化けた狐編
第216話 三学期美咲との朝
そして次の日になった。あのあとは美咲も休むということで夕食は別々とした。そこからは何も知らない。
そして朝を迎えた。また学校が始まる。めんどうではあるが、行くとするか。双葉たちが心配するだろうし。
扉を開け外に出た。さすがに美咲と一緒になることはなさそうだ。それはそれでいいか。こうやって一人になるのも新鮮な気がする。なんやかんや冬休みの9割近くは美咲と琴音が一緒だったし。やはりこっちの方が楽ではあるな。
そして何も考えず進んでいくと後ろ背中が見えてきた。美咲のようだな。ま、築かれて話しかけられたところで途中で離れることになるだろうし、このまま一定の距離をともっている保っていくか、途中で道を変えるとしよう。学校が始まってしまえば俺と美咲の関係は元に戻る。また、ほぼ他人の状態を保たないと。
歩いている途中で美咲が足を止めた。それに合わせて俺も足をとめる。めんどうだが、美咲と今の距離感は保たないと。
そう思っていたが美咲が振り返ってきた。気づかれていたようだ。そのため仕方なく美咲に近づいた。
「おはようございます」
「おはよ」
いつも通り挨拶を交わす。美咲がリスクを考えても俺に接触しようとしたってことは何かありそうだな。
「今日買い物に付き合ってくれます?冷蔵庫からなので」
正月シーズンの買い物をしていらい出かけていない。そのため、食材をきらしていても不思議じゃない。たまたまとはいえ、俺に頼んできたということはちゃんと買い揃えるのだろう。
「いいぞ」
すぐに了承した。断る理由がない。琴音のけんでものすごくお世話になったわけだし。
「ありがとうございます。では放課後。直接いつものスーパーでいいですか?」
美咲はいつも通りだ。俺と一緒にいるときの力を抜いた状態。表情はないためどういう意図で話しているのかは全く分からない。正直作った笑顔をさせるよりはさげすまれているほうがいつもの美咲で落ち着く。
「それなんだ?」
美咲がいつもつけている気がしない青いブレストレットが気になってしまった。小さなたまがつながっていてすごくきれいだ。
「昨日家に帰ったらお礼の手紙と一緒に入っていたんです。おそらく琴音さんからですね」
軽くブレスレットを触る。気に入っているようだな。
琴音からと聞いて少し驚いてはいる。なんせ。琴音がこういうセンスをしているとは思えない。もっと運動っぽいもののような気がする。また、俺の知らない琴音の姿なのか。美咲はかわいいものが好きだし気に入っているようだな。
「そうなんだな。放課後終わったらな。そろそろ離れないと」
だんだんと校門が近づいてきている。正直今でもグレーであり、誰かに見られたら危ないとこまできている。そろそろ離れないとさらに危険度が上がってしまう。
「そうですね。私が先に行きますのでごゆっくり」
そう聞いた俺は足を止めた。美咲を先に行かせて校門に入ったのを確認してから俺が入るとしよう。
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