真実編
第1話 独立
俺とリーシャ、フィーナの婚姻が発表されてから2年が経過し、新時代が到来した。
ハーンブルク家という明確な勝者が大陸に誕生し、ハーンブルク家の考えの下各国は新体制への移行を始めた。
まず大きく変わった事は、世界人権宣言だ。各地で残っていた人種差別や奴隷制が名目上は廃止される事になり、全ての人は平等であるという考え方が広まるようになった。もちろん、人種差別や奴隷性が完全に無くなったわけではない。だが、国家としてそれを認めないと決定させた以上、少しずつではあるが減っていく事になるだろう。
そしてさらに、この宣言は貴族社会に対しても楔をいれた。まだ効果は薄いが、ヴァステリア共和国のような貴族制度が廃止された国がこの先増える事になるだろう。特に、ユリウスのいるジア連邦共和国では、先日人権に関する会議が行われたそうだ。
そんな中、俺はバビロン宮殿の自室で絶命の危機に瀕していた。
「あぁ〜死ぬ〜絶対これ死ぬやつだ〜」
【残りおよそ1万束でございます、マスター】
「さっきから桁数が変わらないんだが・・・・・・」
どうやら俺は、書類とともに生き、書類と死ぬようだ・・・・・・
【アホな事を言っていないでささっと手を動かしてください。】
・・・・・・なんか最近、アイが俺に冷たい気がする。
【気のせいです。】
世界が変わっても、俺は相変わらず忙しいままであった。というのも、新時代の到来とともに、ハーンブルク領では新たな問題が発生していた。
「なぁレオルド、お前もそろそろ独立したら?」
「は?」
事の発端は、お父様の呟きであった。
地下鉄をはじめ様々な方面で成功を収めていたハーンブルク領であったが、ここに来て俺たちは壁にぶち当たっていた。いや、正確にはお父様という壁が俺の前に立ち塞がった。
「ど、独立ですか?」
「あぁ、実は少し問題が起きな、お前にはサーマルディア王国から独立して、新しく国を起こして欲しいと考えている。」
「その話は、以前流れたのではなかったのですか?」
「それがな、少し事情が変わってな・・・・・・」
お父様の話を簡単にまとめると、ハーンブルク領が拡大し過ぎた結果、サーマルディア王国の業務が増え過ぎた。それで、作業が追い付かなかくなったので独立して欲しいとのことだった。
ここからは俺の予想だが、おそらくこの話には他にも理由があると考えている。誰がどう考えても、ハーンブルク領を手元に置いておくメリットの方が大きいはずだ。俺には何かわからないが、何かしらの理由があるのだろう。
それが何のかを探りつつ、どうしてお父様の口からこのような提案が出たのかを探った。
「国王陛下から提案されたのですか?」
「あぁ、ゼラストから直接お願い、いや提案された。俺も最初は断ろうと思ったんだがな、エリナに相談したところお前に伝えるべきだって言い出してな。」
「わかりました。その話、少し真剣に考えて見ることにします。」
「あぁ、ぜひそうしてくれ。」
それだけ告げると、お父様は外へと出ていった。残った俺は、お父様の言った内容を思い出しつつ、頭の中で真相を組み立てる。
どうやらこの話には、お母様も一枚噛んでいるようだ。それと、先ほどの言い方、おそらく問題の原因はサーマルディア王国側にあるのだろう。
さて、どうするべきか・・・・・・
【ひとまずは、王都サーマルに駐在しているSHSを使って内情を探るべきかと、ある程度絞ることはできましたが、確証が欲しいところです。】
そうするか・・・・・・
他に打っておいた方がいい手はあるか?
【ついでに、あの方に話を聞いてみてはいかがでしょうか。】
え〜〜あいつを?
【はい、あいつです。】
お母様が動いたということは、それぐらい重要なことなはずだ。
まぁ仕方ないか・・・・・・
*
「やぁ〜レオルド、久しぶりだね〜」
「相変わらず元気そうだな、クルト」
少し確認したい事があるから近いうちに会えないかと聞いたら、翌日にやってきやがった。おかげさまで、今日は久しぶりに研究所に顔を出そうかなと考えていたのが、それをキャンセルすることになった。
正直、アインとの会話以上の収穫があるとは思えないが、まぁお願いしたのは俺なので一応会うことにした。
「久しぶりにここに来たけど凄く変わっていて驚いたよ。やっぱり世界首都シュヴェリーンはすごいね、都市機能が全然違うよ。特に地下鉄、ここに来る途中で利用したけどあれはすごいね。乗る前に世界が変わるって説明は受けたど、本当に世界が変わったよ。ちなみにアレの領外輸出の予定って・・・・・・」
「ジア連邦共和国のリアドリアになら輸出する予定だが、それ以外は考えていないな。言っておくが、サーマルに輸出するのは無理だからな?まず、電力がなきゃ地下鉄は動かんし。」
「そっか〜それは残念。」
おそらく、遠くない未来に世界各国にハーンブルク領の鉄道を輸出することになると思うが、今はまだその情報は公開しないでおいた。
「じゃあそろそろ、本題に入ろっか。確か、今現在の王国の内情を聞きたいんだったよね。」
「あぁ、サーマルディア王国がらみで少し問題が起きてな、解決のために俺の方でも動いてもいるが、より内側の存在であるお前にも話を聞きたいと思ってな。こうして呼び出したってわけだ。」
「その問題って、もしかしてハーンブルク領の独立だったりする?」
「あ、あぁ、どうしてわかったんだ?」
「やっぱりか〜。じゃあ話すよ、王都サーマルで今何が起こっているのかを。」
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どうでもいい話
そういえばなんですけど、この作品の題名ってなんでしたっけ。
第15章にもなると、忘れちゃう物ですね。
と、いうわけで第15章です。
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