第70話 木佐山行動に出る。
学校に着いてからが大変だ。木佐山が俺に付きまとう予告を椎崎からされたし。何もなければいいのだが。
そんな思った矢先俺は驚きを隠せなかった。登校の道中である。
「おはようございます」
昨日別れた場所にどうどうと木佐山が待っていた。隠密行動はせず堂々とした公開調査。驚きもあきれも感じてしまう。
「何してんだお前」
ここで知っているかのように立ち振る舞ってしまうと椎崎から聞いていることがばれてしまうため何も知らないように接する。
「昨日許可をいただいたので今日からはなるべく一緒に過ごそうかと」
「お前暇人だな」
「椎崎様からのご命令が最優先ですから。でも安心してください。あなたに実害のでるような行動はしませんので」
「学校ではどうするんだ?」
「昨日仲良くなった人としてふるまいます。大和さんは実行委員ですし察しがつくと思います。双葉さんには…まぁばれることはないでしょう」
双葉かわいそうに。単純だと思われているようだ。
「もう勝手にしてくれ」
「いわれなくてもそうします。椎崎様に伺ってると思いますが変な行動は控えることをおすすめします」
こっちがどんなに否定のほうでいたとしても自分の意見を曲げず俺が全て椎崎から聞いてると思って行動するようだな。
信頼。木佐山を味方につけるのは正直最善である。信頼を得るのはだいぶ難しい気がするがなんとか信頼してもらえるよう頑張ろう。
「そろそろ双葉さんが来ます。こちらが動かすのであなたは普段通りにしてください」
普段通りって。それよりなんで双葉がくるのまで予想してるんだよ。
「りんくんおはよ!」
本当にすぐにきた。
「え、と誰だっけ」
「同じクラスの木佐山です。昨日、実行委員の仕事で草加くんの魅力に気づき一緒に登校しようといいました。双葉さんとも仲良くしたいです!」
木佐山も自分を変化させる技の持ち主だったか。テンションの高い双葉に合わせた性格になってやがる。椎崎への観察眼で身に着けた能力かもしれない。
「え、りんくんほんとなの?」
「そういうことだ。木佐山は仕事に積極的で俺よりもずっと実行言いにむいてた。話しやすいしお前とも仲良くしてくれたらうれしい」
とりあえずは木佐山の作に乗ることにする。
「そうなんだ。りんくんの理科者がまた増えてうれしいよ。よろしくね!」
双葉は笑顔を見せる。
まぁそうだろうな。大体予想できる展開だ。
「木佐山さんか。同じクラスの人なんだ。ごめんねちょっとわからない」
「無理もないです。あんなに皆さんから警戒されてたらほかの人と交流するのも難しいかと思いますし。私も正直話しかけづらかったです」
状況把握に加えてしっかりと双葉へのカバーも加えているところ椎崎に似ている。
まぁ半年いて俺すらも木佐山についてはよくわかっていなかったし双葉ならなおさらか。
「学校いこっか」
「そうですね」
なんだろう木佐山は俺をターゲットにしてるんだろうが双葉と仲良くしようとしてるな。ま、信頼をえられればほかはいらないからいいけど。
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