第148話 早起きは得を与える。

「昨日はありがとうございました。確かに受け取りました」

 朝になる真っ先に美咲が俺の家にやってきた。昨日は俺と別れてからすぐさま寝たという。バッグもそのままで着替えもせずにベットに倒れたように寝ていたらしい。だから預けて正解だったと話していた。

 そして早朝。俺はインターホンの音で起こされた。まさかいつもの時間の二時間も早く美咲がインターホンを鳴らすとおもっていなかったから全然頭が回っていない。インターホンの音で起きたため美咲が見えたときは驚いてしまった。

「お前さもっと時間帯を考えてくれ」

「いつも通り起きただけですけど」

 こいついつもこんな時間になにも。もう起きているのか。はんぱないな。

「そうですか。こんな朝早くから何してるんだ?」

「勉強ですかね」

 さすがだな優等生。

「俺は眠いからもう一睡するわ」

「勝手にどうぞ」

 道具をわたし終え俺はもう一度ひと眠りに入るのであった。

 しかし変な起こされ方をした結果なのだろうか。なぜか眠れなくなった。目をつむってもまったく眠気がこない。体は寝させろと嘆いているのに脳が寝させていないようだ。

「しかたない軽くランニングに行くか」

 昔は琴音にたたき起こされて走ってたな。あいつは早寝早起きだったからよかったが規則正しくない俺は地獄だったな。冬休みは琴音がくるのか。あいつも受験シーズンだし兄らしく応援してやらないとな。ま、勉強面は地獄だから双葉に全部任せることになるだろうけどな。あいつならなんとかしてくれるだろう。そしてうちの学校でもあいつは陸上に入って好成績を残していくと思う。ほんとにあいつは学校の成績とか関係なしに我流で一番をとるやつだ。この学校の伝説を残すのに期待だな。


 そう思いながら走り進めていると一通の連絡が入った。美咲からだ。

 

 戻ってくるときは連絡ください。朝食用意しますので


 だそうだ。あいつ俺が外に出たのに気付いたのか。それに加えて走って疲れた俺に朝食を作ってくださるのか。ほんとできたヒロインだなあいつ。家族がもっとちゃんとしてたら理想を作れたのだろうに。


 そこからは美咲の朝食が食べられると期待から走るペースがあがった。そして一時間弱走り美咲に連絡をして家に戻っていった。

「お疲れ様です。昨日作れなかったので。トーストと目玉焼きにベーコンです。ご飯はでしたら申し訳ありません」

 一人暮らしを始めてここまで整った朝食を見たのは初めてだ。クオリティが高すぎる。感動している。

「ありがとう」

「ちゃんと食べて片付けてから学校に行ってくださいね」

「わかった」

 早起き思ったより悪くないかもな。

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