第7話 戦況

短めです。

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「自由射撃用意・・・・・・発射っ!」


ハーンブルク軍の標準装備である『M-1』を装備したハーンブルク軍の第一陣5000が、小隊ごとに攻撃を開始した。


そしてその後ろで、長距離射撃に特化した武器である『M-3』を装備した狙撃部隊500が、敵の指揮官を目標とした攻撃を開始する。


戦場で目立つ存在である指揮官は、いるだけで味方の士気が上がり、敵兵の士気が下がる。フランスの英雄、ジャンヌダルクが良い例だろう。


だが、逆に目立つ指揮官がやられると、兵達の士気は大きく下がってしまう。

そして、今回の戦場において特別感のある敵の指揮官達は、良い的であった。


戦闘開始から1時間ほどが経過し、ハーンブルク軍は多大な戦果をあげていた。


「将軍級の敵指揮官1名と、貴族と思われる敵指揮官12名の狙撃に成功し、その内の半分ほどが戦死しました。」


「まずまずといったところか、こちらの損耗率は?」


「未だ1%未満だと思われます。身体強化魔法を使ったと思われる将軍級の敵に一度前線を突破されましたが、狙撃部隊の集中砲火を受け、戦死しました。その後は、敵の士気が明らかに下がっております。」


「銃の恐ろしさに気づき始めたって事か。第一陣を下がらせて第二陣を前に行かせろ。そして第一陣の兵達に水と食料と弾薬を渡せ、怪我をしている者は衛生兵に手当してもらえ。」


「了解っ!」


ハーンブルク軍には、少数だが衛生兵もいる。いくらこの世界のレベルの数段上をいく兵器を使っていたとしても、何かしらの理由で怪我をする兵士が出る。

そういう者たちに、消毒をしたり包帯を巻いたりするのが衛生兵の仕事だ。

実は、彼らは先のサラージア王国の内乱にも参加しており、多くの命を救った実績がある。


「想定通りってところかしら。」


「まぁそうだな。敵の戦意を喪失させた上で、持久戦に持ち込むのが1番こちらの犠牲が少ないだろうな。」


「そうね。」


「あ、そういえばセリカとアキネはどうしたの?」


珍しく1人でいるイレーナに驚くと、彼女は笑いながら答えた。


「軍の左翼を見てみな、最近はすっかり銃にハマっちゃったみたいで、戦場で暴れているわ。」


「あはは〜そうみたいだな。」


イレーナに言われてた通り視線を左に向けて見ると、遠くに銃を乱射しているメイドを2人見つけた。きっと、あの2人がそうなんだろう。

旧トリアス教国将軍の娘として、ハーンブルク領にやって来た彼女達は、何故か今まで一度も触った事がなかったはずの銃にハマっていた。

どのぐらいハマっていたかというと、それぞれ自分からハーンブルク家直轄の工房に出向き、それぞれ自分に合った銃を作ってもらったという事後報告が俺の所に来たほどだ。

指揮官から一般兵士まで、全員同じ迷彩服を採用しているハーンブルク軍では、中々に目立つ存在となっていた。


そして、もう1人・・・・・・


「あんたの所のクレアも同じようなものじゃない。」


「いやいや、クレアはちゃんと後方にいるぞ?」


「後方で狙撃をしているじゃない。」


元々近接戦闘が得意であったクレアは、サラージア王国戦から今日まで、俺の知らないところでずっと狙撃の練習をしていた。

確かにあの時、俺は調子にのって「これぐらいはできるようになってもらいたいな・・・・・・」、とか言っていた気がする。そしてそれを間に受けたクレアは、必死に練習したらしい。

しかも独学で。

その結果、驚異的な狙撃スキルを手にした彼女は、無風なら1000m超を狙撃できるほどの腕前となっていた。

マジかよ。


【何と言えばいいかわからないですね。】


「彼女だけでいったい何人の敵を葬ったと思っているのよ。」


「いや、正直俺も分からん。少し引いている。」


「はぁ・・・・・・」


そんな事を話していると、俺とイレーナのところにとんでもない情報が飛んできた。

いや、もしろ予想通りというべきか。


「報告しますっ!捕虜達の一部が反乱を起こしました。奴らは、農業用の木の鍬を片手に、捕虜の開放を要求しております。」


「やっぱりそうなったか。」


「どうするのよ。」


「休憩中の第一陣を、反乱を起こした捕虜達の排除に回せ。」


「はっ。」


実はこの展開、俺とアイは予想していた。何故部隊を第一陣と第二陣に分けたかというと、捕虜の反乱に備えるためだ。

互いに連携が取れないように、捕虜をいくつかのグループに分け、間隔をだいぶ開けた上で農業をやらせたが、先日見逃した将軍だけは反乱を起こしそうだなって思ったため、ハーンブルク軍の第一陣が休んでいるところの近くに置いておいた。


そしてさらに、彼らには木の鍬と植物の種のみを与える事によって、反乱軍の武器を絞った。

畑を耕すように命じる事によって、余計な事を考えさせない事が1番の目的であったが、反乱を起こそうとしても木の鍬しかないというのも目的の一つであった。


「これであと1つ。」


俺(アイ)のプランは、あと1つで完成する。

そう俺が呟いた時、1人の使者がハーンブルク軍の本陣に到着した。


「報告しますっ!エラリア王国からの使者が到着いたしました。ここにご案内しますか?」


来たか、最後のピースが。

戦争の勝利と終結を確信した俺は、報告に来た部下に返事をした。


「すぐにここに呼んでくれ。俺の予想では、大事な報告だ。」


「了解っ!」



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どうでもいい話


執筆用のPCが欲しいと思う、今日この頃です。

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