第191話 朝が早すぎる
大晦日と言うことは今日はスタートもゆっくりだろうと思い二度寝を始めようとしていた。
すると上から何かが乗ってくる感じがした。
「ほら起きろーでかけるよ」
その声からして琴音だった。昨日は美咲の家にいたからしばらくはゆっくりできると思っていたが甘かった。琴音は大晦日とか気にせずいつも通り朝が早かったんだった。
「美咲は?」
「まだ寝てるよ」
どうやら近くで寝ていた美咲よりも隣の部屋の俺を起こしにきたようだ。
「美咲起きたら起きるわ」
とりあえず俺も少しでも睡眠時間がほしい。日頃の疲れを解消させてくれとねがった。
「それ無限ループになるじゃん!私。さっき美咲さんからりんにい起きたら起きるって言われたばかりなんでけど」
すでに、美咲から起きることを拒否されていたようだ。つまり今おれと美咲はWINWINの状況どちらかが起きなければずっと寝ることができる。それを俺も美咲も望んでいる。
「わかったなら、適当に起きる」
「だ、か、ら。早く出かけようよ!午後からだと混むからさ」
無理に布団剥がそうとしてくる。もちろん俺は抵抗する。思ったより力はあったが相手は女子だそう簡単に負けるわけがない。
「やるねにんにい」
なぜか琴音のやる気が満ち溢れてきた。
琴音は一向に辞めようとせずずっと引っ張り続ける。俺も負けずと頑張っている。
少したつと急に手を離してきた。
「もういいや」
ようやく諦めたようだ。これで眠れる。そう思っていた。だが、なぜか眠気が覚めてしまっている。
「どうする?」
琴音に完全に読まれていた。彼女は布団を使って俺を動かさせていた。力を入れ続けることである筋トレ程度にはなる。そのせいで目が覚めてしまったのだ。
「わかった。起きればいいんだろ」
このまま布団に入ってても寝れなくて変な気持ちになるし起きることにした。
「よし。美咲さん起こしてくる!!」
いつも以上にテンションが高い。今日勉強がないからだろうか。美咲を起こしに部屋から出て行く琴音。俺は次こっちにくるまでに着替える必要があった。
本当ならまだ寝ているはずだった今日。まさかこんな早々に起こされて出かけることになるとは。遅寝早起きはほんとしんどいな。
それから1時間程度たっただがいまだに来ない。俺は準備をとっくの昔に終えていると言うのにどう言うことだよと思った。
「待たせたな!りんにい」
どこか勇ましく琴音が入ってくる。
「いくよ」
まだ美咲の姿はなかったが準備できたようだ。バックをまた外に向かった。
扉を開けると目知らぬ女性がいた。髪は短くメガネをかけている。服装は厚着で口元はマフラーで隠しているようだ。
「誰」
すごい本人には失礼だがつい本音が漏れた。
「美咲さん」
琴音の一言に驚きを隠さなかった全然イメージが違う。そもそもさあいつはロングヘアーだったはずだ。
「きったのか?」
「フェイクボブっていうそうです。流石にいつも通りで誰かに見られたら大変ですからね。それで、綺麗にまとまらなくて時間かかりました」
今の美咲を美咲だと判断できる人間はそんなにいないだろう。これならバレないと確信が持てた。
「いいじゃん似合ってる」
「ありがとうございます」
「よじじゃあいきますか!!ノープラン買い物!!」
出かける場所もノープランだったようだ。また、俺は何も知らずについていくことになるのか。
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