第159話 勉強はランニング理論

 昼飯をとってから琴音はさらに書き進めていた。だんだんと正確にさらにペースを上げてだ。俺の知らない琴音の才能が開花させたようだな。

「美咲さんここ教えてください」

 何よりすごいのはわからないことを的確に見抜いている。

「あ、ここはですね」

 完全に琴音のペースに変わり教える側だったは質問をされると驚き一瞬戸惑いをみせるようになった。

「なるほど。ありがとうございます」

 理解力も早くなり簡単な解説を聞くだけで理解して書き進めていた。


 そして圧倒いまに夕方を迎えた。

「今日はここまでにしますよ」

 時間を見てプリントを終えたきりのいいタイミングで美咲が止めにかかる。ちょうど三分の一が終わったところだな。

「あと一枚」

 だが琴音はプリントに手を置く。

「ダメです。さっきまででも過剰だったのに明日に響きます」

「そうですね」

 終わったと実感して力を抜いた瞬間、自然と体が崩れ仰向けに体制になった。

「あれ?」

 起き上がろうとしても力がうまく入らないでいる。

「あはは。もう力入んないな」

 疲れてもう限界なはずなのに琴音はかすかな笑顔を見せている。やりきった感じか。

「夜何にしますか?」

「なんでもいいや。今は体に入るもの。あ、緑の野菜は禁止で。人参とかは我慢して食べます」

 しっかりと嫌いなものは省いている。

「そうですね。丼物とか食べれますか?」

「余裕です。あとお兄ちゃん枕になって」

 俺はいつでもお前の枕なことにはかわらないようだな。今日は頑張ったし別にいいけど。琴音に近づき琴音の頭をのせた。

「ありがとう」

「お前なんであそこまでできるんだよ」

「え、と。ペンを走らせただけだよ」

 何を当然化のように回答してるんだよ。わかんねーよ。

「それは当たり前だよ。なんで解けたんだと聞いてんだ」

「簡単だよ。ペンを走らせたの。ほら私って走ってるときが一番じゃん。だからねランニングと同じように先頭に立つ勉強をペンを走らせて抜いていたの」

 いいたいことはだいたい理解したがそれでも何をいってるかわからない。

「それって、お前の長距離走のセンスを生かして問題をといたと?」

「そう。あとは繰り返すだけで体覚えるじゃん」

 なるほど。こいつまじでやばいやつだな。

「つまり、頭で覚えたんじゃなくて体で覚えたと」

「そ。私。抜くと決めた選手のこと忘れたことないから。勉強の方もそう簡単に忘れないと思うよ」

 本当だけで勉強を進める奴なんているのか。俺はしらない。不可能だろ。だがそれをやっている。そのぶん走っているときと同じくらい集中してつねに相手と戦っている状態。だからこそ。この疲れのたまりようってことか。

「飯できたら起こすから寝ろ」

「わかった。ごめんね。ちゃんと覚悟できたら話すから」

 琴音は眠りについた。例のことについてはまだ根に持っているようだ。だったら琴音が話そうと思ったときに聞けばいいか。 

 

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