第43話 同類
足の痛みに耐えながらなんとか学校にたどり着いた俺。いつもなら余裕の時間帯でも今日のゆっくりペースでは学校に着くのが結構ギリギリだった。
「おはようございます」
椎崎が声をかけてくる。どこかふらついてる。
「すいません」
そして俺にぶつかる。
「別に大丈夫だ。でも学校だとまずいだろ」
今のを誰かに見られでもしたら大問題になりかねない。
「まだ誰も来てないですしこれくらい大丈夫ですよ。おそらく…」
いつもなら俺よりも先に学校に来ている。だが今日は俺の後ろから現れた。
「今日寝坊しまして。そのせいで学校に向かう前にあなたにお願いできなかったんです」
俺にお願い。つまり自分の品格を落とさないように立ち振る舞ってほしいってことだろうな。
「今日は何をすればいい」
「あのですね。足が痛くてですね…」
なるほどこいつも筋肉痛か。なら、俺学校休んでも問題なかったじゃーねか。
「そこをカバーするとなると接触が必要だろ。結構厳しくないか?」
身体的問題は遠距離支援ではなにもできない。けがを隠すよりもけがを偽装させた方が楽であり、それは俺がぶつかるだけで解決できる。だが、椎崎にこの意見をいったら拒否するだろうからな。こまったな。
「ですよね。学校は休みたくなかったのできたんですけどね…。やはりわざと転んだらして保健室に行くとしますか」
いつもとどこか様子が違う。どちらかというと筋肉痛がバレたくないのとは別な理由がある気がする。
「とりあえずだ普段通り過ごしてやばいと思ったらいけばいいだろうよ。俺もうまく仕向けれるよう考えておく」
「お願いします」
教室で席に着き椎崎の今後を考える。楽なのはやはり、俺が手を出すことだろう。ぶつかるとかでも効果はある。確実に薄くなりかけた俺への悪イメージが再発するのは確実だし。
「椎崎さん足痛いんですか?」
窓からは椎崎を囲む男どもが見えた。
「ちょっと捻りまして」
あっさり認めている。ならなぜ俺にお願いをしてきたのだろうか。
「バッグ持ちましょうか?」
点数稼ぎにしか見えないのだが。そんなことをしたとしても椎崎には何も響いてないっていうのに。
「大丈夫です」
ふらつきながらも男たちを払い教室に入っていく。もはや隠すそぶりも見せない。俺と話しても隠すのが難しいと思ったのだろうか。それとも何か別の意図があって俺に話したのだろうか。
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