第66話 大変な班になった日
あ、のー。俺は今ものすごい環境にいることに呆然としている。
今日から本格的に文化祭に向けての準備となった。俺は一応ステージ発表の取りまとめ等の仕事をまかされた。リーダーとなるのは荒巻先輩という人だ。祭りという日本語が似合いすぎている。すごく頼りになる先輩だ。
それはいいんだが・・・
「椎崎様これは運命ですね」
ほかのメンバーがまず2年の三原先輩。まじめそうな人だ。
「あの近いです」
そして残りのメンバーが俺、椎崎、木佐山だ。なんだこの編成。先輩が俺らの事情全てを知ったかのような面子だぞ。
「すいません。草加君もよろしく」
「おう」
椎崎は木佐山から逃げるかのように二人の間に俺が入るように座った。そして木佐山はおかまいなしに手を出してくるため俺の前でいざこざが起こっている。
「お前らテンション上がってるのはわかるが、場をわきまえろよ」
「ごめんなさい!ほら木佐山さんも一回落ち着いて」
「はーい」
先輩の一言で一応収まった。
「それじゃ。俺らはシンプルにステージを盛り上げるための企画班だ。とりあえず本格的に動くのは規模感が分かり次第だ。それまでは設営周りの機材チェックとかだな。1年3人は小物が足りているか確認してくれ。俺と三原でライトとか見に行くぞ」
「わかりました」
え、俺もその大きい機材のほう行きたいのだが。だが椅子下で誰も見えない1では椎崎がしっかりと俺の服をつかんでいる。これは何があっても逃がさない遺志を感じる。2人になる状況になるのはいろいろと危なそうだもんな。黙って座っててやるか。
「ありがとうございます」
小さな声で囁いてきた。
「気にするな」
「じゃぁ小道具見ていきますか。私このあたりチェックするので。木佐山さんはこれで、りん、草加君はこのあたりお願いいします」
いま普通に素がでそうだったな。こっちがぼろ出さなければ安全といっていたがもうピンチだろ。
手分けして作業を始める。こうして真面目に作業をする部分だけを見れば木佐山もだいぶちゃんとした性格をしている。椎崎がからまなければいいやつだと思う。
椎崎はいつも通りだな。もくもくと仕事をこなしているし。
「あの草加くん。ちょっといいですか?」
木佐山が声をかけてくる。
「どうした?」
「その棚の上の段ボールとってくれません」
「わかった」
高い位置にあるものを取るよう頼まれる。
「ほらよ」
「ありがとうがございます。ついでに一緒に見ませんか?」
「いいけど」
なんだろう。この寒気がする雰囲気。
「ところで私の椎崎様と仲いいそうですね」
背筋が凍った。彼女は俺と椎崎の関係に気づいたのだろうか。
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