第212話 俺の休息
「楽しかったですね」
琴音とたわむれていた美咲は満足した表情を見せている。
「やっと終わった」
解放された琴音は疲れた表情を見せる。仕掛けたのが琴音だから結果的に悪いのは琴音である。そのためこの状態なったとしても擁護することはできない。
「まさかここまでとは」
可愛いものが好きなのは美咲の部屋で寝ている琴音は知っている。だが、それがどれほどガチなのかは知らない。
「でテイストはどうだった?」
一応美咲に琴音について聞いてみることにした。
「サイズは大きなぬいぐるみって感じです。触り心地はとてもいいです。妹として最高ですね。よかったらください」
感想がリアルな美咲。いつもはあまりしないお世辞を言うほどテンションも上がっているようだ。
「それでお前は?」
「辛かれた。もう無理。絶対勝手に近づくのやめます」
めずらしく琴音がやらないと言っていた。仕掛けないからと言って快感を知った美咲はならないという保証は何もないが。警戒をしておかないと美咲は必ず仕掛けるだろう。
「ふぅ」
昼頃であれば流石に眠気が襲ってくる。大晦日からぶっ通しで起きていたからな。流石に限界を迎えたようだ。
「寝ていいですよ。わたしは回復したので。夜ご飯は任せてください」
その疲れに気づいた美咲が休むように促してくる。
「さすがにそうさせてもらうか」
「私の部屋に行きますか」
「やったー!!」
さらに気を利かせて俺の部屋から出ると告げてきた。琴音はすごく喜んでいる。
「そうしてくれ」
2人が部屋からいなくなると一気に静かになった。これでならゆっくり眠れそうだな。新年からこの勢いか。美咲は半分演技とはいえ、いつも以上に素の自分が出ていた気がする。正直その方が安心できる。美咲が自由でいられる時間は限られている。新年は楽しくできたのだとしたら俺も嬉しい。
そう考えていると自然と眠りにつき始めていた。
「違いますこっちです」
だんだんと誰かの声が聞こえてきた。今何時だろうか。疲れは軽くとれているようだ。
「えーこっち?」
聞き覚えのある声だ。おそらく琴音だろう。つまり2人は部屋に戻ってきたようだな。
「違います!」
どうやら美咲が手を焼いているようだ。いったい2人で何をしているのだろうか。起きることも容易だがしばらく様子を聞くとするか。また、変な行動をするかもしれないし。
「こげてます!」
「うわー大変!」
どうやら2人で料理をしているようだ。それも美咲は指導役でメインは琴音がになっているようだな。さっきの料理をしてみて目覚めたようだな。運動しか脳がなかったやつが女子らしいことをするようになって感心だな。
ま、聞いてる感じ相当手を焼いてるように思えるけど。
「静かに。起きてしまいますから」
「そ、そうだね」
一応俺に気を遣ってくれているようだな。ならなんで俺の部屋に戻ってきて料理をするのかとツッコミをいれたくなるところだが。まぁいいか。
そう言ってるのなら俺も黙ってもう一回寝るとしようかな。
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