第23話 双葉と2人

 今日はどこか双葉の元気がなかったように思える。誰かの終わりを連想させる絵しか書けない。絵が好きだから辛いことはあるのだろう。

「いやー今日はたくさん声かけられてさ」

 俺といる時は無理をして笑顔を見せるようにしているのが伝わる。男女で別教室の授業の時に教室に戻ると下を向いている。声をかけられたのは事実だろうが、下を向いてる時の空気は誰も声をかけられない空間を形成してるようだった。

「その調子で友達作れよ」


「友達か…」

 双葉のコミュニケーション能力を考えても仲を深めるのは簡単な気がする。だが、俺以外の誰かと交友関係を結ぶことにはどこか抵抗をもたれている。

  転校してすぐ生まれたクラスメイトとの距離。それは時間とともに彼女への偏見から生まれた。だが今は興味へと変わりつつある。仲を深めるには今が絶好のチャンスである。

「俺のことは気にするな。元々話す奴もそんないなかったし」

 こいつがクラスに馴染めない原因があるとすれば俺と出会ったこと。俺が懸念点になるのはごめんだ。

「大丈夫。たとえ友達できてもりんくんとは仲良くし続けるから。あ、!今日暇?」

 急に大きな声をあげる。

「暇だけど」

「だったらさ。私と付き合って!」

 いきなりの告白に心拍数が上がるとともに頭の中が真っ白になった。正直こんなどうでもいいタイミングで告白をしてきたのだから。

「ま、まてそういうのはだな」

「え、えーと。は!ちがうちがうから!!」

 双葉も自分の発言について理解し顔を真っ赤にする。

「ほんとに違うの!ゲーセン。ゲーセンに付き合ってほしいだけだから」

 ものすごいいきおいで訂正をしてくる。告白なれをしてせいもあって一瞬でも本気で考えてしまった。

「そういうことか」

 ため息をつく。

「それなら別にいいぞ」

 飯までは帰るだろうかいちおう椎崎には連絡しておかないとだな。

「よかったー。私UFOキャッチャー苦手だからさ手伝ってくれるとうれしい」

「何か欲しいのがあるのか?」

「うん!今日からなんだけど人気だからすぐになるかもしれないんだよね。だからなるべく今日取りに行きたいの」

 最近のトレンドを全く知らないから人気と言われても思い浮かぶものはない。彼女がこれほど熱を持っているということはそれほど可愛いさかかっこよさがあるキャラなのだろう。

「わかった。じゃあ行くか」

「やったー!!」

 そしてゲームセンターで見た光景は驚愕なモノだった。

「お前これなんだ?」

「腐った植物シリーズのぬいぐるみだよ?」

 目の前にあるグッズば体かを原型を変えず動く生き物に変わったようなモノだ。かいわくないしカッコ良くもない。本当にこれ人気なのだろうか。

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