第11話 襲撃
「国王の指名か・・・・・・」
「はい、国王が存命の間に退位する場合、国王本人が次期国王を指名する必要があります。そこで選ばれれば、自動的に国王になれるという規則になっております。」
「流石ヘレナ、よく知っているね。」
「幼い頃、王女としての振る舞いの勉強をしましたので・・・・・・」
国王が存命の間に王位を譲るのは、それほど珍しい事ではないらしい。先代の国王はまだご存命だし、むしろ存命の間に退位する方が一般的らしい。
まぁ、ヨボヨボの爺さんが国を統治するなんて、普通は無理な話だ。ハーンブルク家当主の座ですら、とんでもなく忙しいのだ。国王は、その数倍は忙しいだろう。
つまり、国王の指名をもらえれば、俺たちの勝ちは確定するわけだが・・・・・・
「ほぼ無理じゃね?これ・・・・・・」
「今さら気がついたのかい?君の話じゃ、父上はハーンブルク家の除外を望んでいるんだろう?なら、同じ除外派のサルラックを応援するはずだし・・・・・・」
「それ以外の面で、クルトの方が良いと思える要素を作らなきゃいけないって事か・・・・・・」
「それだけじゃないわよ。サルラック様は、一応長男で嫡男だから、それを廃嫡にするだけの理由が必要になるわ。ハードルは、想像以上に高いと思うわよ。」
超えなきゃいけないハードルは、決して低くない。何を餌に国王を説得するか、考えなければならない。戦争なら、兵器の質でねじ伏せればいいが、今回はそうは行かない。
自分の中で使える手と使えない手を振り分ける。
【今回の件は、相手の出方次第と言うほかありません。何を譲歩して何を取るか、その見極めが何よりも大切です。勝負は戦場でしょう。】
まぁ確かに、準備はできるが勝負は4日後の話し合いになるだろう。
*
翌日、用事で抜けたクルトを除く俺達3人+アイはハーンブルク家邸にて話し合いを行った。食料の買い出しは全てメイドに任せ、俺たちは引き篭もりながら話し合いを続けた。
そしてその夜、ついに恐れていた事態が起こった。
「ヘレナ、イレーナ、一旦起きてくれ。」
「ん〜〜どうしたんですか〜レオルド様〜」
「何〜?レオルド〜」
薄いキャミソールに身を包んだ彼女らは、眠い目を擦りながら、身体を起き上がらせた。ついさっきまでお楽しみだった分、身体が少し疲れていたが、何とか奮い立たせる。
「襲撃者だ。おそらく95人、武器はまだわからないが、多分プロだ。」
「だ、大丈夫なんですか、レオルド様っ!」
「う、嘘でしょっ!」
アイが、襲撃者の存在を感知した。
クルトが連れて来た護衛がいるので、ここまで来れない可能性の方が高いとは思うが、用心は必要だ。
念のため2人を起こし、指示をだす。
「2人とも、俺があげたハンドガンはしっかり持ってるな?」
「は、はい、持ってます。」
「私も持っているわ。」
「念のため、セーフティーを外しておけ。」
「わかりました。」
「わかったわ。」
2人はそれぞれ、以前渡したハンドガンのセーフティを外した。護身に渡したものだが、まさか使う日が来るとは思わなかった。
「とりあえず移動するぞ。ついて来てくれ。」
「わかりました。」
「わかったわ。」
わざわざここで敵を待つ必要はないので、守りやすいポイントへと移動する。
ここが、シュヴェリーンのバビロン宮殿であれば、自室で待っていた方が安全だが、ここは防御の事なんて全く考えていない古い造りの建物だ、自分で判断したところの方がおそらく安全だろう。
外に出ると、連れて来たメイド達がそれぞれ俺のもとへと集まって来た。彼女達も、おそらく気がついたのだろう。鉄道での移動だったので、8人しか連れて来ていないが全員ハンドガンを携帯しており、全員SHSクラスの戦闘力を持っている。
「昨日確認したところで迎え撃つぞ。」
「「「了解っ。」」」
できるだけ小声で、まだ起きていないと思わせながら、俺は戦闘メイド達に伝えた。俺を含めた11人は、迅速に移動を開始した。
俺が選んだのは、調理場だ。ここなら、例え敵に包囲されても、数日間生き残る事ができるだけの食料がある。
既に、予備の弾薬なども用意してあり、守るならここしかない。
全く、どこのバカだよ、やって来たのは。
【首謀者は分かりませんが、おそらく大金を払って雇ったプロの暗殺者グループです。油断せずに行きましょう。】
わかってる。
【マスター、まずは2人です。2階の南東方向に侵入されました。】
「2人来た。同じ人数で対処に迎え、もちろんあらゆる武器の使用を許可する。」
「「「了解っ。」」」
その後も襲撃は続き、結局95人中14人の侵入を許す事となった。
しかし、どの暗殺者に対しても、音を使ったアイの完璧な索敵によって位置を特定し、対処をする事ができた。
最終的に、ガラスやドアを壊されたぐらいの被害しかでずに終わった。
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どうでもいい話
久しぶりの戦闘メイドw
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