってやりたかったが、一応我慢した。

どうせこの後、ギャルドラン王国に行くなら、レオルドに会えるだろうと思ったからだ。

後で文句を言おう、と心に誓うと、ちょうどその時、まるでタイミングを見計らったかのようにSHSのメンバーの一人がハーンブルク軍に合流した。

そして、彼は言った。


「レオルド様より、ギャルドラン王国へ攻撃命令が届きました。」



この頃から、私はレオルドの『天下の鬼才』と並んで『改国の天使』と呼ばれるようになった。



___________________________


どうでもいい補足


4カ国にポラド王国攻撃を指示

→デュークス島へ出港

→参戦要請を受ける。

→エリナに指示を出す。

→エリナがジルバートにハーンブルク軍の方針を伝える。

→ポラド王国陥落

→ギャルドラン王国上陸

→アコールとユリアに指示を出す。

→ポラド王国に新たな法律ができる。

→ギャルドランとの国境線で、ユリアが指示を受け取る。now



あ、それと星3000達成しました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る