第27話 一通の連絡(4/29投稿。一話飛ばして登校してました)

 椎崎美咲。双葉蒼葉。なぜか俺に接触してくるのは女子だけだ。大和は接触はしてきたがまだ仲がいいというほどでもない。どちらかというと観察されているような感じだろう。

 椎崎については常に裏あると疑ってしまう存在だ。なぜ俺と話すようになったかわからん。確実にあうたいぷじゃない。

 双葉は積極的すぎてすごい。少し闇を感じるところもあったが彼女は常に元気をたもっている。転校する前に苦労したのだろうな。クラスともなじみ始めてきたしあとは俺というマイナスの要素を抜ければ解決できそうだ。

 そう振り返っていると一通の電話がかかってきた。

「あ、りん兄?久しぶり!」

 ハイテンションの声が聞こえてくる。名は琴音。俺の妹である。ボーイッシュ系の元陸上選手。こいつに長距離を走らせたら勝ち目はないとうたわれるほどだ。

「なんだよ」

「ふーん。思ってたより元気だね」

「そんないつまでも落ち込んでられるか」

「誤解は解けた?」

 一応、琴音は事情を理解してくれている。こうやって電話をしてくるのも話し相手になってくれているわけだ。

「そう簡単にとけるかよ。とはいえ、誰もっ気にしなくはなってきた」

「変化はありとならよかった」

 その確認のために電話かけてきたのかこいつわ。

「お前は部活やめてからもちゃんと体動かしているか?」

「あーうん。ぼちぼち」

 こいつもある意味孤独なのである。三年生だから引退した。当たり前のことだ。だが、最後の大会。こいつは仮病を使って出場しなかった。背中から感じるあきらめの視線に琴音は耐えれなくなった。ずっと後ろにいる俺とは対照的。だが、前に進みすぎて誰もついてこれる奴がいなくなるとそれも孤独とするのだろう。

「来年どうするんだ?」

「帰宅部かな。私競うの苦手だし」

「いいんじゃないか。楽だし。お前みたいに部活がなければさぼるやつが高校で通用するわけね―しな」

「むー!私たしかに体動かす機会減ったけど今でも全国優勝は余裕でできるから。

「ほんとか?無理言う必要ないぞ」

「少ないけど毎日10キロ走ってる私を舐めないほうがいいよ」

 あ、ちゃんと体が衰えないよう鍛えてはいたんですね。毎日10キロは普通にヤバイ。

「そこまで言うってことはお兄ちゃんもちゃんと鍛えてるってことだよね」

 ほぼ毎日さぼっている。

「多少はな」

「じゃぁ明日そっち行くから」

「おうこいよ」

 あ、

「やったー!!初めて許可をもらえた!!」

 やらかしてしまった。琴音が来ると動かされるからずっと拒否をしていた。

「じゃぁ明日いくからね。今日は寝るじゃーね!」

 光のように電話が切れた。

 明日か。明日。椎崎には合わせるわけにはいかないな。そして冷静ではもういられない。明日。何があっても椎崎と合わせないようにせねば。

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