第151話 駅での待ち合わせ

 学校が終わり駅に向かっている。琴音がめずらしく電車を使ってくると連絡をうけていた。駅からだと迷子になると悪いからと迎えを頼まれた。前回のように走ってくればいいものを。

 琴音は俺と同じ学校に受験しようとしている。それも学力でだ。琴音の成績なら簡単に陸上の強豪校へ推薦入学することも容易だろう。だが、学力となれば話しが変わる。琴音は運動バカだ。勉強をまったくしていない。そうなれば難易度は一気に上がってしまう。美咲がいるからとはいえ、難しいと思える。


 駅に着いた。だいたい20分待つことになりそうだな。いいや。椅子に座って昼寝でもしてよう。

 席に着き目をつむる。だんだんと眠りの世界に入っていく感覚がある。これはすぐに眠れそう…


「にいちゃん。お兄ちゃん!!」

 どこか妹の声が聞こえてくる。まだ夢のなかにいるようだ。

「起きて!!」

 額に何かがぶつかってくる。痛みを感じる。これは夢でなさそうだな。少しずつ目を開いていく。

「やっと起きた!」

 目の前には琴音がいた。どうやら琴音がもうついているようだな。

「久しぶり」

「ほらいくよ。ごめんなさいこんな兄で」

 誰かが一緒にいるようだな。

「いえ。そのために来たようなものなので」

 すごく聞きなれた声が聞こえるな。まだまぶしくてはっきりと見えないが声的には女だろう。

 

 だんだんと視界が見えてくる。美咲だ。

「お前なんでいるんだよ」

「昨日ご連絡を受けましたから。あなただけでは頼りないので来ただけです」

 完全にやらかしたということか。俺が何かをする。今でいえば睡眠か。それを美咲によまれたようだ。どちからといえば、連絡を受けてみんなの理想の美咲なら迎えに現れないわけがないと思ったからきたのだろうな。

「ほんと美咲さんさすがだよ」

「いきますか。荷物は倫太郎君に」

 久しぶりに下の名前で呼ばれた。琴音の前だから極力前回あったときと同じになるようある程度はじゅんびしてきたのだろうな。さすがだ。


「いやー美咲さんがいれば絶対合格できるよ。よろしくお願いします」

「お前いつまでいるんだ?」

 来ることは聞いていたがいつ帰るかは聞いていなかった。どうせなら琴音と一緒に一回家に帰るのもありだな。

「冬休み終了前日までいるよ」

「は?」

「だって家帰ったら勉強しなくなるし。美咲さんには大丈夫な日まででいいので。あとは兄の家でやります」

 俺のことは全く気にされていないようだ。帰らないと思われているな。琴音がいるなら帰るわけにはいかないけど。

「私は大丈夫ですよ。今回は帰る必要ないので」

 少し落ち込んだ表情をみせる。帰ってこないようにいわれたのだろうな。悲しいが。そんな美咲が付き合うのなら俺が付き合わないわけにいかないか。

「俺は一日だけ予定あるからそれ以外は大丈夫だ」

「二人ともありがとう。私頑張る」

 冬休みは実質三人の生活になりそうだ。

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