おまけ4 おもちゃのテストその1
「あーあ、何処でも良いから、俺に喧嘩を売ってくれないかな〜」
「今日も相変わらず、変なこと考えているわね、レオルド」
俺が、新居のリビングのソファから首都シュヴェリーンの街並みを眺めていると、2人分の紅茶を持参しながら俺の近くへとやって来たイレーナは、隣に腰を下ろした。
「それで?今日は何処をどうしたらそんな話が出て来たの?」
「えっと〜それはだな・・・・・・」
イレーナの質問に対してどのように返事をしようか考えていると、アイは俺の言葉を遮って、説明を始めた。
【どうやらレオルド様は、先日開発したジェット戦闘機『X1-01』の実践訓練をしたいと考えているようです。】
「おいアイっ!」
【違いますか?】
「まぁ、間違ってはいないが・・・・・・」
まぁ、アイの説明はあながち間違っていないので否定はできなかった。
圧倒的な経済力と技術力、人口によって覇権国家となったハーンブルク連邦に対して問題を起こそうとする国家は、全くと言って良いほど無くなった。それどころか、俺が何か言えばほぼ例外なく首を縦に振るほど、他国は俺やハーンブルク連邦に対して従順であった。俺が王位を譲る前は、元所属国であったサーマルディア王国ですら、俺に頭が上がらないほどであった。
一体いつからこうなってしまったのだろうか、残念ながら心当たりしかない。
そんなわけで、ハーンブルク軍の最新兵器であるジェット戦闘機『X1-01』の出番はいつになることやら、と言った具合であった。
「なるほど、つまりは手頃な相手が欲しいのね。」
「ま、まぁ、色々とツッコミどころはあるが、だいたい合ってるな。」
【まるで、新しいおもちゃを与えられた子供ですね。】
「悪かったな。」
まぁ、間違っていないこともなかったため、俺はイレーナの言葉に同意した。ジェット戦闘機をおもちゃと表現のはいかがなものかと思ったが、簡単に言えばその通りであった。
俺は現在、新たなおもちゃであるジェット戦闘機『X1-01』の初任務を探していた。しかし残念ながら、担当の部下から提案された初任務の案は、どれもパッとしないものばかりであった。戦闘機を作れる国がハーンブルク連邦だけなので、残念ながら空戦やドッグファイトをすることは不可能であることは理解していたが、正直こんなにもパッとしない案しか出てこないとは思っていなかった。
最強とは、つまらないものだ。
「一つ良い案があるわよ。」
「ナイスだ、イレーナ。是非とも教えてくれ。」
「ストップストップ、一旦落ち着いて。」
「あ、あぁ、すまん。」
イレーナの言葉に思わず立ち上がってしまったが、イレーナに静止されて俺は元の席へと戻った。
「実は最近、ファルティオン州周辺の海で海賊が発生したらしいのよ。規模は100人以上で、船を最低でも5隻はあるらしい。」
「海賊が出たというのに、どうして攻撃命令を出さないんだ?」
「ハーンブルク連邦の船が襲われたとなれば、すぐさま海軍を派遣して一掃するんだけど、どうやらその海賊はハーンブルク連邦と関係の無い船だけを襲う海賊らしく、手を出すか迷っていたらしいわ。そこで、貴方のおもちゃを使うのよ。」
「まさか、海賊退治をさせるってことか?」
「そう、そのまさかよ。ちょうどいいと思わない?」
「ふむ・・・・・・」
イレーナに言われて考える。海賊と言われると物足りない気もするが、海賊の規模を考えれば、それなりの大物であることは間違いない。海の上なら民間人に被害が出る確率は限りなく低いし、空戦はできないけど武装した船を5隻も沈めて良いというおまけ付き。
周辺国から苦情を言われる可能性も低く、何より機体を失う可能性が少ない。1機あたりのコストがめっちゃかかっているから、その辺りは安心だ。
あれ?けっこう良い感じの的なんじゃね?
「アジトは判明しているのか?」
「大陸から少し離れた島の何処かって事はわかっているみたいだけど、正確な位置までは判明していないみたいだわ。」
「民間人が人質に取られている可能性は?」
「絶対に無いとは言えないけど、可能性は低いわ。山賊ならまだしも、人質を取るような海賊はいないわ。」
「そうなのか?」
「えぇ、そもそも海賊って、それほど余裕がある組織じゃないのよ。だから、少しでも食料を温存するために、できるだけ少ない人数で行動するものなの。アジトがあるとはいえ、限られた資源で動くなら、余計な荷物は積まないはずだわ。」
「けっこう。」
そこまで聞いて、俺はイレーナの提案にのる事にした。どーせなら、空母も投入して派手にやってやろう。
問題は、それだけの予算が降りるかだが・・・・・・
「貴方なら絶対にのって来ると思って、既に予算の申請はしてあるわよ。とりあえず、兵士達への給料と燃料代だけは出してもらえるそうよ。」
「十分だ。早速、行動といこうか。」
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どうでもいい話
気づいたらおまけを書いている今日この頃です。
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