第237話 双葉の崩れ
双葉との変な別れ方をしたあとそのままアパートの方に帰っていった。家に着くとすでに美咲が部屋にいた。
「ただいま」
こっちはこちでかなり安定して部屋に居座るようになったきがする。
「おかえりなさい」
もはや二人で住んでいるのではないかと錯覚するくらい自然体だ。俺もすでに美咲が家にいることを不思議に感じなくなっているのが怖い。
「今日の夜は何がいいですか?いろいろ買ったので割と何でもできますよ」
まだ料理は開始していなかったようだ。美咲の買い出しの手伝いをしたし、レパートリーが広いのはわかる。だが、
「なんでもいい」
今の俺は少し機嫌がよくない。そのため、夕食を考える気にならない。
「そうですか」
だが、俺の一言に特に気にすることもなく冷蔵庫をあさりだす美咲。
「どうしたんですか?めずらしくいらいらして。あなたをイラつかせるような友達でもできましたか?」
いつも通り心配はしてなさそうだ。心配してるように見せるための定型文を読んでいるだけで感情が何もない。
「別に」
そっけなく美咲に返す。
「双葉さんと喧嘩でもしたって感じですか」
すぐに見破られてしまった。俺が双葉と帰っていることを知っていれば当たり前か。
「そうだよ」
「素直ですね」
「隠しても意味ないからな」
「それで何があった・・・どうせ答えないと思うのでやっぱりいいです」
勝手に何かを察する美咲。まぁ何があったか聞かれたところで「お前に関係ないだろ」と返す予定だったからそれが省けたってわけだ。
「答える気ねーよ。ほっとけ」
「意見の食い違い。または互いに自分の意見を押し付けあってるという感じでしょうか」
「…」
美咲の推測がその通りすぎて返す言葉がない。
「図星ですね。あっちだけだと思ったらあなたもでしたか」
そして美咲から妙なことが飛んできた。
「俺もってなんだよ」
まるで双葉がそうであったことを知っていたかのようないいようだ。
「あなたと一緒にいないとき双葉さんふらついていたんです。なんでかはよくわかりませんが人にぶつかっても気づいてないようで。周りはうざがってましたね」
不安定だったてことか。それを考えるとやはりかなりの負担をかかえていたのだろうな。俺といただけでストレスになって、不安定になっていく。
「やっぱりか。ったく。俺といたらやぱだめじゃねーか」
これをした以上、双葉と一緒にいる理由はなくなった。他人以上友達未満の関係になるのが一番だ。
「え、と馬鹿ですか?」
すると美咲から強烈な一言が飛んでくる。
「馬鹿だよもんくあるか?」
「いや、頭脳に難があるのはもちろん把握してますけど。そういう意味合いでないです。なんで彼女のことを考えないんですか?」
どうやら美咲は俺のやろうとしていることは逆効果であるといいたいようだ。意味がわからない。俺がやっていることがあっている。
「あいつが苦しんでいるのは俺のせいだろ。だったら俺が離れれば自然とあいつは回復する。当然の結果だろ」
俺は美咲に自分の意見をすべて飛ばした。俺は双葉を半年みてきた。だから美咲よりもあいつのことをよく知っている。ほとんど会話をしてない美咲になぜ否定される。
「一点目。なんで、自分の意見が正しいと思うのか」
すると美咲が淡々と否定する理由を話し出す。
「二点目。自己中な意見は相手を苦しめます。三点目。ここで彼女から離れるということはただの逃げです。彼女を孤独にするだけ。よん」
「っちょっとまて。さすがにおおい」
さすがに数が多すぎてダメージがでかい。
「そうですか?まだまだありますけどまぁいいでしょ。全部ひっくるめて言うと。余計なお世話。です。双葉さんがそうなったら理由も知らないしあなたたちがどれくらい仲いいかもわかりません。ですが、双葉さんがどんなにつらくてくるしくても倫太郎君と一緒にいたいからいる。あなたはそんな彼女と一緒にいることが一番の支えです」
他人のことを理解しようとしない美咲からかなり強烈な言葉をいただいた。その言葉にはどこか懐かしさも感じてくる。なんせ俺が美咲に友達になるようにしようかと提案されたときに「余計なお世話だ」といったからだ。他人に関心がなかった時一人でも構わないと思った。双葉逆なのだ。俺と雰囲気が悪くなって確かにつらいこともある。だが、それ以上に俺と離れるのが嫌。昨日の話を聞いて俺と一緒にいるという意味に別の要素が入ったのかもしれないがそれでも、俺といたいと思ってくれた。辛かろうがどうなろうが、その気持ちを信じたんだ双葉は。
「まさかお前から説教をうけるとはな。ありがと。もう少し向き合ってみる」
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