第149話 不可解な登校
俺が朝食を食べているときに自然と美咲は学校に向かっていった。いつもよりだいぶ早かった。
美咲の料理は最高にうまい。朝食ですらレベルが高い。こんなのが毎日食べれたらとよからぬ想像もしてしまうほどだ。本当に俺は幸せ者だな。一度だけでもこれを体験できたのだから。
朝食を済ませ食器を洗い後片付けを済ませて学校にむかった。
双葉は今日学校に来るのだろうか。昨日はへんな別れ方したし。それにどこかつらい目をしていた。ま、来たとしても昨日のことはふれないでおいてやろう。
「りんたろうっちおっはよ!」
登校中に上野がのっかかってきた。めずらしく登校中にだ。
「おまえなんだよ」
「いやさ。双葉っちから呼ばれてよ。こっちからこいって」
「そういうことだ」
大和もゆっくりと歩いてきた。双葉からか。何か不可解だな。
「ごめんごめん。遅くなって。ってりんくん!!」
驚いた様子だ。俺は呼ばれてないからな。ただの奇跡だ。
「おはよ」
ひとまず挨拶をしてみた。昨日の落ち込んだ様子はもうないようだ。大和たちを呼んで俺に声をかけてないから。そう思ったが気のせいだったようだな。
四人で歩いているなか双葉が俺に近づいてくる。
「りんくん。昨日はごめんね。私ちょっと冷静じゃなかったみたい」
耳にささやてきた。
「気にするな。昨日店にいたのは誰なんだ」
「あの人は味方。私を転校するまで助けてくれた親友だよ」
昨日の震えた声でなくいつもの双葉の様子だ。この言葉に嘘はなさそうだ。とりあえず一つ安心することができた。
「りんくんにも私たち以外に友達いたんだね。よかったよ」
声が少し弱くなった。双葉は何かに気づいたのだろうか。無理して何もなかったと押し殺しているように思える。
「お前に心配されるほど俺もぼっちでないということだ」
まぁ美咲だから身内だし双葉の知り合いでもあるからプラマイゼロだけど。
「なんであんなとこにいたの?」
「見ただろあのグッズ。妹の誕生日プレゼント買うのを手伝えって言われた」
なんとなくそれらしい理由を言ってみた。
「そういうことね。だからあんな女の子らしい道具だったのか」
とりあえず納得してもらえて何よりだ。とりあえず彼女は俺を疑っている。それは確信をもてた。なぜ大和と上野を呼んだのかはまだわからないがとりあえずは美咲とアパート以外で行動を共にするのは控えておこう。
「ねぇどうだった?」
「お前の思い違いだろう。倫太郎は嘘をついていない」
「そうなんだ。ありがとう。ごめんね」
「いいってことよ。友達の願いだしな」
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