第7話 sideユリア5
レオルド様、イレーナ、ヘレナの3人がバビロン宮殿内で働いている間、私とクレアの2人はハーンブルク領を飛び回ってみんなの手助けをしていた。
「と、このように、ハーンブルク軍4師団が作戦行動中でございます。領民を含め西方統一同盟の皆様には、ご理解とご協力の程よろしくお願いします。」
その一つが記者会見だ。レオルドの方針で、ハーンブルク領内外で起きた出来事は新聞やラジオを通して全ての領民が知れるようなシステムが作られていた。
現在ハーンブルク領には、1つのハーンブルク家が運営している新聞と、2つの民間企業が運営している新聞が存在する。いくつかの企業が協力して作られた新聞で、週一ペースぐらいで発行されている。
そして私は、忙しいレオルド様に代わって領民達への説明を行っていた。
「領民新聞です。今回の軍事介入は、東方亜人協商との戦闘を避けるためという事でしたが、レオルド様は無事なのでしょうか。」
「夫は無事です。先日、少し体調を崩していた時もありましたが、今は回復しており最前線で指揮をとっておられます。」
「「「おぉ〜〜」」」
やっぱり最初は、軍事介入をした理由について聞いてくると思ったが、全然そんな事は無かった。ま、まぁ確かに、夫はハーンブルク領の当主でリーダーだし、気になっている人は多いのだろう。
「明日の一面の見出しは、『レオルド様は無事』で決まりだな。」
「いやいやここは、『レオルド様、パラス王国軍を圧倒っ!』にすべきかとっ。」
「なるほど、それもいいな。よし、それでいこう。」
舐めてた・・・・・・
私の夫、こんなに人気なんだ・・・・・・
さっきから質問が、夫の事しか飛んで来ない。
「昨晩のレオルド様の夕食は何だったのでしょうか・・・・・・」
「昨晩は鰻をお食べになりました。夫が希望され、バビロン宮殿内にいた全員に振る舞われました。」
「「「おぉ〜」」」
その情報必要?要らないよね、絶対・・・・・・
とは突っ込まない。
レオルド様には、できるだけ質問には答えるように言われているので、正直に答えた。
ちなみに、おそらくこのニュースが報道されれば、翌日の鰻の売り上げは10倍ほどに膨れ上がる事が予想される。
鰻屋さん達、頑張れ。
他にも、こんな質問が来たりした。
「パラス王国征圧後、レオルド様自らがファルティオン王国との交渉を行うと聞きましたが、レオルド様が現在期待しているサッカー選手は誰なのでしょうか。」
うん、文章の前半と後半が全くマッチしていないじゃん。てっきり、ファルティオン王国との交渉がどんな感じになるか聞きたいと思っていたが、どうやら全然違うらしい。
まぁ答えるんだけど・・・・・・
「この選手、というのは分かりませんが、最近は
「「「おぉ〜」」」
とりあえず、正直に答えた。レオルド様が最近、MSWに注目しているのは事実だ。
残念ながら最近は、忙し過ぎてサッカー観戦できていない。だけどレオルド様は、部下から貰ったデータを参考に、MSWのサッカーを休憩時間に考察していた。
これが、最近の楽しみらしい。
「質問です。レオルド様は現在、サッカーの試合を観戦できておられるのでしょうか。」
「軍事介入を決断した日からずっと、夫はバビロン宮殿の中にいらっしゃいます。そのため直接観戦はできておりませんが、結果だけは彼の耳にも届くようになっております。」
「そうですか・・・・・・」
私がそう言うと、記者達は目に見えて顔を曇らせた。そして、彼らは周囲の人達との話し合いを始めた。
一体何が起きたのか、私には理解が追いつかなかった。彼らは、何をそんなに慌てているのだろうか。
その答えは、実に単純な事だった。
「ユリア様、我々ライデン新聞はレオルド様の息抜きを作る事を提案します。具体的には、サッカー観戦を楽しんで頂こうと考えております。」
「「「おぉ〜」」」
・・・・・・な、なるほど、そういう事か。
私は、彼らの考えに気づいてしまった。
「今週の土曜日、シュヴェリーンスタジアムにてエキシビジョンマッチを行おうと考えております。世界中からトッププレイヤーを呼んで盛大に行うと考えております。」
「是非出資させて下さい。」
「我々もお願いします。」
「私も行います。」
記者の1人が立ち上がると、その場にいた全員が彼に続いた。
というか君たち、さっきから団結力ありすぎでしょ。まぁ気持ちはわかるけどさ・・・・・・
そりゃあ私だって、レオルド様には楽しんでもらいたい。
うんやっぱり、難しい事は考えないようにしよっと。
「わかりました、私も強力しましょう。」
「ありがとうございます、ユリア様」
「「「ありがとうございます。」」」
そして、その週の土曜日、予定通りエキシビションマッチが開催された。
レオルド様が注目していると言っていたMSWvsRSWのシュヴェリーンダービーは、大盛り上がりで幕を閉じた。
もちろん夫も、大いに楽しんでいた。
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どうでもいい話
ドラえもんの映画観て来ました。
私よりもしっかりとした伏線が張られてて驚いた。
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