第89話 修復不可能
「じゃ。頑張ってね」
「おう」
いい感じの時間となりステージの準備の時間と来た。少ない時間だったがいがいと有意義な時間だったと思う。
ここからは嫌な仕事だ。ここまで真面目にしてきたんだし別にいいか。最後まで楽しく終わるとするか。
「ハロー」
そんなやる気に満ち溢れた俺の目の前に大きな大きな壁がはばんできた。もう声を聴いただけで胸騒ぎをしてしまう。そう目の前には準レギュラーとよんでいいほど俺と遭遇している椎崎薫さん。つまり椎崎姉が笑顔で近づいてきた。
「俺仕事あるんでようがあるなら」
「大丈夫。少し聞きに来ただけだから。君がちゃんと答えたら1分で終わる」
「なんですか」
この人がその程度で俺に会いに来たということはだいぶしっかりしたことだろう。それも誰と関連しているか。近辺のこと考えても思い浮かぶの一人だけだ。
「美咲ちゃんに何したの?私でもあそこまで修復できない状態にしたことない」
まただ。
「知りませんよ。そもそもその修復ってなんですか?」
「言葉のまんま。不安定なあの子を正している」
だとしたら表現の仕方が悪すぎるだろ。サポートとか支援とかカウンセリングとかもっといい響きの言葉あるだろ。だが納得はできる。
「だから不安定だったんですか」
この姉が手に負えない状態。それほどあいつは自分を追い込んでいた。
「きっかけ多分君と私は仮定してる」
「原因があるとすれば、あなたのいう候補から俺が外れたくらいですかね」
言葉にはうまくできない。何が原因でおかしくなったか俺も正直わからん。だがもし俺がきっかけとして椎崎姉に理解させるにはちょうどいい言葉だろう。
「なるほどね。君が無責任なことをしたってことね」
「あながち間違っちゃいない」
「わかったありがとう」
ほんとに質問を返答しただけで終わりなのか。
「ちなみに君のいうことは間違っている。もし本当に候補から外れたのならもう回復している。どんな気持ちになってるかは知らないけど、修復できないってことは君のことを考えているってこと。本当に終わらせたいならまだ足りないってことだけ教えてあげる」
「なにがいいたいんですか?」
「話してもいいけど、間に合う?君仕事があるんでしょ」
そこまで読んでの助言ってことか。さすがにこのまま話したら間に合わない。ここまできて仕事をおろそかにできない。
「これだけ教えてください。あなたは味方ですか?」
「どっちでもない。私にプラスになることの味方。今の君は…面白くないから味方でないかな。味方にしたかったらもっと面白いの待ってるよ」
なるべくいいように考えて敵でもないと思っておこう。この人が敵でないのなら、状況に応じて味方であるのであればそれは俺からしたら大きな武器にできるということだ。
「とどめ刺したらちゃんと正常にしてやってくださいよ」
「期待して待ってるよ」
この余裕。すべて読まれてるだろうな。待ってる。この言葉ほど自身につながるものもない。アドバイスはもらった終わらせるための武器も状況ももってこいだ。
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