第6話 大会

世界大会

構想自体は、かなり前からあったのだが、競技人口が少な過ぎて成立しなかった。

しかし、ハーンブルク家は大陸西側の至る所に領土を構える事となり、そこを中心として周囲に幾つもの都市や街が誕生した事によって、サッカー人口は凄まじい勢いで増加の一途を辿った。

そこで、ハーンブルクリーグスタートの10周年を記念して、サッカーの世界大会が行われる事となったというわけだ。





「ついに実現できるのですねっ!」


「あぁ、参加国数は少ないけど、楽しい大会になると思うぞ。」


「それは楽しみですねっ!」


イナ・サーバルは、少し興奮気味に答えた。少し頼りない気もしなくはないが、彼女が有能である事は間違いない。

彼女はこの数年間、ひたすらサッカーの素晴らしさを大陸西側全体に広める活動をしており、彼女のおかげで思ったよりも早く全体に広まった事は間違いない。

最初は、ジア連邦共和国にサッカーを広めるのに適任だと思って送り出したが、これが上手く作用してくれた。ジア連邦共和国に続き、サーマルディア王国やエラリア王国、リトア王国にサッカーを広めたのも彼女だ。

ちなみに、サーマルディア王国ではすでに独自のリーグである『サーマル・リーグ』が誕生しており、エラリア王国ではジオルターンを中心とした『ジオル・リーグ』にプロサッカーチームが2チーム参加している。

国自体は強豪というわけではないが、個人の技術は素晴らしく、世界最高峰のサッカーリーグである『ハーンブルク・リーグ』でプレーする選手もいるほどだ。


「チームは分けはどうするんですか?やはり、地区毎にチームを作るんですか?」


「いや、国ごとにチームを作るよ。エラリア王国の選手をジオルターン代表としてまとめてしまってもよかったが、やっぱり世界大会なんだから、各国代表という形が一番いいと思ってな。まぁ例外として、ハーンブルク領だけは5つのチームにわかれる予定だけどな。」


今のところ参加予定なのは、

『ハーンブルク領シュヴェリーン』代表

「ハーンブルク領ミドール』代表

『ハーンブルク領テラトスタ』代表

『ハーンブルク領ジオルターン』代表

『ハーンブルク領トモタカ』代表

『エルフ共和国』代表

『サーマルディア王国』代表

『ジア連邦共和国リアドリア』代表

『ジア連邦共和国旧王都』代表

『エラリア王国』代表

『リトア王国』代表

『ギャルドラン共和国』代表

の12チームだ。

第1ラウンドで3チーム毎でリーグ戦を行い、上位2チームが第2ラウンドであるトーナメント戦に進めるというシステムとなっている。

ちなみに、できるだけ試合数を増やして、多くの観客をハーンブルク領に呼びたいという狙いがあったりする。


「監督はどうするんですか?」


「監督はその地区出身じゃなくても大丈夫ってルールにしといた。やっぱり、地方だと監督になれる人が少ないからな。あ、それともちろん開催地はハーンブルク領だ。シュヴェリーンの1都市2スタジアムで進めていこうと思う。」


「なるほどなるほど、それは面白そうですね。」


イナは、目をキラキラさせながら食いついた。隣で聞いていたイレーナやユリウス、カレンも俺に注目した。彼女ら3人も、結構なサッカー好きだからか、かなり興味があるようだ。

恐らく3人とも、既に世界大会に向けて何をすべきか、思考を加速させているだろう。


【予想観客動員数は10万人を超える予定です。これは、現在ハーンブルク領内に存在するあらゆる宿泊施設の合計利用客室数よりも多いです。また、これを機に移住をしてくる領民もいるかもしれませんで、その辺の対応も行わなければなりません。また、食料不足にならないために、備蓄もしなければなりません。】


俺のブレインであるアイも、様々な面での対応案をまとめ始めていた。文字通り、あらゆる面で、まだ課題は山積みだ。

また、今後のサッカー人気の上昇次第では、さらに多くの観客がハーンブルク領を訪れる可能性だって十分ありえる。

つまり、これは大きな商売チャンスでもあるのだ。領全体が協力すれば、大きな利益と発展をもたらす事ができる。

当然、利用しない手はない。


【サッカー統括庁には、具体的な日程の調整を命令しました。1ヶ月以内に、全ての準備が完了する予定です。また、世界大会に向けて、スタジアムの改築も行っております。サッカー発祥の地かつ、世界大会に相応しいスタジアムを建設中でございます。】


わかってるよ、アイ。


【忘れてしまっているかと思い、一応説明させていただきました。】


ま、まぁありがとう。

それにしても信用なさすぎじゃね?


【今までの行動を振り返りましょうか?】


あ、大丈夫です。


【そうですか。】


そんなわけで、俺は持って来た資料などをユリウス達に配った。もちろんユリウスにも、手伝ってもらいたい事は多い。

流石は俺の弟という事もあり、超有能だったりする。そんなユリウスを、遊ばせて選択肢はない。


それはともかく、とりあえず今日のやらなければいけない事は全て片付いた。この後の予定は無かったので、どうしようか考えていると、イレーナがある提案をした。


「ねぇレオルド、この後って用事ある?」


「いや、別に無いぞ。」


今日は本当に何も無いので、そう答える。


「ならさ、みんなでサッカーしない?」


「いいね〜、やろうよレオルド様っ!」

「え、私もやるの?」

「当たり前でしょカレン、僕たちも楽しもうか。」


「わかった、今日は久しぶりに楽しむか。」


その後、俺たちは『ACR』の選手達に混ざって、紅白戦を楽しんだ。



________________________________

どうでもいい話


いや〜サッカー残念でしたね〜

モドリッチ上手かった・・・・・・

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