第21話 反乱
少なめです。
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トリアス教国軍の要である騎士団長が、異端者として投獄されたというニュースは、すぐに都市中に広まった。
それに呼応して、複数人の騎士を含む多く信者が解放を求める声を上げた。
もちろん教国首脳部は、その訴えを無視した上で、『プロス派』の指導者及び騎士を拘束、及び粛清した。
さらに、『プロス派』に対する更なる圧力として、騎士団長が公開処刑される事となった。見せしめを行えば、『プロス派』を鎮圧できると判断したのだろう。
そしてその情報は、もちろんサーマルディア王国側にも伝わっていた。
「では間違いなく、3日後の夕方に公開処刑が行われるのだな。」
サーマルディア王国軍総大将であり、王国の王太子であるゼラストは、確認するかのように尋ねた。
教国の都市内で、きな臭い噂が流れている事は聞いていたが、まさかこのような事が起こるとはもちろん予想していなかった。
「はっ!ハーンブルク家からの情報ですが、我が軍の諜報部隊も同様の情報を持ち帰って来ました。」
「そうか、ならばその日に合わせて大攻勢を仕掛け、首都を制圧するべきだな。」
「はい、それがよろしいかと。おそらく、その日が1番城壁の防御力が弱まっていると思われます。」
サーマルディア王国軍6万5000は、兵力で負けている以上、攻城戦を行うのは愚策である。
だが、敵が内部崩壊しかかっている今ならば、勝機は十分にあり得る。
「よし、諜報部隊に『プロス派』の指導者を上手くこちら側に引き入れるように命じろ。」
「それが・・・・・・首謀者の特定は難航しております。我が軍の諜報部隊が総力を上げておりますが、まだ辿り着けておりません。」
「ハーンブルク家から何か情報を得ていないのか?」
「はい、情報交換を行いましたが、ハーンブルク家も未だに掴んでいないそうです。」
王国軍の諜報部隊と、ハーンブルク家のSHSは、何度か情報交換を行っており、互いに協力し合っていた。
実際、トリアス教国の軍事的な情報や物資の残量などはSHSから得ていた。
そして、ゼラストもその大切さを十分に理解していた。
「そうか、ハーンブルク家からの援助は流石にもう望めない。全員、すぐに大攻勢の準備をせよ。」
「「「はっ!」」」
ゼラストの指示に、王国軍の上層部が沸いた。
決戦の時は近い・・・・・・
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それぞれの思惑が混じり合いながら、ついに公開処刑が行われる当日となった。
ボロボロの服を身に包んだ1人の男が、首輪を繋がれたまま断頭台へと連れて来られた。
もちろん、この男はトリアス教国の元騎士団長である。
多くの人々が見守る中、ゆっくりと階段を登った。
集まった信者達のほとんどは『プロス派』の信者達で、彼らには目標があった。
そして、その時はやって来た。
「これよりっ!唯一の神、トリアス様に背いた愚か者を、神のお導きにより、浄める事とするっ!」
即時停戦を求める『プロス派』を弾圧する法律を作ったこの枢機卿も、もちろん処刑の執行を見守るためにやって来た。
それが運の尽きとなる。
この枢機卿が、高く手を掲げ合図をすると、処刑人達は斧を振り上げた。
後は手を下に下ろすだけで、騎士団長の首が吹き飛ぶ。
しかし、それよりも先に、行動を起こしていた。
「ほ、報告しますっ!」
「何だこの忙しい時に・・・・・・」
「それが・・・・・・サーマルディア王国軍の攻撃が突然始まり、既に城壁が突破されたとの事ですっ!」
「そんな馬鹿なっ!」
「さらに、城門を開けたのは我が国の方向からだそうです。」
「何という事だ・・・・・・防衛部隊は・・・・・・」
「騎士団長が不在の今、我が軍はまともに陣形も組まずに突破され続けていますっ!」
「皆の衆っ!今こそっ!我らが英雄騎士団長様を救うのだっ!進めっ!」
その報告と同時に、騎士団長を慕っていた騎士達が一斉に矢を放った。そして、その1発目がそれぞれ処刑人と枢機卿の手足や首などの急所に直撃、付近で待機していた別の騎士達は段上に上がると、騎士団長を守るように取り囲んだ。
そして『プロス派』のリーダーである男、シェリングは叫んだ。
「唯一神トリアス様万歳っ!」
「「「万歳ー」」」
実は、トリアス教国首脳部の一部は、既に今日『プロス派』が起こす事を予想していた。明確な実行犯は特定できていないものの、『プロス派』が武器を集めているという情報は既に掴んでいた。
しかし、いつの間にかその情報は闇に葬られていた。
そして、『プロス派』次々と動き出す。
手に武器を持った信者達は、次々と城内で暴れ始めた。サーマルディア王国軍と合流すると、次々と教国兵を粉砕していった。
ハーンブルク領所属SHSのリーダーでもある男、シェリングを先頭に動き出した。
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どうでもいい話
内部崩壊は恐ろしいです。
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