第13話 寝てません!!
そして恐怖のひと時が終わった。
「おい起きろ。終わったぞ」
「もうちょっと」
トロッコから一向に起きれない。
「すいません。持っていきます」
ちょうどよくがっちり抱き着いてるし抱っこするのは楽で助かる。
カップルの集団の中を椎崎を持っている。なんだものすごく恥ずかしいのだが。ほかのカップルの視線もなんかおかしい気がする。俺ら付き合ってないからとすぐさま否定をしたい。この空気から早くいなくなりたい。
同じ学校の奴もなんかいそうだ。こんなのバレたら大問題になる。俺だけならまだしも人気が落ちなくても話題性はあるからいっときずっとその話ばかりされるだろう。
息しずらくなるだろうが顔を隠させてもらうぜ。タオルを椎崎の頭に乗せる。
ひとけのつかないベンチを見つけた。ようやく楽にできる。無理やり引っぺがしてベンチに置いた。そしてタオルをとってやる。
「あの、その。なんていいましょうか」
タオルを取るとしっかりと目が合った。それはホラーで急に起き上がる人形のようなものだ。
「うぁー!」
「大きな声出さないでくださいよ!」
「お前が出させたんだろ。なんで起きてるんだよ」
「えーとそのですね。私そもそも寝てなくてですね」
「そういういいわけはいいから」
俺の顔は終始笑顔である。
「あ、あのほんとに寝てなかったんです。確かにアトラクション中は目をつむったことは認めるし力が抜けていたのも認めます」
怒りよりもあきれがつよい。だが彼女の必死に弁解する姿はかわいく面白いためこのまま聞いててやろう。
「でも起きろと言われてぱっと意識復活しました。でも手に力いれすぎたせいか体動かなくてですね。服のせいで声もでなくて。そしたら持ち上げられてとりあえずいいかと」
「言い訳はそれくらいでいいかな?」
「はい。寝てました。すいません」
やっと自白をした。
「半分意識飛んでですけど。タオル頭にかけられたあたりで起きました。しかし空気感考えたら中々お声掛けができないと思いまして」
たしかにあの状況で起こされたら落としてた可能性がある。
「はぁ」
深くため息をつく。
「ありがとうございます。怖いところは封印します」
頭を下に向け目を細め落ち込む。
「じゃ、じゃー次行きますかぁ」
立ちあがろうとする。しかし足の力が抜け倒れそうになる。
「おっと。大丈夫か?」
転ぶ前に支えることができた。
「すいません」
あれだけ叫んで暴れて、おまけに嫌いなとこに行った。
「帰るか?」
「嫌です。休みはしますが帰るって選択肢はないです」
硬い意志を感じる。
「そうですか」
どちらにしても休ませないと俺がおぶって帰ることになるし意識の回復してる彼女はそれを好まないだろう。回復の見込みがなければ帰ればいいか。
「へぇあのロボットはあんなこともするんだ」
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