第11話 偵察

俺が敵のハワフ諸島襲撃を予想した日から、4ヶ月の月日が経過した。その間に、俺は各方面へのハーンブルク連邦軍の配置や、防衛計画&反撃作戦の立案を行った。俺はこの戦争によって、世界の統一を達成するつもりであり、絶対に負けられない戦争でもあった。

まぁ、負けてもいい戦争なんて基本的に無いわけだが・・・・・・


「レーダーはどうなっている?」


「反応は一切ありません。」


「機械は正常か?」


「はい、機械は間違いなく正常です。」


「何度も言っているが、一瞬の油断が命取りになるから警戒を怠るなよ。」


「はっ!」


1ヶ月前、現地に潜入中のハーンブルク連邦警察から300隻ほどの大艦隊が、コンストリア帝国の港を東に向けて出発したという情報が入った。搭乗員の正確な数までは把握できなかったが、それぞれの船に300人が乗っていると仮定すると約10万人の大軍となっている。まだ確定はしていないが、東に向かった事から、敵はハワフ島を狙っていると考えられていた。


【仮に敵がハワフ島以外を攻撃目標にした場合、目撃情報が上がるはずですが、現在そのような報告は上がっておりません。故に、時間が経てば経つほど、敵の目標がハワフ島である可能性が高くなります。】


風向きや潮の流れから敵の位置を予測できたりしないのか?


【可能か不可能かで言えば可能です。ですが、精度はそれほど高くない上、かなりの時間を要します。】


そうか・・・・・・


流石のアイも、この大陸中の波の流れと風の流れを計算するのはキャパオーバーなのだろう。以前は砲撃の軌道計算を難なくやってのけた彼女だが、今回のはスケールが違い過ぎるようだ。流石に、これらを全てコントロールするのは難しいのだろう。


ならあとは、レーダーを頼るしか無いという事か・・・・・・


【そうなりますね・・・・・・】


やれる事は全てやり切ったはずだ。あとは、現地の奴らに任せるとしよう。それに今回は、俺だけじゃ無い。





ハーンブルク軍は、全体の約半分をファルティオン州へと派遣し、残りの半分を本土防衛へと回した。ハーンブルク連邦王国の海岸は長く、全土をカバーする事はできなかったが、最大効率での防衛を行うための配置を実現した。そして海軍の方は、ハーンブルク軍の主要な軍港であるテラトスタ、ジオルターン、ハワフシティを中心に防衛を行った。それぞれの軍港には巨大なレーダー探知機が設置されており、24時間体制で海の監視を行っていた。また、それぞれの戦艦にも小型ではあるがレーダー探知機と無線通信が装備されており、蟻一匹逃さない厳重な体制がとられていた。


そして、最も激戦が予想されるハワフシティの西側には、ハーンブルク連邦海軍の中で最も信頼が置かれている精鋭部隊である第一艦隊が担当していた。

その中の一隻に、他の軍艦とは違って一つも大砲が搭載されていない特殊な軍艦があった。


「はぁ〜全く、兄さんも大胆なことをするよね〜」


「ええそうね、新婚夫婦を新型の空母?の責任者に任命するなんて・・・・・・」


「それだけ兄さんが、この新型艦に期待しているということだよ・・・・・・」


僕は、目の前に広がる巨大な飛行場を眺めながら、そう呟いた。

航空母艦、ハーンブルクの新技術である航空機を乗せた船で、どこからでも航空機を発着艦することができる船で、兄さんはこの船に大きな期待を膨らませていた。海戦のルールを変えてしまうかもしれないこの船は、ハーンブルク連邦軍全体から注目を集めており、今回の作戦も最前線での活躍が期待されていた。

そして、僕とカレンはこの空母が所属する第一艦隊とハワフ島防衛を任されている第二艦隊の指揮を任されていた。


「お義兄さんの判断に異論はないけど、普通なら弟を海軍の責任者にして最前線に送ったりしないわよ。」


「ははは、兄さんに常識を求めちゃダメだよ。昔から兄さんは、常識をぶち壊して新しいルールを作ることをまるで趣味のように繰り返している人だからね。」


「確かにそうだったわね・・・・・・」


そんなことを呟きながら、僕たちは笑い合った。僕は人生の大半をジア連邦共和国で過ごしてきたが、ジア連邦共和国が誕生する前は、ハーンブルク軍の方でお世話になっていた。そのため、戦術や兵法はしっかりと叩き込まれており、兄さんから海戦についての戦い方もレクチャーされている。

そして今回は、空母を交えた世界初の戦争であり、腕の見せ所でもあった。


「でもまぁ、僕は兄さんの期待に応えて見せるよ。」


「えぇそうね。」


僕たちがそう微笑みあった直後、無線通信士の一人が慌てながら僕たちの部屋へと入ってきた。


「ほ、報告しますっ!偵察部隊から打電!ここから西に200kmほど進んだ地点に、敵の主力艦隊を捕捉しました!」


「先制攻撃をするっ!攻撃部隊の用意を急げ!」


「了解っ!」


急いで指示を飛ばした僕は、兄さんに敵艦隊発見の知らせを入れた。


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どうでもいい話


本日、私の傘がお亡くなりになりました。明日は壊れた傘で生活しようと思います。

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