制覇編
第1話 帰宅
「久しぶりの我が家だ・・・・・・」
リトア王国との和睦が成立してから約4ヶ月が経過した。俺がシュヴェリーンを出発してから1年弱が経過していた。
普通なら、やっと帰宅出来る事を喜びながら家に帰るのだが、今日は違った。
何故か、足取りが重い。
「怒ってないといいな〜。」
「大丈夫だと思いますよ、レオルド様。」
俺の右後ろを歩くクレアが答えた。何というか、全く当てにならない反応だ。
クレア以外の部下には、その場で待機させ、俺達は無駄に大きくて美しい
色々な部下やメイド、執事達からお帰りなさいませ、と言われながら真っ直ぐ自室へ向かう。
テラトスタで一泊してからシュヴェリーンにやって来たので、結構綺麗な状態だ。
俺は、恐る恐る扉に手を掛ける。
【何をしているのですか、マスター。さっさと開けて下さい。】
お、落ち着け。まずは素数が永遠に続く事を証明してから・・・・・・
【そこでじっとしていた事がバレた方が色々と面倒だと思いますよ。】
は、はい。
俺は覚悟を決めると、勢いよく扉を開いた。
「お帰りなさいませ、レオルド様。」
「お帰りなさい、レオルド。」
「ただいま、2人とも。」
俺に気づくと、ソファーに腰を掛けた2人は振り向きながら答えた。
俺は、久しぶりに戻ってこれた我が家の暖かさを感動しつつ、中に入る。
「ご無事で何よりです、レオルド様。首を長くして待っておりました。」
「うぉっ!」
すると、我慢できなかったのか、立ち上がったヘレナは、そのままこちらにダイブして来た。
ちょっとだけ
すると隣で羨ましそうな目をしてこちらを見つめるもう1人の嫁がいた。
「イレーナはいいのか?」
「わ、私は別に大丈夫だわ。」
「ほら、遠慮するな。」
「う、うん・・・・・・。」
俺に言われて立ち上がったイレーナは、ヘレナと反対側に抱きついた。
2人分の温もりをしっかりと肌で感じ取る。
この感じも久しぶりだ、本当に家に帰って来たのだなと実感する。
あ〜この時間が永遠に続けば良いのにな〜
「ところでレオルド様、私に何か言わなきゃいけない事無いですか?」
何故か抱きしめが強くなった気がする。それと同時に、まるでタイミングを見計らったかのようにイレーナが離れた。
やばいよ。マジでやばいよっ!
【マスター、ここは正直に言うのが吉かと・・・・・・】
キスしながら押し倒せば・・・・・・
【それが通用するのはイレーナ様だけです。】
いや、ここは上手い言い訳が・・・・・・
【諦めて下さい、地獄を見ますよ。】
・・・・・・はい。
「はい、正直に言います。リトア王国の現女王、ユリア・フォン・リトアと結婚いたしました。」
「そうですか・・・・・・ではしっかりとお話しをしましょうね、レオルド様。」
「は、はい。」
そしてその後、明らかに機嫌を悪くしたヘレナを慰めつつ、何とか許してもらえるように頑張った。
✳︎
時は少し遡る。
講和条約が締結されると、リトア王国は大きく変わった。
レオルドとユリアが一緒に作った法律を全国民に浸透させ、立憲君主制という考え方を広めた。
それと同時に、国全体を25分割してそれぞれ選挙区を作成した。戸籍が無いため有権者を把握し切れないという問題が発生したが、人口1000人以上の全ての都市や街の戸籍を作り、選挙を行えるようにした。ちなみに人口1000人未満の街や村には選挙権を与えなかった。理由はもちろん収拾がつかなくなるからだ。
というわけで、人口1000人以上の都市や街に、一定以上の広さの土地と一定以上の大きさの家を所有している18歳以上の男女、というのが選挙権を持つか持たないかの条件となった。ちなみに審査はそれほど厳しくなく、ある程度住めれば選挙権を与えている。
ユリアが部下と共に選挙制度の改革に勤しんでいる頃、俺を含めたハーンブルク軍5000は、新たな領地となったリトア王国の南側に、軍事拠点の建設を始めた。
周囲の街や村からも人手を雇い、一気に工事を進めた。
ここに軍事拠点が欲しい理由は、アルバス河の安全を確保するためであり、それと同時に補給基地、もしくは造船所としての機能も求められた。
アルバス河の河幅は広いところだと4kmと、かなり広い。新たに建設した軍港の周囲も河幅が1kmほどある。
ひとまずは駐屯地として機能できるぐらいまで完成し、補給基地としてなら役に立ちそうな軍港も完成した。テラトスタ→デュークス島→新拠点という流れができれば万々歳だ。
まぁまだ途中に障害となるものがいくつかあるが、じきに方がつくだろう。
また、新拠点の名前は、悩んだ末『サックナ』と名付けられた。
その他諸々の事が片付くと、やっと選挙が行われる体制が整った。一週間かけて行われたその選挙によって、25選挙区50人の議員が決定し、例によってハーンブルク家が11議席分をもち、合計61議席による政治体制がスタートした。
ちなみに、ハーンブルク側の代表には、ユリアがなった。法律上、国王を含む王族には参政権が無いが、ハーンブルク家代表としてなら議会に参加できる。
一部、今回の敗戦について王族が責任を取るべきだ、と主張した元貴族がいたが、ハーンブルク家がバックに付いた事もあり、闇に消えた。
また、最悪の事態を想定して用意していた戦略予備物資の一部を、リトア王国への支援として寄付した。ちなみに、用意していた中で1番喜ばれたのは大量の塩だった。アルバス河はあるが、海に面していない内陸国なので塩が貴重なのだろう。
そしてとりあえず、リトア王国の問題は大方片付いた。まだ問題は残っているが、何とかなるだろう。
「本当に帰ってしまうのですか?」
「あぁ、もう1年近くシュヴェリーンに帰っていないからな。それに、ギャルドラン王国との戦争も残っている。ポラド王国の方は大丈夫か?」
リトア王国方面からポラド王国に侵攻する事も考えられたが、こちらには既にサーマルディア王国軍がいるので、できれば同じ方向から攻めたくないという事で、一度帰宅する事になった。もちろん、拠点から遠すぎるというのも理由の一つだ。
「ポラド王国とは明後日から講和会議の予定が入っております。」
「一応舐められないように歩兵3000を駐屯させて置いたから好きに使ってくれ。」
レオルドが現在は率いている歩兵5000のうち、3000をここに残す事にした。ちなみに、流石に機関銃は持って帰るが、最新装備である『M-3』や『L-1』も置いておく。
これだけあれば、ユリアが指揮官でも大きく戦力を落としたポラド王国に勝てるだろう。
もちろん、SHSによる撹乱も同時に行なっている。ポラド王国内の橋が全て落ちるのも時間の問題だろう。
「私が勝手に命令してもいいのですか?」
「今はお前も、ハーンブルク家の一員だろ?」
「そうでした・・・・・・慣れないものですね・・・・・・。では、お気をつけて。」
「あぁ、今度はシュヴェリーンで会おうな。」
「は、はいっ!」
そう言いながら、おでこにキスをすると、俺はリトア王国を後にした。
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どうでもいい話
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番号ーっ!
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