第169話
走っていき電車に乗った。なぜか駅がだいぶ混んでいた。
外はもう暗くなってきている。だいぶ冷え込んできたな。
「どこ向かうんだ」
「え。もしかして気づいてないの?」
双葉に驚かれる。あたりを見回してわかっていることは今電車の中にカップルが多いことだけだ。
「なんのことだ」
「はぁ。せっかく声がかかったから最後だけは決めてたのに」
なんでため息をつかれているのだろうか。今日は冬休み二日目の12月24日。それだけだろ。
「りんくんって行事に興味ないタイプ?」
行事という一言に少し考える。大体この時期は琴音の冬駅伝お疲れ会をして信念マラソンに向けて走っていることが多いからな。
「悪いな。冬休みはほとんど家族ですごしていてな。だいぶうとい」
あきれた表情を見せる双葉。
「今日はさ。クリスマス・イブだよ」
聞いたことある行事だ。あの行事はサンタとともに消滅したと思っていた。
「あったなそんな日」
「だからイルミネーション見に行こうと思って」
そう言った場所にはあまり行ったことがなかった。家族でそういうのを好む人はいなかったし。琴音に誘われれば行っていただろうが。
イルミネーションに行くと聞いて今の光景に納得いく。カップルがそいう場に行くのは想像がつくからだ。
「なるほどな」
「りんくんが暇でよかった。本音いうとさ今日遊びに行きたかったから。久しぶりに想いでの場所も行けてよかったよ。ほんとありがとう」
「また来たくなったらいつでも呼べ。予定がない限りは付き合ってやる」
今回一番理解したことは双葉は強い女であることだ。だが、それは諸刃の剣。強くても友人との問題があるだけで簡単に折れてしまう。だからこそ、俺に依存をしていた。それは双葉にとってはただの好意だ。しつこいとしても双葉には付き合ってやらんとならないな。
「うん!その時はお願いね」
電車が強く揺れだした互いにふらついてしまう。
「うわ!」
双葉がころびそうになる。
「ったく」
すぐさま手を伸ばし腕をつかんで引っ張り上げる。
「混んでるし危ないから手つないでおくぞ」
「え、う、うん」
照れた様子を見せながらも手を強く握ってくる。その手は冷えて冷たい。
普段であれば多少抵抗をもつかもしれないがカップルが多い中なら違和感ないだろうし、むしろこっちの方が自然体にも思える。
「りんくんのて温かい~」
「お前が冷たすぎるんだ。っまじっくり温まるんだな」
「ありがとう」
今日の最後はイルミネーションか。それを目的としていくの初めてだし楽しみだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます