第75話 嫉妬の椎崎さん
ようやくアパートに着くころだ思ったよりアパートまで遠かったな。
近づくにつれて違和感を感じ始める。なんで俺の部屋に明かりがともされているんだ。そして、なんで隣の椎崎の部屋の明かりがついていないないんだ。俺は今日夜いないといっていたはずだが。鍵を渡しているとはいえなんで俺の部屋にいるんだよ。
階段を急いで渡り扉に手を添える。しっかりと施錠はされていた。鍵を開け扉を開ける。
「おかえりなさい」
何の違和感も見せず椎崎が目の前にいる。
「なんでいるんだ?」
「いいじゃないですか。鍵持ってるんですし」
俺のプライバシーは守られないようだ。
「さすがにひく」
「…だって。学校じゃお話しするのも周りの目を気にしてしまいますし。大和君みたいにあんな気軽に話せたらいいのに」
大和に嫉妬したようだ。
「さすがに異性とすぐに仲良くなったらまずいだろ。とくにお前と仲良くなるのは影響力考えたらまずいだろ」
「わかってます。だから今この状況なんですよ!」
これが椎崎クオリティといえばいいのだろうか。
「で、夕食は無理だぞ」
「わかっています。一緒にいるだけでいいんです」
「そういうこと言うな。普通の男なら意識するぞ」
俺は椎崎へ友人としての感情は持っていてもそれを超えるものはない。だが世の男性の一派論は好意的と思わせる発言。
「あなただからしてるんですよ」
さらに照れて顔を赤くする。まったく。
荷物を置きソファーに座ると横に座ってくる。
「近いんだけど」
「一緒にテレビ見るのですからしかたないでしょ」
こういう展開になって何もときめかない俺は大丈夫なのだろうか。これでまだ1ヶ月程度の関係だからなんだよな。
「お前さ。出会った最初に比べたらだいぶ感情見せるようになったよな」
「そうですか?私は変わりませんよ。健太郎君こそ最初は怖そうだったのに今では常に冷静な人になりましたよね」
「俺は普段からこうなんだ。お前らが勝手にそういう意識してただけだろ」
俺も変わったことはない。変化があるとすれば人への警戒がゆるくなったことくらいだ。
「ほんとに友達出来てよかったです」
「いっぱいいるだろお前は」
「みんな私だから好きになっただけです。容姿も成績も優秀。もし私よりも上がいたらぼっちですよ」
一気に暗くなる。椎崎は優秀なのは誰とでも仲良くできること。たとえ椎崎から見た目や勉強面がダメになってもこの能力があれば友達は簡単に作れると思う。
「悪かった。許可したくもないが、勝手に俺の部屋にいても今後は何も言わないでやる」
「ほんとですか!!よかったです!」
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