第156話 琴音の隠し事

「じゃーね。お兄ちゃん 。また明日!」

 ずっとうるさかった琴音がようやく美咲の部屋にいった。俺の部屋はまた静かな部屋になるから一息つける。

 美咲のファインプレイのおかげでどうにか琴音に記憶のことはばれずに済んだ。ファインプレイすぎて付き合っていると勘違いされてしまったがとりあえずよかった。

琴音はあいかわらず元気だな。嫌われて陸上をやめたあいつ。引きこもり気味と聞いて様子を見に戻ったときはまるで別人のようだった。話を聞いて一緒に遊んだあいつが回復したときはうれしかったな。ま、そのあと俺がやらかしたせいで俺が孤立したんだけど…。美咲はある意味俺たち兄妹どちらも救ったことになるのか。ほんとあざす。

 美咲はちゃんと後片付けをしてくれたから片づけはそこまでせず寝れると思った。だが、琴音は違ったがさつで使ったものはおきっぱなし。部屋にいた短時間でおかしいほど荒らしていた。

 リュックも最低限のものだけをもって投げっぱなしにしている。これを片付けないといけないのか。めどくさいな。


 とりあえず俺の部屋にあったやつから片すとするか。本を棚に並べなおし捨てたお菓子の紙袋をゴミ箱に入れる。タオルは洗濯機にいれていく。ほんとどうやったらここまでちらかすことができるのだろうか。美咲に勉強だけでなく整理整頓力も身に着けてほしいものだ。


 一通り部屋が片付いた。次はリュックの整理だな。これに関しては外に出したものをリュックに入れるだけでいいだろう。

 リュックの中を入れているときにおれは一つの袋をみつけた。中にはテーピングに痛み止めが入っていた。痛み止めにかんしては市販のでなくしっかり病院から処方されているものだ。これを見ただけで胸騒ぎがする。あいつなら小さな痛みだけで医者にいくわけがない。どこか呼称したのだろうかと心配になってくる。

「ごめんお兄ちゃん忘れ物…」

 タイミング悪くその袋を手に持っているときに琴音が戻ってきてしまった。

「お前これどういうことだ」

 正直。琴音がけがをしている可能性がある部分限られている。俺に隠すということはそれほど大切な部分である。

「予防だよ。ほら私有名人だからみんなの期待に応えないとだし」

 琴音なら予防で医者に行くわけないし、有名という言葉に興味がないはずだ。とくにけがを認めるような行動をするわけがない。

「忘れものってこれだろ。どこが痛いんだ?」

「返して!!」

 琴音がとびかかってくる。のしかかってきたせいで手をはなしてしまい袋を奪われた。

「ほんとに何でもないから気にしないで。私は元気だから」

 走って逃げて出した。あいつ。俺に靴とかをわたしのは勉強って理由だけじゃないだろ。だが、今は追及しないでおこう。今は勉強に集中させるのが先決だ。

「あぶないあと少しで限界だった」

 外に出た少女のあしの震えは止まらなかった。

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