第26話 2人の関係

 ゲームセンターを後にした俺たちは家に向かっている。

「そういえばお前ってどこ住んでんだ?遠いなら家まで送るぞ」

「始めてあったところから歩いて5分くらいのところだから大丈夫。ほんと途中まで同じ道でほんとよかったよ。朝遅刻するところだったし」

 あの場所から5分ってことは俺のアパートの近くなのかもしれないな。深くは興味ないから聞かないが。

「まさか、いきなり声かけると思わなくて驚いてた」

「だって遅刻しそうだったし。ほんとに感謝してるから」

「そこまででもないだろ」

「む、りんくんって鈍感だよね」

 顔をこちらに向け頬膨らませる。

「なんでそんなに自分を卑下するの?りんくんはいい人。みんな噂してるのも私は誰かのためにしたって思う。それを隠すことについてはよくわからないけど。もっと自分を評価するべきだと思う。ま、少しずつその噂も空気になってきてるしこれで安心かな」

 俺と仲良くするような奴らは皆、過大評価しすぎだ。たいしたことを一切してない。それを周りが悪くするかよくするかで話を盛り出す。

「お前はしっかり自分の能力を把握しろ。転校生がいきなり周りから排除されることを選ぶのも珍しすぎる」

 双葉の強みはこのコミュニケーション能略だろう。椎崎とは違い言葉は純粋だ。

「だから最近頑張ってるんだよ。みんなと関係築きたいし」

「なら、俺と一緒に行動禁止とかにもしてみるか。俺がいると声かけづらそうにしてる連中もいるし」

「それでりんくんと話時間減るのはやだなー。でもまぁりんくんがいないときはそうしてみる」

 少しは意識の変化があったようだな。

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