第13話 内容

交渉は上手くまとまった。

フィーナは俺の期待通りにパラス王国との交渉を終えてくれた。結果、ハーンブルク軍が占領した王都を含め、全ての領土が第一次戦争以前に戻された。

もちろん、パラス王国とファルティオン王国が支払った代償は決して安く無い・・・・・・という事になっている。と、いうのも、ガラシオル帝国とパラス王国時と同様、通貨の単位が違うのでどのようにして賠償金を支払うか少し揉めた。

なんせ、ハーンブルク領とファルティオン王国の間にも、国交が無いのだ。

というわけで、戦争の結果をいち早く知りたがっていたハーンブルク領の各メディアに対しては、1320億金マルクと発表した。


交渉が成立した時点で両陣営は撤退、その日からちょうど半年後にゼオン獣王国で今後の世界について話し合おうとだけ告げて、俺たちもハーンブルク領首都、シュヴェリーンへと戻ることにした。


「おかえりなさい、あなた」


「あぁ、ただいま、ヘレナ」


シュヴェリーン駅を降りると、俺の愛する妻であるヘレナが迎えに来てくれてた。俺は、たった今訪れたピンチにどう対応しようか考えながら、彼女を抱きしめた。

そして、彼女の胸の上で気持ちよさそうに寝ている我が子の頭を優しく撫でる。


「ありがとうヘレナ、凄く助かったよ。」


「私はレオルド様の正妻ですから、当然の事をしたまでです。」


「レンも、少し見ないうちに大きくなった気がするな・・・・・・」


「まだまだ可愛い赤ちゃんのままですよ、この子は・・・・・・」


「そうみたいだな・・・・・・」


以前見た時よりも、ずっと大きくなっている気がする。それだけ、赤子の成長というのは早いのだろう。

シュヴェリーン駅を降りた俺は、今日俺がここに帰って来るという情報を聞きつけてやって来た領民達に手を振りながらヘレナが用意した馬車に乗った。


「ところであなた、そちらの女性はどなたなんですか?」


「え?」


「もう一度伺った方がよろしいですか?」


「あーやっぱり説明しなきゃな感じ?」


「はい、バビロン宮殿に戻ったら、じっくりと伺おうと思います。」


びっくりするぐらい笑顔でそう言った彼女は、少し怖かった。

バビロン宮殿へと戻って来た俺は、とりあえず身体を洗う為にお風呂に直行した。久しぶりのお風呂は、全く疲れが癒えなかった。


【マスターが伝えるのを渋ったままここまで来たから、こうなったんだと思いますよ。】


ですよねー

回避する方法は?


【ありませんね。ぐずぐずせずに正直に伝えるのが一番ダメージが少ないかと思われます。】


ですよねー(2回目)


と、いうわけで風呂から出た俺は、早速取り調べを受ける事にした。

え?待って、取り調べって何なの?


「では、1から10まで話していただきましょうか。」

「さっさと吐きなさいよね、レオルド」

「説明を求めます、あなた。」

「・・・・・・」


風呂から出て居間に行くと、俺のお嫁さん達が集結していた。というかクレア、君はこっち側だろ。

お願いします、こっちに来て下さい・・・・・・


【どうやらマスターの意図は伝わっているようですが、彼女は動く気が無いようですね。】


ですよねー

そして、俺の隣には今回の取り調べの原因となった美女が座っていた。

もうこうなったら、言い訳はできない。


「いや〜別に隠すような事じゃ無いんですけどね。今回の戦争の賠償金として、ファルティオン王国は1320億金マルク支払うって事で合意したんだけど、正直お金貰ってもあんまり良い事は無いから、俺はファルティオン王国に3つの要求をしたんです。」


【マスター、何故かですます口調になってますよ。】


良いじゃんそこは。


「その要求と、そちらの女性が関係があるのですか?」


「あ、あぁ、俺が要求したのが国交の設立とファルティオン王国内の港を一つ譲渡、外交官の派遣の3つで、彼女にはファルティオン王国の外交官として来てもらった感じです。」


できるだけハーンブルク領の印象を高めるため、俺は最低限の要求だけをした。

借金漬けにするのではなく、むしろ優しく接する事によって関係を築こうと試みる。そっちの方が、利益は何倍にも膨れ上がるからだ。

それと、ファルティオン王国の所有する港を一つ譲ってもらえるのも大きい。

流石に、軍艦を配備するのは断られたが、様々な物資を関税無しで輸出入できる権利を得た。正直、関税無しで貿易できるのは最高すぎる。こう言ってはなんだが、やりたい放題できるという事だ。

まぁ、今のところするつもりは無いけど・・・・・・


【本当は、彼女がメインディッシュなんじゃないですか?マスター】


いやいや違うって。

彼女はあくまでおまけだから。


「・・・・・・どうやら嘘はついていないようですね。」


「愛する妻に、嘘なんかつくわけないだろ?」


【マスター、ちょっとダサいですよ。】


ほっとけ。


「ふふふ、実は私達フィーナさんが来る事を既に知っていました。」


「え?」


ヘレナが、興味深い事を口走った。

そして、驚くべき事を俺に伝えた。


「クレアさん経由で、事情は既に聞いていました。」


「じゃあどうして・・・・・・」


「貴方様がお嫁さんを増やそうとしているかどうか確かめようと思ったからです。ですが、この反応を見る限り、私の予想通りのようですね。」


「それはどういう・・・・・・」


「ふふふ・・・・・・」


その笑顔に、何故か俺は恐怖を感じた。


______________________________

どうでもいい話


私、カクヨムの規約に違反していたらしいです。

ただ、違反していますの通知を貰ったのに、肝心の何を違反したのかが書いてなくて、誰か知りませんかね。

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