ss 脱出ゲーム③

謎のテンションで、本日2話目の更新です。②をまだ読んでいない方は、先にそちらをどうぞ。


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「ちょっとこれはどういう事よ。というか、あんた誰なの?説明しなさい、レオルド」


ヘレナに続くようにして部屋に入ってきたイレーナは、開口一番に私を見てそう言った。彼女の後ろには、ユリアとクレアもいる。

ヒロイン全員集合&全員ウエディングドレス姿という素晴らしいタイミングなのに、私は現在大ピンチであった。


「いやいやちょっと待ってくれ、俺もわからないんだけど。」


「じゃあ本当に誰なの?あなた。」


レオルドの発言を信じたイレーナは、私の方をじっと見つめてきた。鋭い眼光が私に向けられる。


「えっとですね~どこから説明すればいいか・・・・・・」


「レオルド様、こちらの方はですね佐々木サイさんといって、すごく遠い所からレオルド様の元を訪ねてきたそうです。お知り合いかと思いましたが違うんですか?」


「あぁ、少なくとも俺は知らないぞ。」


先程まで私と会話していたスピカもいつの間か向こうサイドに立っていた。どうやらスピカには勘違いされていたようだ。


「で?結局のところ、お前は誰で、何の用なんだ?」


いつの間にか、私へと視線が集まる。

私は注目を集めながら、自分が今何をすべきなのか考えた。馬鹿正直にこの物語を創った張本人です、なんて言えるわけないし、かといってはぐらかせば怪しいやつだと認識されてしまう。


助けて~アイえもん~、が使えるレオルドが本当にうらやましい。私にもないかな、そういう機能。


っと、冗談は置いといて、私が今できる最善手はいったいなんだろうか。レオルドだけに、私がどのような人物なのかを伝える方法はどこかにないものか。

ある、たぶんこれなら伝わるはずだ。


「私は苗字が佐々木、名前がサイで、佐々木サイです。そして、レオルドとは同郷です。」


ここで言うところの同郷というのは、もちろん我らが青い星、地球の事だ。そしておそらく、地球の存在はレオルドと、目的の少女しか知らない。

私が地球出身であるという事がレオルドに伝われば作品に影響が出そうだが、後でアイに頼んでその部分だけ上手く改変、もしくは消去してもらえれば問題ない。


「同郷?どういうこと?」


予想通り、私の言った言葉の意味が解らないヒロインズ&スピカは、首を傾げる。だが、彼女には真意が伝わったはずだ。


「・・・・・・ごめんみんな、一旦サイと二人きりにしてくれないか?」


予想通りと言うべきか、レオルドにはうまく私が何者であるのか伝わったようで、彼は行動を開始した。


「どういうことよ、それ。私に聞かれちゃまずい事でもあるの?」


「いやいや無いから。多分5分ぐらいで終わるはずだ、悪いが外で待っていてくれ。」


「・・・・・・はぁ、わかったわ。何があったのか、後でしっかりと説明してちょうだいよ。」


渋々といった形でイレーナが折れる。

ちなみに私はこの時、一人でテンションが上がっていた。なんせ、目の前でレオルド達が会話しているのだ。これで興奮しない者などいないだろう。


「お、おう。」


「私たちにも、後でたっぷりとお話してくださいね。」


「あ、あぁ、絶対にするよ。」


レオルドがそう告げると全員が部屋の外に出て行った。ここも私の予想通り、私の目的の人物である『アイ』ならば、こうすると思った。

私と主人公は、正面から向き合う。私は一応、レオルドの生みの親であるわけだが、その辺を話すと話が余計にややこしくなるのでいったんスルーする事にした。


「とりあえず、アイを実体化させてくれない?」


「わかった。」


私がここに来た目的を告げると、レオルドはしっかりと応じてくれた。すぐ隣に、私の最推しキャラであるアイが顕現する。


【こんにちは、アイです。マスターのサポート役を担っております。】


相変わらずの青く美しい髪に、どこか別次元の存在を連想させる独特の雰囲気に圧倒される。なんというか、言葉に表せない凄さを肌で感じた。

ついでに、カクヨムにもありがとうと言っておく。


「どうも初めまして、佐々木サイです。実は、この世界に迷い込んでしまったようで、何とかして脱出したいなと考えているのですが・・・・・・」


【迷い込んだ、脱出、ですか・・・・・・】


アイは困ったような顔をしながら答えた。


「どうにかして、アイの力が借りられないかな~と思って話してみたのですが・・・・・・」


【ごめんなさい、私では力になれそうにありません・・・・・・】


もしかしたらって思っていたけどアイでもわからないか・・・・・・

現状、一番可能性が高いと思っていた脱出への道はアイだったが、これではどうしようもない。


「うそん・・・・・・」


あと、打てる手段は何かないか。

ダメだ、思いつかない。


「このまま私はここで暮らすはめになるのかぁぁぁぁ・・・・・・・・・」










「って感じでどうかな・・・・・・」


【いやいや、それだと結局脱出できていませんよ?マスター】


私は、キーボードから手を離しながら呟いた。


「だってほら考えてみてよ。ノリと勢いで作品の世界に閉じ込められちゃったら?ってやつを書き初めてみたけどさ、これ終われなくね?」


【最初に落ちを決めておかないからこうなるんですよ、マスター】


「まぁ確かに、私は作品を作る時はたいていラストシーンを決めてから書き始めるけど、今回に関してはどうしようもなかったからな~」


私は基本的に、最後に大きな爆弾をもってくるのが好きだ。だから、落ちとクライマックスシーンを決めてから作品を創り始める。

だが、今回のやつはノリと勢いに任せたものだった。


「どう?これで読者は納得してくれると思う?」


【それはまさしく、聞いてみないとわからないってとこですかね。】


「じゃ、これでいっか。」


私は、右上にある保存ボタンを押すと、予約投稿画面を開いた。

そして、いつもの時間に更新をセットすると、pcから離れてベッドへとダイブした。

きっと、私の優しい読者なら、許してくれるだろう。



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どうでもいい話


なんというか、ごめんなさい。


文句は、私に投票した方に言ってください。

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