第157話 勉強会スタート
今日から二人の勉強会が始まる。今目の前で勉強が始まる。俺の部屋で。
普通なら寝て起きたまま美咲の部屋でやるだろう。俺はそう思っていて気を抜いていた。だが状況が違った。
「私の部屋で集中できるとでも?こういう何もない部屋の方がいいんですよ」
という美咲の言い分の結果、俺の部屋を占領されたので。琴音とは目があっていない。昨日のこともあり少し複雑な関係になってしまっている。
「美咲さんよろしくお願いします」
俺の横を通るときも顔をそらしながら歩く。
「俺外出てていいか?」
正直二人が勉強に励んでいる間、俺は暇だ。しかも音を立てることすらできない。こんな場でずっと座っているなど耐えれることができない。
「ダメです。今日はここにいてください」
美咲にすぐに却下された
「いて、いいから」
それに便乗して琴音も了承をする。
「とりあえずどこから手を付けますか?」
「え、と数学からで」
そっとリュックの中のファイルから数学のテストをだしてくる。
「よくこれでここを受けようと思いましたね」
ちらっと見ると正確な数字はわからなかったが二桁目は2だったつまり20点代である。
「まぁいいでしょう。早速やりますか」
美咲が袋から分厚いプリントをだしてきた。
「とりあえず。これ全部できるようにしましょうか。二日で」
「え、と」
琴音も戸惑っている。
「おいさすがに二日」
「あなたは黙っていてください」
さすがの難易度だし琴音の心が折れると思い止めようとしたが速攻で否定された。介入できないってことは本当に俺座ってるだけになるじゃん。つら。
「ここ間違ってます。この公式を使って」
「はい」
だいぶ悲惨な状況だプリントをたった一枚をクリアするのにもものすごい時間が必要になっている。これで二日で仕上げるとか鬼すぎる。
美咲の一方射撃はだんだんと琴音の元気をそいでいく。美咲に任せた時点である程度覚悟はしていたが、琴音の実力をしっているからこそ手抜きはまったくなさそうだ。
「さっきここと同じ公式使いましたよね」
「ごめんなさい」
空気がピリつきが止まらない。美咲はだんだんと機嫌が悪くなっている。
「まったく。諦めるなら」
「そんなことするわけないじゃん。もっと厳しくてもいいよ」
だが折れていたと思われた琴音の心は全然折れていなかった。
「そうですか。なら進めます」
美咲の勢いは止まることをしらない。琴音がまだ大丈夫と分かった瞬間さらにペースがあがる。
「ここ」
「は、これと同じですよね」
そして次第に順応を始めた。
「そうです」
初めは一方的な攻撃を受けてきた琴音だったが、その傷は無駄にしていなかった。約二時間受けたダメージは力に変わり次第に似た公式を使う問題は当ててきている。
「それでいいです。いったん休みますか」
「あー!!つかれた!!お兄ちゃん体かして」
今日初めての話しかけ来た。
「お、おう」
俺は琴音に近づく。すると座るように指示された。いわれた通り座る。
すると足に頭を倒してきた。
「少し寝る!!時間なったら起こしてお休み」
すぐに眠りについた。
「さすがに無理させすぎたかもですね。でもまぁ。あなたがいれば問題なさそうですね」
「お前そのために俺を残したのか?」
「もちろん。こうなることは予想できていたので、スタミナ回復用のアイテムが必要でした」
まるでアプリゲームやってるようだな。
「で、どうだ?」
「間に合わない可能性はあっても不可能ではないですね。あの勢いがあればある程度は問題ないです」
自分の言葉に自信は持っていないようだ。
「懸念点は?」
「圧倒的に時間が足りないです。どこかの教科で挽回できなければ目標達成はありえないです」
時間か。もうあんまりないもんな。
「とりまできるとこまでは頼む。努力した実績だけでもこいつを変えると思うから」
「そうですね。手は抜きません」
本気の美咲はやはり怖い。
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