第8話 自然
「ようこそ、我がデュークス島へ。」
『デュークス島』
サーマルディア王国の南にある島で、島全体をデュークス家が治めている孤島だ。
人口は8万人ほどだが、面積はハワフ島の4倍ほどで、美しい自然に囲まれた島だ。
領主館に着いた俺たちは、早速デュークス家当主の下へと案内された。
俺たちを案内する執事と思われる人物に続いて、俺、ヘレナ、いつもの女騎士の順で当主が待つ部屋に入った。
「お久しぶりですな、レオルド殿、ヘレナ殿。」
「「お久しぶりです、デュークス男爵様」」
全然見覚えはないが、一応お久しぶりと言っておく。
何度か手紙でやりとりはした気がするがそれぐらいだ。
【2度目の王都でのパーティーの際に顔を会わせております。まぁ覚えていないのも無理はありませんが・・・・・・】
いや、全然覚えてない・・・・・・
昔から俺は記憶が良かったはずなんだがな〜
【おそらく、忘れてしまうほどマスターにとってどうでもいい事だったのでしょう。】
美少女ならともかく、おっさんの顔をいちいち覚えているほどお人好しでは無いんだよ、俺は。
【いつからそんなキャラになったんですか、マスター】
はいはい。
「本日はこんな田舎によくぞ来て下さいました。大したおもてなしも出来ず申し訳ない。」
「いえ、今回はこちら側がお願いする立場でございます。むしろ、こちら側が頭を下げる立場でございます。」
「お辞め下され、ハーンブルク家には色々とお世話になっておりますので・・・・・・」
実は既に、ハーンブルク家とデュークス家の間で交易が始まっていた。
俺の唯一の姉、ファリアの学友という繋がりから始まり、貿易を行う事になった。
ハーンブルク家からは、最新型の農具や船、デュークス島の気候に適した作物の苗などを送り、デュークス島からは穀物や鉱物が送られて来た。
島であるデュークス領では、船が大量に売れた。ハーンブルク領で造られた優秀な船は壊れにくく、デュークス島で人気らしい。
そしてもう一つ、デュークス島で多く輸入されているのが・・・・・・
「こちら、ハーンブルク産の砂糖を大量に使った菓子でございます。」
どうやらデュークス領の領民は他に比べて甘いものが好きな人が多いらしく、人口比でみると砂糖の輸出量が最も多い。また、そのおかげかこの島の菓子はとても美味しい。
「美味しいですね。」
「それは良かったです、我が家の料理長も喜ぶと思います。」
その後もある程度の世間話をした後、本題へと入る事にした。
「ではそろそろ本題に入りましょうか。」
「わかりました。入って来てくれっ!」
俺が本題に入ろうとすると、立ち上がったデュークス家の当主は誰かを呼んだ。
すると、俺たちが入って来た扉と同じ扉が2回ノックされる。
「どうぞ。」
「失礼します。」
扉が開くと、1人の女性が入って来た。年齢は20代後半か、30代前半ぐらい、金髪の綺麗な方だった。
彼女は、俺たちの正面にやって来ると、一礼してから男爵の隣に腰を下ろした。
「紹介しよう、私の妻のアルビーナだ。」
「アルビーナ・フォン・デュークスです。お会いできて光栄です、どうぞお見知り置きを。」
彼女はそう言うと、ゆっくりと頭を下げた。何というか、美しい。
まさに大人の女性って感じだ。
とりあえず俺とヘレナも、挨拶を返す。
「レオルド・フォン・ハーンブルクです。」
「ヘレナ・フォン・ハーンブルクです。よろしくお願いします。」
俺たちがどうしてアルビーナさんが出て来たのかを疑問に思っていると、デュークス男爵は少し恥ずかしがりながら答えた。
「いや〜お恥ずかしながら私は昔から計算が苦手で、政務はほとんど妻に任せているのですよ。」
「あ、あ〜そうなんですね。」
おいおい何処かで聞いた事あるぞ、この話。
【凄く身近に同じような状況の夫婦を知っていますね。】
父親は貴族家の当主だと言うのに国防軍に入って自由に生き、母親と優秀な息子で領地経営を頑張っているって話を聞いたな。
【優秀な息子?私の知っている話と違いますね・・・・・・】
おいおい。
「では早速、軍港建設に関する具体的な取り決めをしましょうか。」
「はい、お願いします。」
「我々デュークス家からは、できる限りの自然保護と貿易規模の拡大、軍事物資の一部輸入を希望します。」
「前者の2つは了解しました。ハーンブルク家の軍艦が何隻か停泊できるほど大きな軍港を作る予定なので、同時に大量の商船もここを訪れると思います。また、自然保護についても、軍港とその周辺以外は、我々は干渉しないつもりです。」
「それはありがたいです。」
「ですが、軍事物資となると話は別です。目的、質、量などの具体的な希望はありますか?」
軍事物資と一言で言っても、種類はたくさんある。剣や槍などの近接武器、『M-3』や『M-1』などの小銃、ナパーム弾やスモーク弾などの投擲武器などもあれば、戦艦などの大きな物もある。
軍事物資を輸入したいと言われても、はいわかりました、で納得できる話では無いのだ。
「デュークス男爵家は、本土防衛のために100人ほどの軍を新たに創設したいと考えております。その際に、満足に戦えるだけの軍備が欲しいのです。」
「なるほど・・・・・・」
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どうでもよくない話
読者の皆様にお知らせします。自分の中で限界を感じたため誠に勝手ながら、毎日投稿を本日で終了し、毎週火曜日はお休みとさせていただきます。
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