第168話 カフェの時間

 陽の光がやわらかく差し込むおしゃれなカフェ。木製の家具と温かみのあるインテリアが広がり、リラックスした雰囲気が漂っている。壁には緑豊かな植物が飾られ、天井からはレトロなペンダントライトが優しい光を放っている。ショッピングモールとしてはクオリティが高い。

 窓際の席に双葉と座る。すでに期待が高まっている。

 コーヒーとケーキを頼み待っている。

「ここ、すごく落ち着く場所なんだよね」

「それはよかった」

 すでに双葉が落ち着ける場所であるだけで安心してしまう。俺もつい力を抜いてしまう。


 そしてコーヒーが運ばれた。

 双葉はカップを手に取り、クリーミーなラテアートを見つめながら言った。

「やっぱりいいにおい。ここのケーキは甘くておすすめだよ!」

 双葉のわくわく感が止まらないことがすぐにわかる。好きな場所はあまりないと思っていたから食べる前にここまで絶賛するのに少し驚いてはいるが。

 窓の外に目をやった。外の通りには、緑の街路樹と散歩する人々がゆっくりと流れている。

「こういう場所って、時間がゆっくり流れる感じするじゃん。普段だとほら辛かったけどここでは終わらないでほしいって思うんだよね。」

 ラテアートを崩さないように一口飲む。俺は思わず笑みをみせ

「そうだったのかもな。だが、双葉といると時間あっという間に感じる」

 と言う。二学期の充実した日々はほんとにあっという間だったから。彼女は少し照れくさそうに笑った。

「なんかそう言ってもらえると嬉しいな。でもさ。りんくんは無理するから早く過ぎるんだと思うよ。ちゃんと休めてる?」

 双葉が気遣うように尋ねる。

「うん、まあな。だがそんな忙しい時間もお前らと出会わなければ絶対なかったと思う。そう考えたらほんといい友達に出会えたよ。」

 彼は軽く肩をすくめながら言う。彼女はその言葉に安心したように微笑んだ。

 楽しい時間というのには変わりないが双葉とここまで気を抜いてはらわっていろいろ話したのは初めてだったな。町の効果だろうか。


 しばらくして、彼女がふと時計を見て、「あ、もうこんな時間!」と驚いた。

 想像以上にじかなすぎるのは早かった。

「夜に予定でもあるのか?」

「違わないけど違うっていうか。その。夜も暇?」

 さっきまでの落ち着いた感じとは真逆に焦っている。

「暇だけど」

「よかった。ならもう一つ行きたいとこあるからついてきて!」

 少し急ぎ足でケーキを食べコーヒーを飲み外に出た。

 カフェを後にした2人は、静かに夕暮れの街を歩き出した。最後はどこにいくのだろうか。

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