第150話 終業式

 文化祭を終え、期末テストを終えた俺たちはついに終業式を迎えた。校長の長い話が始まる。

 二学期はノンストップでずっと疲れてた気がする。たった一度の人助けで起こした暴力沙汰のせいで学年から排除されてから始まった。そこから椎崎美咲が俺の隣の部屋で暮らしていることがはっかくする。はじめはすごい悪い印象だった。学年の人気者は裏ではひどいやつと思っていた。だが実際は違った。彼女はいろんなものを抱えるタイプだった。だから本当の自分を隠して理想の椎崎美咲を演じていた。本来の姿は運動ができなくてかわいいものが大好きな女子だ。

「りんくん眠い」 

 隣から声をかけられる。双葉だ。

「がまんしろ」

 なんやかんや、双葉は出来事の中でも大きな存在だったな。朝迷子になっていた彼女を助けたのが出会いだった。自己紹介の時に俺に気づいたと思ったらそのまま強制的に仲良くなった。周りからやめるように言われたがあいつは俺を選んだ。孤立するのも理解してのことだろう。そのおかげでクラスの中でも楽しい日々を送れた。なぜ転校した来たのかは謎だ。それに双葉は何かを隠している。きっと電話の相手が重要人物なのだろう。気になる。だが、あいつもこっちを怪しんでいる。こっちが無理に切り込めばこちらの事情もバレる可能性がある。どちらにしても双葉は双葉だしこの関係を壊さないためにも現状維持が一番なのかもしれない。


 それに大和と上野だ。上野に関しては文化祭で大和についてきたやつ。程度だった。それ以上でもそれ以下でもない。悪くないやつとはわかるけど。

 大和に関してはあのサッカーの時にうまいからとかいうよくわからない理由で俺を選んだ。そこからしつこく話してきてなんやかんや今友達でいる。あいつこそ俺と仲良くする理由がわからない。本人は気に入ったというが俺なんて比べ物にならないくらいい友達はいるはずだ。だがここ最近は俺たちといる時間が長い気がする。ほんとに謎だ。


 出来事でいえば一番は文化祭だろう。美咲に仕事を押し付ける現状にイライラした。そして美咲はそれを嫌な顔をせず無理してでもこなしていた。その結果体調を崩すことになった。あの時一度は美咲を捨てる覚悟があった。嫌なことをいって俺のいない生活を遅らせる。そうできればよかったんだろう。だが美咲は俺から離れなかった。それだけでなく友達になろうと提案してきた。あいつは本当にいいやつだと思った。一度でもあいつを捨てようとした俺はくいている。そして今は俺があいつを助ける立場になった何があっても必ずあの美咲を取り戻すんだ。


 拍手の音が聞こえる。振り返っている間に長い校長の話が終わった。双葉はすでに眠っていた。


「よーし終わった!これからどうする?」

「悪い。家族が午後にこっちくるから俺はいけない」

 家族といっても琴音だけだけど。あいつは美咲とすでに予定がある。双葉に妹に興味をもたれるといろいろめんどうそうだし入学するまで隠すことにしよう。

「そうなんだ。じゃありんくんと会うのはデートのときか。日にち決まったら連絡するね!」

 冬休みになるというのにまだ決めてなかったのか。まぁ暇だからいいけど。

「了解。そん時呼んでくれ」

「うん!」

 こうして、俺の二学期は終わった。三学期は平和にすごせればいいな。

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